記事の紹介です。
アジア太平洋の国々が地域経済統合に動き出した。ハードルは高いが、経済成長を促す自由貿易圏拡大の試みは注目に値しよう。
米中など21か国・地域が出席した横浜でのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が、首脳宣言の「横浜ビジョン」を採択して閉幕した。
日本が15年ぶりに議長となってまとめた首脳宣言は、APECの将来像について、開かれた「共同体」と初めて表現した。緩やかな枠組みでスタートしたAPECが包括的な経済連携を目指す方向で一致したのは画期的である。
APECは、世界の国内総生産(GDP)の5割、人口の4割を占める世界の成長センターだ。今回の合意を弾みに、存在感がさらに高まることが期待される。
首脳宣言が共同体構想の柱に明記したのが、APEC全体をカバーする「アジア太平洋自由貿易地域(FTAAP)」の実現だ。
貿易や投資の自由化だけでなく、非関税障壁の撤廃、規制改革、物流の円滑化など幅広い分野の連携強化を目指す枠組みである。
それに向けたステップとして、最も重視されるのが環太平洋経済連携協定(TPP)といえる。米国、豪州などの9か国がすでに交渉中で、来年11月の最終合意を目指している。
菅首相はTPP首脳会合にオブザーバー参加し、協議入りを正式表明した。農業団体などは自由化に反対するが、日本は農業の競争力強化に取り組みながら、早期の交渉参加を決断すべきである。
アジア向けの輸出拡大を狙う米国が主導するTPPに対し、中国の警戒感は強い。中国は東南アジア諸国連合(ASEAN)に日中韓を加えた「ASEANプラス3」を提唱してきたからだ。
自由貿易圏の具体化を巡る米中の主導権争いは、両国の通貨戦略も絡んで波乱含みといえる。
APEC域内の経済格差は大きく、FTAAPが実現できるかどうか、不透明との見方もある。
それだけに、議長国の日本の責任は重い。「平成の開国」を積極的に推進し、貿易自由化をリードしなければならない。
APECが今回、不均衡是正や環境対策などの成長戦略をまとめた意義も大きい。世界景気の本格回復には、この地域全体の経済活性化が必須だからだ。
保護貿易主義の阻止を打ち出した点も評価できる。
大胆な横浜ビジョンを絵に描いた餅に終わらせてはなるまい。
(2010年11月16日01時53分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20101115-OYT1T01040.htm
記事の紹介終わりです。
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「我が郷は足日木の垂水のほとり」 はじめました。 本稿はその保管用記事です。
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