シンガポールで1週間参加してきた、リークアンユー公共政策大学院のアジア地政学プログラムのまとめを、簡単に紹介します。
とりあえずは、最もインパクトに残った総論のみ。各論は、おってご紹介できればと思います。
⑴ 日本人には危機感がない!
…やっぱり溜池山王で座っているだけでは情報不足、刺激不足。
人材と情報の集まるアジア・シンガポールにたまには来ないと、今の我々に一番大事な「危機感」を肌で感じることはできない。。
⑵ テクノロジーの重要性
…テクノロジーはこれからどんどん大事になってくる、地政学をも凌駕する?
例えば、当局へのファイリングが、オンラインになれば、賄賂を支払う機会もなくなる。ITが地球を救うのです。
⑶ ゼロサムではなくwinwin
…日本や大国は、プライドから?どうしても「ゼロサム」でモノを考えがち。
でも、シンガポールのような小国は、生き残るために、「win-win」で考える癖が付いている。
これは、大企業とベンチャーにも当てはまり得る。ゼロサムで考えがちな大企業と、win-winを考えるベンチャー。
⑷ やっぱり製造業と輸出は大事だよねっていう東アジアモデル
…日本・韓国・台湾が成長した原因、それは東アジアモデル。
ちゃんと国内生産して輸出して。それで国際競争力を培って、というモデルです。
イノベーションも、そういう素地、すなわち、「国際的に輸出を出来るだけのプロダクトを製造をする力」がないと、起こり得ない。サービス産業とかだけでは、不十分だということ。
⑸ 根拠なき自信がイノベーションを生む
…学力テストをすれば、成績がいいのはシンガポールとか日本だったりするけど、主観的に、「テストの点数が良かったと思うか」では、日本とかシンガポールはむしろ下位。
一方、テストの成績はさほど良くないけど、主観的に「俺、良い点数とったと思うよ」と考える人が多いのが、アメリカ、イスラエル、スウェーデン。
この三カ国に共通するのは、イノベーション大国。
このデータから言えるのは、「根拠のない自信」がイノベーションを生む、ということ。
起業なんて、知識よりは「信念」。過剰な知識はイノベーションを阻害する?
⑹ 麻生大臣もシンギュラリタリアン!
…シンギュラリタリアン、って言葉をここで初めて知った。Singularityを深く信じる人。もっと端的に言えば、「自分は死なない」と思っている人、です。
人工知能とかの発達で、人間の寿命もなくなる、つまり、自分の死は自分でコントロールできるようになる、と思われています。シンギュラリタリアンはそう信じています。
麻生大臣もシンギュラリタリアンとは… 漫画やSF好きな人は、シンギュラリタリアンになりやすいのかも。
たしかシリコンバレーでも、『スター・ウォーズ』が、それこそ聖書のような扱いをされているとか。
⑺ 国民国家はフィクション
…(私のみならず多くの人が)良くも悪くも、どうしても、「日本」という国から意識が離れられない。私が5年前、シンガポールで「シンガポール残らないか」と誘われたけど、その誘いを蹴って日本に帰国したのも、日本や所属する組織に恩義を感じて… という義理から。
しかし、そもそも、「日本」なんて、この200年くらいの、「国民国家」ができてからの、人為的な、いわばフィクション。
もっと長いスパンで、人類の歴史を振り返れば、数十万年?人類には、「国家」なんてなかった。そもそも人類はグローバルであった。
そうであるなら、今ここで「日本」という縛りに拘泥する必要がどこまであるか?
もちろん、日本人の良さ、などは、捨てるわけではない。誇りに思っていい。
しかし、沈みゆく巨艦と、運命をともにするのか?という問題提起。日本という国の運命と、自分の人生を、同一視する必要がどこにあるのか?
日本と心中するのか?という問題提起。いや、日本を見捨てる、とか言っているのではなくて、「自分の人生で何ができるか」「与えられた環境と能力を最大限(世のため人のために)活かすためには、いま日本で日本という国のためにもがく/闘う/働くことが、最善なのか?」「自分は日本に留まるとしても、それを子どもたちの世代に強制・推奨することはどうなのか?」という問いかけは、常にできるようになりたい。
以上のように、日常の日本での生活では味わうことのできない、think out of the box (既存の枠に囚われずに、破天荒な考え方をする)ができる、極めていい経験になりました!