ここにいるのは人間と人間以外だ
1941年、世界各地に戦火が広がるなか、中立国であるタイ南部の湾岸の村で、有事に備えて少年たちが兵士の訓練を受けていた。伍長メークは恋人ペンとの間に子どもを授かり、つかの間の幸せを噛み締めていたが、日本軍が村に上陸したことで事態は一変。少年兵たちが日本軍との戦いに駆り出されることになり、メークの弟モークも戦場へ行くことに。
タイ政府は日本政府と友好的に交渉し . . . 本文を読む
この中の何人の魔女が、宮崎駿の話をしたがる
冴えないパンク青年ドゥードは怪しげなドラッグパーティーに参加し、「おバカのグミ」と呼ばれる強力なドラッグを誤って許容量の2倍も飲み込んでしまう。ハイになった彼は、パーティーで演奏していたバンドのギタリスト、パルにひと目ぼれし、彼女の連絡先を手に入れる。
そんな矢先、パーティーの存在を嗅ぎつけた警察に逮捕されそうになったドゥードは、幻覚症状に襲われ . . . 本文を読む
人は指図されるのが好きだ
多彩な国籍の人々が暮らす台北の街で、共同生活を送る4人の少年たち。
実業家の息子であるリーダー格のレッドフィッシュ、プレイボーイのホンコン、ニセ占い師のトゥースペイスト、新入りのルンルンは、お金も自由も愛でさえも、自分たちの思い通りに手に入ると信じていた。
そんな4人の前に、フランスからやって来た少女マルトが現れたことにより、深い絆で結ばれていた彼らの関係は大 . . . 本文を読む
家に住む蛇は殺さないの
自ら「お尋ね者」と名乗る白髪の女性・アンジーがある町に現れた。
アンジーはいわくつきとなっている物件を借り、そこでバーをオープンさせる。それぞれ問題を抱えながら毎日を生きている町の人々は、アンジーからの厳しくも優しいさまざまな言葉、彼女の凜とした生き様に触れていく。
町の人びとはアンジーに魔法をかけられたかのように自分らしさを取り戻していく。(「作品資料」より) . . . 本文を読む
天下太平、英雄に名を刻め
考古学者ファン教授は、新疆ウイグル自治区にある氷河近くの遺跡で発掘調査を進めていた。
そんなファン教授はある時、自分が前漢の武将・霍去病(かくきょへい)の部下である趙戦(ちょうせん)となっている夢を見る。夢の中で趙戦として騎馬隊を率いたファン教授は、敵対する遊牧民族と激しい戦いを繰り広げ、その中で敵の軍勢に追われる謎の美女を救ったのだった。
そして、発掘調査で . . . 本文を読む
いい殺人も悪い殺人もあるか
法では裁かれない悪人を標的にした連続殺人事件が発生。不条理な司法制度に不満を抱えていた世論は、犯人のことを善と悪を裁く伝説の生き物「ヘチ」と呼び、正義のヒーローとしてもてはやすようになる。
熱血ベテラン刑事ソ・ドチョルと凶悪犯罪捜査班、さらにドチョルに心酔する新人刑事パク・ソヌも捜査に加わり、事件は解決に近づくかに見えた。
しかし犯人は刑事たちをあざ笑うかの . . . 本文を読む
光陰矢の如しだな
恐竜が駆け抜け、氷河期を迎え、オークの木が育ち、先住民族の男女が出会う。やがてその場所に家が建てられ、いくつもの家族が入居しては出ていく。
1945年、戦地から帰還したアルと妻ローズがその家を購入し、息子リチャードが誕生する。世界が急速に変化していくなか、絵を描くことが得意なリチャードはアーティストを夢見るように。
高校生になったリチャードは別の学校に通う弁護士志望の . . . 本文を読む
抗争開始か
家族とともに幸せな日々を過ごしていた男は、クリスマスイブの日にギャング同士の銃撃戦に巻き込まれ、愛する息子の命を目の前で奪われてしまう。
自らも重傷を負った彼は、どうにか一命を取り留めたものの声帯を損傷。絶望を叫ぶ声さえも失った男の悲しみは、いつしか激しい憎しみへと変わっていく。
悪党たちへの復讐を決意した男は、次の12月24日をギャング壊滅の日に定め、過酷な戦いへと身を投 . . . 本文を読む
もしかして、大きなバルコニーのあるお家にお住みですか
幼い頃に母を亡くした心也と、家に居場所がない同級生の夕花。学級新聞の編集委員を任された2人は、最初はぎくしゃくするも次第に打ち解け、2人だけで「ひま部」を結成する。
それぞれ孤独を抱える心也と夕花は距離を縮めていくが、ある事件をきっかけに夕花は姿を消し、心也は行き場のない思いを抱えたまま、交わした約束を胸に彼女を待つ。
突然の別れか . . . 本文を読む
だって天国に送ったんだから
神戸に住む渡辺博子は、2年前に山の遭難事故で亡くなった婚約者・藤井樹の三回忌からの帰り道に、樹の家を訪れる。
そこで見た樹の中学時代の卒業アルバムから、かつて彼が住んでいた小樽の住所を見つけた博子は、樹が暮らしていた小樽の住所へ宛て1通の手紙を出す。しばらくすると、博子のもとに届くはずのない返事がなぜか返ってくる。
やがて博子は、樹の中学時代の同級生で彼と同 . . . 本文を読む
今度はオレが食ってやる
ある日のインタビュー取材で、「ライオンとヒョウに襲われたことが私の人生そのものになってしまった」と語った松島トモ子。取材が終わり街を歩いていると、突然目の前の景色が歪み、気を失ってしまう。
ほどなくして意識を取り戻すと、見知らぬ不思議な空間に閉じ込められていた。ドアを叩いても、叫んでも誰も来ない。徐々に不安になるトモ子だったが、気が付くと目の前にサイコロがあった。意 . . . 本文を読む
わたしだってからいんです
4日後に迫った舞台本番を前に、終わりの決まっていない30ページの台本に3日間かけて向きあうことになった4人の女優。
演出家不在の異様な閉鎖空間でスマホも時計も没収され、集められた理由すら知らされないまま、演じたい役をつかむため稽古に打ち込んでいく。それぞれ切実な事情を抱える4人は、その苦悩やプレッシャーから赤裸々にぶつかりあう。
そして公演当日、仮面をつけた観 . . . 本文を読む
35年の医師生活で最大だ
学もなければ、金もない、おまけにヤボテンの田舎者とくれば、大方はモテないものだが、人間には何かひとつくらい取柄があるものらしい。
このミケーレという青年、男性のシンボルが並みの三倍という絶倫男。その彼が、故郷シチリアを後に、唯一の武器を引っ下げてやってきたのがミラノから遠からぬ金持ちの町ベルガモ。
早速床屋のフィケーラの紹介で、実業家グランプナーニ家に召使いと . . . 本文を読む
何かを愛せば、人間らしくいられる
1970年代、北アイルランド。長年にわたり殺し屋として暗躍してきたフィンバー・マーフィーは引退を決め、海辺の町グレン・コルム・キルで正体を隠しながら静かに暮らしていた。
そんなある日、首都ベルファストで爆破テロ事件を起こしたアイルランド共和軍(IRA)の過激派グループが町に逃げ込んでくる。彼らのひとりが地元の少女を虐待していると知ったフィンバーは少女を助け . . . 本文を読む
制御する気がないのね
イギリス北部の街に生まれ、祖母の大きな愛に包まれながら育ったロビー・ウィリアムズ。
1990年代初頭にボーイズグループ「テイク・ザット」のメンバーとしてデビューし、ポップスターの道を駆けあがっていく。グループ脱退後もソロアーティストとして活躍し、イギリスのポップス界を代表する存在へと成長。
しかしその裏には、名声と成功がもたらす大きな試練が立ちはだかっていた。(「 . . . 本文を読む