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ロンドン、「国会議事堂テロ事件」の一部始終
目撃者たちが語る恐怖の現場
2017年03月23日
テロがあった英国会議事堂そばのウェストミンスター橋付近(写真:Andrew Testa/The New York Times)
3月22日、英国ロンドンの中心部である国会議事堂付近でテロが発生し、加害者と警官各1人を含めた少なくとも4人が死亡、20人が負傷した。一時はメイ首相が緊急の避難を求められるほどの騒ぎになった。警察当局は、テロであるとの見解を示している。ロンドンで起きたテロとしては、10年以上前に発生した地下鉄爆破事件以来の規模となった。
現場となった国会議事堂付近は22日午後、救急車や緊急車両、武装した警察官でごった返した。テリーザ・メイ首相の側近によると、首相は急きょ車に乗り込んで官邸に移り無事だった。
英国警察でテロ対策を統括するマーク・ローリー副総監が記者会見で語ったところでは、攻撃発生は22日午後2時40分ごろ。国会議事堂に近いウェストミンスター橋で、大型車が歩行者を次々となぎ倒し、2人が死亡。フランスから来た10代の学生数人を含む多数の人々が負傷した。
ブリュッセルの自爆テロから1年
その後、大型車から少なくとも1人の男性が降りて国会に近づき、武装した警官1人を刺殺した後、当局に射殺された。ローリー副総監は、警察はこうした事件を想定してはいたものの実際に発生してしまったのは悲しいことだとした上で、「2度と起こらないように望む」と述べた。
攻撃が発生した22日は、容疑者3名を含む35人が死亡したブリュッセルでの自爆テロのちょうど1周年だった。パリ、ブリュッセル、ベルリンに続いて、ロンドンも大規模なテロに見舞われてしまった格好だ。
フランスのオランド大統領は、パリ近郊ヴィルパントでの記者会見で「テロはわれわれ全員を標的にしており、英国の人々がきょう受けた痛みをフランスは知っている」と述べた。メイ首相は事件を受けて、オランド大統領やトランプ米大統領と連絡を取り、22日夜に緊急の閣議を招集することを明らかにした。
英国警察のB・J・ハリントン警視長は記者への説明の中で「全面的なテロ捜査を進めている」と語り、ロンドン中心部で撮影された画像やビデオの中から疑わしい行動をチェックしていると述べた。ハリントン氏によると、攻撃に遭遇したものの負傷を免れたクレイグ・マッキー警視総監補は「重要な証人として扱われている」。負傷者20人には、少なくとも3人の警官や、仏ブルターニュ地方から来た学生や、テムズ川に落ちた女性1人も含まれているという。
また、外務政務官を務めるトビアス・エルウッド下院議員は、刺された警官を蘇生させようと口移しで人工呼吸を試みた。事件当時国会内にいた下院議員は当局から捜査を進める2時間あまりの間、院内にとどまるよう求められたが、一部は別の場所に避難した。
デビッド・リディントン下院院内総務は議員に、「現時点では警察や保安担当者から、安全が保証されて状況が正常に戻るまで、われわれは職務を停止し議場は閉鎖されるべきだとの、明確な助言を受けている」と述べた。この模様は英BBC放送が中継した。
オリー・グレンダー上院議員によると、議員たちはしばらく院内に待機させられていた。「会議の途中で、窓の外から悲鳴が聞こえてきた」とグレンダー上院議員は話す。その後、別の議員がやってきて、深刻な事態が起こっていることを教えてくれたという。
「何度もナイフで刺されていた」
ジェイン・ウィルキンソン(59)は、人々が議事堂から逃げ出してきたとき、パートナーのデービッド・ターナー(56)とともに、国会議事堂広場のウィンストン・チャーチル像のそばにいた。2人によると、ナイフを握った中年男性は、警察からの警告を無視して、国会議事堂の入り口ゲートへ向かっていたという。
「警官は大声で警告し続けていた」とウィルキンソンは振り返る。その直後、銃声が3発響き、気がついたときには男性が倒れていたという。ウェストミンスター寺院にいた工事作業員3人も、銃声を聞いた。「バン、バン、バンと3発聞こえた」と作業員の1人は話す。
ケンブリッジ大学に通う米国人で、国会議事堂を訪れていたルーベン・サンダースは、議事堂から出ようとした瞬間、警官が男性に襲われているところを目撃した。サンダースによると、襲撃者はナイフを2本、あるいはそれに類似する武器を手にしていた。
「襲われて倒れた警察官が、何度もナイフで刺されているか、地面にたたきつけられているところを見た」。サンダースによると、そばにはもう1人警察官がいたという。
2、3人の警察官が到着し、その時点でその場から離れたとサンダースは話す。その後、「2、3発の銃声が聞こえた」
教員のコリーヌ・デザレイは、事件が起こったとき39人の学生と議事堂の外にいた。フランス北部から3日間の修学旅行でイギリス議会を訪れていた。3発の銃声を聞いたと話す。
「同僚は数人が床に横たわっているのを見た。誰かが警察官が刺されたと言っていた」と彼女は話す。「子どもたちにすぐにここから離れるように伝え、私たちは急いでバスに戻った」
「アクション映画の撮影かと思った」
国会議事堂のビッグベンの向かい側にある売店のオーナー、キルステン・ハレル (70歳)は、大型車が急に向きを変え、自転車専用レーンを横切り国会議事堂のフェンスに向かっていくのを目撃したと話す。
彼女は地面に横たわっている人を見て、救急車を呼んだ。
「最初は事故かと思った。しかしそれから車がウェストミンスター橋で多くの人をはねたと聞いた。」と彼女は言う。「今となってテロ事件だとわかり、また少し怖くなってきた」
業界標準団体である「責任ある宝飾品業のための協議会」執行役員のアンドリュー・ボーンは、バスでヴィクトリア駅に向かっていた時に、議会広場周辺で足止めされた。
騒ぎを見て、彼は最初アクション映画の撮影なのかと思った。しかしすぐに事態の重さがわかった。バスが退避させられ、さらに橋の上で柵に衝突した車両や救急ヘリを目撃したからだ。
(一部敬称略)
(Kartin Bennhold記者、Stephen Castle記者)
(C) 2017 The New York Times News Services
http://toyokeizai.net/articles/-/164442
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