秋風

アキバ系評論・創作

月下の舞姫vol.10

2010-06-27 22:50:23 | Weblog
「何あれ? 武装化したUAV?」
 動体視力の良いあゆが山岳部の木々を縫うように飛ぶ空飛ぶ円盤に羽根が付いたような飛翔体を発見する。
「ミサイル警報!」
 残った僚機の誰かが叫ぶ。敵レーダーロックオン警報は鳴らないので赤外線追尾式ミサイルと思われる。最近は画像認識追尾式もあるが。
「フレア! フレア! フレ……」
 誰かが叫ぶが途中で途切れる。
 オートモードにしておけばミサイル警報と同時にチャフやフレアが自動射出されるが消費速度を落としたく、また反応速度に自信が有るベテランゲーマーの一部は手動射出を好む。 
 彼我の距離の有る空対空の制空戦はともかく不意に近距離から撃たれる可能性の有る空対地攻撃ミッションでは格好付けるチャンスでもあるが非常にリスキーな選択でもある。
「また誰かやられた!? 何機付いて来ている?」
 あゆがオートモードに加え更に手動で大量のフレアを射出しつつ絶叫する。
 あゆの機体はバレルロールさせまさネズミ花火のようにフレアを撒き散らしている。
「隊長機を含め3機だ!」
「敵はUAVにスティンガーを積んだもののようね」
 あゆが私見を述べる。
「反転攻撃しよう! 足は遅いようだ」
「よし、行くぞ!」
 ふたりの僚機はやる気満々である。
「待って!」
 あゆの静止を振り切って二機が行く。

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