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ZONE-ZERO

ガン種中心二次創作サイト簡易版。アスキラ中心です。

ぼや記。

2007-07-01 21:17:05 | ぼや記
遅くなりましたが、更新しました。
ついでに拍手も入れ替えましたー。
よろしかったら←のリンク一番上の拍手をぽちっとお願いしますー。

「オフでは出さないんですか?」
というご質問を頂きました。
いまのところ、そういった予定はありません。
細々と。
ここで発散できればいいかな と。
ぶっちゃけ
売れるようなもの書けない。
これが素直な心です。

壊れた世界の動かし方。 3

2007-07-01 21:14:06 | 年の差アスキラパラレル(連載)
 自分の足で探すとは言っても、キラがまだネットカフェにいる可能性は低い。
 だが、諦めきれない。
 苛立ち、足を止め、アスランは携帯電話を取り出した。
「悪い、俺だ」
『どうした』
 電話の相手は、イザーク。
 警視庁に勤める、高官だ。
「例の子供がまた出た。会社の近くなんだが、詳しい所在が掴めない」
『高くつくぞ』
「逮捕はするなよ」
『非行に走りそうな子供を保護して保護者に引き渡せばいいんだろう』
「誰が保護者だ」
 くくっ と笑って、イザークが通話を切った。
「くそっ・・・」
 よりによって、イザークに大きな借りを作ってしまった。
 高くつくな とたしかに思う。
 だけどそれに代えられないほど、アスランは苛立っていた。
 どこにいる。
 なにをしている。
 ・・・泣いて、いないだろうか。
 ピリリ と、携帯電話の無機質な着信音が、アスランの思考を塞き止めた。
 いまの感情は、なんだ?
「俺だ」
『一件ヒットです。つい30分前に出たそうです』
 部下からの報告では、アスランがいまいる位置からそう遠くない。
「了解した。悪かった」
『いえ。今日は退勤ということにしておきますから』
「頼む」
 物分りのいい部下は、こういうときありがたい。
 携帯を操作して、もう一度イザークに繋げる。
「30分前の居所がわかった」
 住所を言えば、
『近くに派出所がある。そこの人員を動かす』
 と簡潔な返答があった。
 
 キラが保護された という電話が入ったのは、それからさらに30分後だった。
 イザークからだ。
 さきほどのネットカフェからさほど離れていないファーストフード店で、発見されたという。
 派出所に走れば、そこにはしょぼんとしたキラがいた。
「ジュール氏から連絡を受けた、ザラです」
「お待ちしてました」
 イザークの息のかかった署員が、身元引き受け書類を差し出す。
 手早くサインして、キラの方を向きなおり。
「顔を上げろ」
 低く言えば、情けない表情がこちらを向いて。
 バンッ!
 と、アスランはその頬を叩いた。
「いい加減にしろ!!」
「ザラさん、あの・・・」
「なんだあのメッセージは!」
 署員が慌てて静止するが、アスランの頭には血が上ったままだ。
「ふざけるな!」
「ふざけてない!!」
 今にも泣き出しそうな声で、キラが叫ぶ。
「あれしか思いつかなかったんだもん! 会いたかったんだもん!!」
「会社まで来ればいいだろう!」
「子供があんなところそうそう行けると思わないでよ!」
 このあいだは「子供ではない」といい、今度は「子供だから」という。
 どこまでも自分都合の思考に、腹が立つ。
「きちんと話し合ってください。あまり子供を刺激すると、同じことの繰り返しですから」
 署員の言い分ももっともだ。
 話し合う必要がある。
「ご迷惑をおかけしました。キラ、行くぞ」
「・・・どこに?」
「うちだ」
 おまえは帰るところなんかないだろう。
 その言葉にキラは素直に立ち上がり、とぼとぼとアスランの後を着いて来た。
 叱られた子供の顔で。

 車でうちに連れ帰り、すっかりしょぼくれたキラにホットミルクを出してやった。
 キラの顔色が、ひどく悪い。
 当たり前だ。この寒さのなか、キラは薄着すぎる。
「それ飲んだら、風呂に入って来い」
「・・・はい」
 服は以前より変わっていたが、ぼさついた頭をみればまともな生活をしていなかったことは容易にわかった。
 ネットカフェ難民なんて甘いものではない。
 これではホームレスではないか。
 湯を溜めた風呂にキラを押し込み、一息ついてイザークに電話する。
「・・・悪かったな。うちに連行した」
『貴様に貸しを作るのはいい気分だな』
「怖いな。手加減してくれ」
『悲鳴を想像しただけでぞくぞくする』
「この変態」
 なにを要求されるか とアスランが覚悟したとき。
『少し調べたぞ』
「え?」
『貴様の話と、キラという名から、調べてみた』
「興信所の代金は払わないぞ」
『なんのための権力だと思っている』
 職権乱用じゃないか、それ。

 イザークの話はこうだ。
 本名、キラ・ヤマト。18歳。
 3年前交通事故で両親を亡くし、天涯孤独。
 後見人は母方の親戚の、アスハ家。
 アスハ家といえば、名の知れた政治家の家だ。迷惑をかけたくない というキラの言い分も納得できた。
 男がいないアスハ家の養子に という話もあったが、キラは頑なに拒んだ。
 仕方なく後見という形をとり、アスハ家が面倒を見ていたが、その屋敷から2年前に姿を消したという。
「姿を晦ますのは得意なわけか・・・」
 中学も休みがちで、ギリギリの出席日数で卒業した。
「人見知りのヒキコモリ・・・」
 キラの持ち出した両親の遺産の入った通帳の残高を調べれば、それはみるみる減り、時折まとまった金が入金される。
「おまけに生活能力なし か」
 まとまった金が入る というのは、キラが言っていた「つまみ食われた」報酬だろう。
 そして、そのうちそれはクラッキングという犯罪で得た金になっていったはずだ。
「たいした過去だ」
 自分など、かわいいものだと思う。
「お風呂、ありがと・・・」
 キラの声に、アスランは我に返った。
「髪、ちゃんと乾かせ。風邪引くぞ」
「うん」
 がしがしと、キラはタオルで頭を拭く。
 不器用な手つき。
 この手であんなプログラムを打っていたとは、思えないのだが。
「腹減ってないか?」
「ちょっと空いた・・・」
「俺はかなり空いてる。誰かさんのおかげで昼抜きなんだ」
 皮肉を混ぜて笑って、アスランは出前のチラシを何枚か投げてやる。
「好きに選べ」
「いいの?」
「ああ」
「じゃあ、お寿司」
 嫌なガキだ。
「俺は魚が苦手なんだ」
「えー。じゃあねぇ・・・」
 あれこれ悩む姿は、どうおまけして見ても中学生だ。
「ラーメン」
「そんなのでいいのか?」
「味噌コーン」
「わかった」
 ジャンクフード好きなことはよくわかった。
 チラシを受け取って電話をして。
 程なく届いたラーメンを、二人で啜った。
 おかしな絵だということは、アスランも感じていた。
 だが、目の前でラーメンを食べるキラの顔が、なんだかうれしそうで。
 まぁいいか と、思ってしまったのだ。

 アスランが風呂に入っている間に、絶対に姿を晦ますな と言いつければ、キラは素直に従った。
「ほら、来い」
「え?」
「ひとりで寝るの、嫌なんだろう?」
 男と寝る趣味はないが、ひとりで寝かせてすすり泣かれるのは気分が悪い。
 ベッドの空けたスペースをぽんぽんと叩いてやれば、やはりキラはうれしそうに入ってくる。
「あったかい」
「ネットカフェに毛布なんてないからな」
「うん」
「・・・最後に布団で寝たのは?」
 キラは押し黙る。
 やましいことがあるときの、子供の癖だ。
「1ヶ月半。その間なにしてた」
「・・・ふらふら」
「ふらふら男について行ったか」
「・・・うん」
「馬鹿!」
 パシン と、軽く頭を叩く。
「ここに来ればいいだけだろう!」
「泊めてくれたの?」
「子供を放置できるわけないだろう」
 なあんだ と、キラは安心したように、アスランに擦り寄る。
「いろんな人に会ったけどねぇ」
 おずおずと、アスランにしがみついて。
「抱きしめて寝てくれる人なんていなかった」
 みーんな、やるだけやってお金くれてそのまんま。
「人とごはん食べたのも久しぶり」
「馬鹿だよ、おまえは」
「うん。馬鹿だった」
「過去形じゃない。現在進行形馬鹿だ」
「ひどい」
「怖かったりさみしかったりするときは、素直に泣け」
 その細い身体を抱き寄せてやって。
「子供は大声上げて泣くものだ」
 アスランの言葉に、キラはひっ と息を飲んで。
 声を上げることなく、ただしくしくと泣きはじめた。

 キラが寝付いたのは、日付が変わる直前。
 そのやわらかい髪を撫でてやれば、キラは縋りつくように身を寄せる。
 ああ、そうだ と思い、アスランはベッドから起き上がろうとした。
「・・・どこいくの?」
 寝ぼけたようなキラが、アスランのシャツの裾を掴んで訊く。
「どこにも行かない。大丈夫だ」
「こわい」
「ひとりじゃないよ。ちゃんと、一緒にいる」
 そう髪を撫でて言い聞かせれば。
 再び寝息を立て始める。
 ひどく、臆病な子だと思った。

 自宅のネット回線に、ブロックをかけた。
 ここからハッキングなどされてはたまらないからだ。
 そうして、リビングの隅の棚から、鍵を取り出す。
 これが使われる日はこないと思っていたのだが。
「しかたないか」
 二つの鍵に、失くさないように小さな鈴をつけて。
 メモ用紙に、自分の携帯電話の番号と、言葉を記した。


うちのお約束、「キラさまに甘いアス」の臭いが出てきましたよ・・・。
ここらへんで修正しなきゃ・・・。