蔵書

「福岡ESEグルメ」のえしぇ蔵による書評サイトです。
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樋口一葉 「たけくらべ」

2007年01月17日 | Weblog
今は財布の中を見れば彼女に会うことができますね。しかしすごいと思いません?女流作家でお札にまでなったんですよ。この人はまさに日本文学史の中で女流作家の流れをたどっていくとその元締め的存在でして、伝説のカリスマです。そんなすごい彼女ですが実際の人生は不幸もいいとこ。貧乏な生活を強いられて、あまり報いられることなく25歳で病死します。作家生活はわずか14ヶ月。悲しすぎません?まさか100年後の世界で自分がお札になってるとは夢にも思わなかったでしょうね。そんな彼女の最高傑作がこれです。遊女の姉を持つ少女と僧侶になる定めの青年との切ない恋物語ですが、完璧な文章によって少女の内面を見事に描写しています。日本を代表すると言っても過言ではない名作を読んでないというのはまずいでしょう。