蔵書

「福岡ESEグルメ」のえしぇ蔵による書評サイトです。
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永井荷風 「新橋夜話」

2007年01月04日 | Weblog
江戸の風情が残った東京の古い街並みを背景に、花柳界の話が展開するとくればこの人ですね。永井荷風はよほどその世界に深く入り込んでいたようで、こういった感じの作品が多いです。この作品は芸者に関するちょっとした小話がいくつも集まってできた、いわゆるオムニバス方式になっています。どの話もうまくまとまっています。それになんといっても文章が美しい。これが最大の魅力ですね。そしてえしぇ蔵としては参考にしたい”話の終わり方”。幕切れが非常にうまいわけです。余韻を残してくれる絶妙な終わり方はこの人の得意技です。ちょいと粋な花柳界の小話、たまにはいいんじゃないでしょうか?