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円相場 一時1ドル=150円台 1990年以来 約32年ぶりの円安水準
2022年10月20日 23時03分
20日の東京外国為替市場は、アメリカで大幅な利上げが続くという観測が強まって一段と円安が進み、円相場は一時、1ドル=150円台まで値下がりしました。
1990年8月以来、およそ32年ぶりの円安水準です。東京外国為替市場では、アメリカの中央銀行に当たるFRB=連邦準備制度理事会が大幅な利上げを続けるという観測から円を売って、より利回りが見込めるドルを買う動きが強まりました。
円相場は午前中から1ドル=150円に迫る水準で神経質な取り引きが続いていましたが、午後4時40分ごろに1ドル=150円台まで値下がりし、1990年8月以来およそ32年ぶりの円安水準を更新しました。
政府・日銀は先月22日にドル売り円買いの市場介入に踏み切り、円相場は一時、1ドル=140円台前半に戻りましたが、そこから10円近く円安が進んだことになります。
午後5時時点の円相場は、19日と比べて53銭、円安ドル高の1ドル=149円86銭から88銭でした。
一方、ユーロに対しては、19日と比べて27銭、円高ユーロ安の1ユーロ=146円66銭から70銭。
ユーロはドルに対して、1ユーロ=0.9786から88ドルでした。
市場関係者は「日米の金利差が拡大するとの見方から、じりじりと円安が進んでいるが、節目として意識される1ドル=150円台に達したことで政府・日銀による市場介入の警戒感がより一層、強まっている」と話しています。
鈴木財務大臣「緊張感持ち動向をしっかりと見ていく」
鈴木財務大臣は円相場が1ドル=150円台まで値下がりしたことについて「水準についてはコメントしない。投機による過度な、そして急激な変化は容認できないので ボラティリティー・変動に注目し、そうした動きがあるときは断固たる対応をとるという、従来の考えについては何ら変更はない。これからも細かく、緊張感を持って動向をしっかりと見ていきたい」と述べました。
財務省 神田財務官「必要な対応とる態勢は常にできている」
財務省の神田財務官は、20日夕方記者団に対して「為替の水準については、われわれ何もコメント致しません。各国当局は為替相場が大きく変動しているという認識を共有しています。これまでどおりの考え方だが、為替相場の過度な変動、あるいは無秩序な動きは経済活動に悪影響を及ぼすので過度な変動がある場合はこれまで以上にしっかりと対応をしていかなければいけない。今まで以上に過度な変動が許される状況ではなくなっている中で、われわれは必要な対応をとる態勢が常にできている」と述べて、市場を強くけん制しました。そのうえで、再度の介入を実施したかについて問われると「介入をしたかしていないかは必要な時以外はコメントしません。言うときもあれば言わないないときもある」と述べて、明らかにしませんでした。
32年ぶりの急速な円安 背景と経緯
円相場は、さまざまな経済情勢を反映して変動しますが、今の急速な円安の背景にあるのがインフレを抑え込むため、大幅な利上げを続けるアメリカと、金融緩和を続ける日本の姿勢の違いです。日米の金利差の拡大が強く意識され、金利の上がらない円を売り金利の上がるドルを買う動きが続いています。
ことしはじめに1ドル=115円台だった円相場は、アメリカの中央銀行に当たるFRBの利上げに連動するように円安ドル高が進みました。
先月22日、日本時間の未明にアメリカのFRBが大幅な利上げを決めた一方、日銀は大規模な金融緩和を維持したことで、円安が急加速。
日銀の黒田総裁が記者会見で「当面、金利を引き上げることはない」と発言すると、円相場は1ドル=145円台後半まで値下がりしました。
そして、この発言の直後に、政府・日銀は急速な円安に歯止めをかけるため24年ぶりにドルを売って円を買う市場介入に踏み切り、円相場は、一時、1ドル140円30銭程度まで戻しました。
しかし、アメリカで大幅な利上げが続くという見方から、市場介入の効果は、持続せず円相場は再びじりじりと円安が進行。
10月3日には再び1ドル=145円台をつけました。
10月12日には1ドル=146円台まで値下がりし市場介入を実施したときよりも円安になりました。
そして13日、発表されたアメリカの消費者物価指数が高止まりしたことをきっかけに円相場は、1ドル=147円台の後半まで値下がり。
1990年8月以来、およそ32年ぶりの円安水準となりました。
その後も円安の流れはとまらず14日のニューヨーク市場で円相場は148円台に。
週明け17日には149円台まで値下がりし、20日、節目となる1ドル=150円台まで円安ドル高が進みました。
32年前は
32年前の平成2年・1990年。東西に分断されていたドイツが統一され、イラクがクウェートを侵攻するなど、国際情勢が大きく動いたこの年、日本ではいわゆる「バブル景気」が続いていました。
前年から、ソニーによるアメリカの映画大手「コロンビア・ピクチャーズ」の買収や三菱地所によるニューヨークの「ロックフェラーセンター」の買収など “ジャパンマネー”が市場を席けん。
日本企業の間で大型買収に向けたドルへの需要が高まったこともあって、外国為替市場では、円を売ってドルを買う動きが強まりました。
1985年に日米欧の主要5か国がドル高の是正で政策協調した「プラザ合意」以降、急速に進んでいた円高にも歯止めがかかり、90年の1月、1ドル=142円台だった円相場は、4月に160円台まで値下がりしました。
ただ、この年は日本経済がバブル崩壊への道を歩み始めた年でもありました。
土地の価格高騰を受けた金融機関に対する不動産融資の規制や、日銀が踏み切った金融引き締めの影響などで、前年の年末に終値で3万8915円の史上最高値を記録した日経平均株価は、この年の年末には2万3848円まで急落。
上昇を続けてきた土地の価格や株式市場が不安定になる中、日本経済を大きく膨らんだあとはじけて消える泡になぞらえ「バブル経済」ということばが流行語になったのもこの年でした。
自民 萩生田政調会長「一日も早く経済対策を執行」
自民党の萩生田政務調査会長は記者団に対し「円安の影響が出る国民生活や業界に、党としてもしっかり目配りしていきたい。岸田総理大臣は『総合経済対策で円安のメリットを生かしたい』と言っているので、一日も早く経済対策を執行し、円安のデメリットを相殺できる政策を前に進めていきたい」と述べました。
立民 泉代表「アベノミクスは放置できない」
立憲民主党の泉代表は党の会合で「ほとんどの要因が日米の金利差で、構造的な円安となっているが、日銀や政府は、それを何も動かすことができなくなっている。政府は『円安メリット』などと言っているが、企業側が今の円安のスピードに追いつけていない。頑張っている企業が先を見通せる状況をつくるためにも、アベノミクスは放置できないということを強く訴えていきたい」と述べました。
菓子メーカー “円安はビジネスチャンス” 輸出を強化 岐阜
これまで中国などアジアへの輸出を強化してきた岐阜県の菓子メーカーでは今回の記録的な円安をビジネスチャンスとみていて、オンライン商談会を通じて海外への販路拡大などを強化することにしています。岐阜県大垣市にある菓子の製造と卸販売を手がけるメーカーでは、今回の円安によってチョコレートや小麦粉などの輸入原材料の価格高騰に直面しています。
ただ、この会社では少子化で国内需要が減少することを見据えて、およそ10年前から中国などアジアへの輸出を本格的に開始し、外国籍の社員を積極的に採用するなど事業を強化してきました。
ことし3月期の輸出事業の売り上げは48億円余りで、会社全体の売り上げの半分近くを占めるまでに成長しているということです。
このため会社では、今回の記録的な円安をビジネスチャンスとみていて、オンライン商談会を通じて、海外への販路拡大などを強化することにしています。
「鈴木栄光堂」の鈴木伝CEOは「10年前に輸出を強化してよかったという思いは正直ある。アンテナを張って常にもうかる商売を見つけていかないと生き残れない」と話しています。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221020/k10013862341000.html
記事の紹介終わりです。
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■ 2009年7月9日
「我が郷は足日木の垂水のほとり」 はじめました。
本稿はその保管用記事です。
■ 2010年3月2日
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