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佐藤正久外務副大臣の 「服務宣誓発言」 はまったく問題ない
2017.12.18 01:00更新
5日の参院外交防衛委員会で、佐藤正久外務副大臣(57)が自衛官が入隊する際に署名する「服務の宣誓」の一部を引用して、副大臣の職務にあたっての決意を表明したことを野党や一部のメディアが問題視している。だが、発言の全文を読んでもまったく問題はない。それどころか極めてまっとうな発言として評価したい。
まず、佐藤氏の発言全文に目を通してもらいたい。
「外務副大臣を拝命いたしました佐藤正久でございます。事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に務め、もって国民の負託に応える決意であります。厳しい安全保障環境の中で、国家国民の安全、安心を守るため、現場主義で汗をかいてまいります」
「特に担当であります北米、中南米、中東、アフリカ諸国との関係強化に努めます。また、国連外交、安全保障、戦略的対外発信や文化外交に注力するとともに、在外邦人の安全確保、国際的なテロ対策にも全力で取り組んでまいります」
「なお、2人の副大臣の中で、私が特に本委員会を担当することになっております。三宅(伸吾)委員長をはじめ、理事、委員各位のご支援とご協力を心からお願い申し上げます」
何度読み返しても、元自衛官としてイラク派遣部隊の指揮官などの経験を経て参院議員となり、外務副大臣として日本政府を代表して外交を担うことの責任の重さを痛感している佐藤氏の気持ちがよく反映された発言だ。
残念ながら、佐藤氏はその後、この発言について「誤解を与えたのであれば、大変遺憾に思う」と述べ、事実上、撤回した。まともな発言を撤回する必要はなかったと思うが、参院外交防衛委員会が審議する法案の中には自衛官の給与法改正案があった。佐藤氏は自身の発言によって審議が停滞すれば自衛官の給与に影響することを懸念し、撤回することを決めたとみられる。
しかし、問題視された佐藤氏の発言の中で、自衛官の「服務の宣誓」にあたる部分は冒頭部分の「事に臨んでは…」のみ。佐藤氏の経歴をみれば、違和感なく受け入れることができるが、その経歴が経歴だけに、野党や一部のメディアは問題視した。
7日付の朝日新聞朝刊は、民進党の小西洋之参院議員(45)の「日本外交はかつて軍事が支配した」との発言や、同党の藤田幸久参院議員(67)が「武人の精神の決意を持って武力行使の対極にある外交にあたる副大臣のあいさつは不適切」と批判したことを報じた。
6日付の東京新聞朝刊にいたっては、共産党の井上哲士参院議員(59)の「実力組織である自衛隊の宣誓を引用するのは不適切だ」との批判を紹介した。共産党と自衛隊といえば、昨年6月、当時の藤野保史政策委員長(47)が防衛費を「人を殺すための予算」と発言して政策委員長を辞任したことを思い出す。
こうした野党の批判に対し、政府は15日の閣議で、佐藤氏の発言は「自衛隊法に基づく服務の宣誓として行ったものではなく、外務副大臣としてその職責を全うするという佐藤外務副大臣の基本的な姿勢を述べたものであると承知している」との答弁書を決定した。
これは立憲民主党の初鹿明博衆院議員(48)の質問問趣意書に答えたものである。初鹿氏は「文民である副大臣と実力組織である自衛官とは職務が大きく異なることは明らかであり、副大臣が自衛官の服務の宣誓を用いて職務に当たる決意を述べることは不適切であると考える」と主張し、政府の見解をただした。
しかし、野党議員の批判よりも目を引いたのは「政治家として心得違い」の見出しを掲げた10日付朝日新聞の社説だ。
朝日社説は「自衛隊は国を防衛し、日本の平和と独立を守るのが主な任務だ。そのために生命をかけるのが自衛隊員であり、服務の宣誓は特別な意味を持つ」と説明する。政治家については「より広い視野から日本を正しい方向に導くことが求められる。政治家と自衛隊員は別の視点に立ち、一定の緊張関係を保つ必要がある」と指摘する。
そして、何かとお決まりの「文民統制(シビリアンコントロール)」を持ち出し、「軍部の暴走を止められなかった戦前の反省から、憲法66条は『内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない』と定めた。国会に責任を負う文民の閣僚が軍事をコントロールし、実力部隊が独走するのを防ぐ狙いがある」と説教するのだ。
社説はこう続く。
「自衛隊出身の佐藤氏は、今は文民の立場だ。なのにあえて服務の宣誓を引用したのは、自衛隊をコントロールすべき政治家が、自衛隊員と一体化しかねない危うさをはらむ」と妄想を膨らませ、「文民統制の精神に背く軽率な発言というほかない」と批判する。
ずいぶんな言いようだ。そして「佐藤氏は外交交渉によって戦争を回避すべき外務省の副大臣である。自衛隊員の気分のままで外交にあたろうとしているのであれば、心得違いだ」とまで言い切る。しかし、心得違いはどっちなのか。
佐藤氏の発言と文民統制に何の関係性があるのか。文民統制を出せば、誰も反論できないと思っているのだろうが、この発言はそこまで深刻な話なのか。朝日社説は、元自衛官の佐藤氏がまるで自衛隊と結託して、国家転覆を企図しかねないでもいわんばかりだが、曲がりなりにも佐藤氏は選挙で選ばれた国会議員である。ほかの外務副大臣が、仮に自衛官の服務の宣誓を引用しても、朝日も野党も問題視しないのではないか。元自衛官の佐藤氏だから問題だというのであれば、民主主義の象徴である選挙の否定に等しい。
ただ、朝日社説は10月22日投開票の衆院選でも、安倍晋三首相(63)率いる自民党が大勝したにもかかわらず、翌23日付の社説で「政権継続を選んだ民意も実は多様だ。選挙結果と、選挙戦さなかの世論調査に表れた民意には大きなズレがある」「そもそも民主主義における選挙は、勝者への白紙委任を意味しない」などと、訳のわからないへ理屈で衆院選の結果を否定した新聞だ。そんな新聞だから、佐藤氏の発言を批判することにも違和感はないのだろう。
佐藤氏の発言は、自衛官の服務の宣誓の一部を拝借した、気概の表明である。岩波国語辞典によると、「気概」の意味は「困難にも屈しない強い意気。気骨。はり」とある。昨今の厳しい国際情勢を考えれば、外務官僚でさえも、命をかけて職責を果たそうという気概を持っていてもおかしくない。野党などが佐藤氏の発言を批判したとき、ある外務官僚は「私たちは危険な場所に丸腰で行くんです」と述べ、佐藤氏の発言に同感していた。野党などは、文民でさえ国益のために命をかける場面もあることを認識した上で、現実から目をそらさない、地に足をつけた国会論戦を展開するべきである。
イラク派遣部隊の指揮官を務めた佐藤氏は、平成15年にイラクで凶弾に倒れた外務官僚、奥克彦氏(享年45)の名刺をプラスチックケースにいれて、財布に忍ばせている。奥氏は、佐藤氏と会った6日後に亡くなったという。最前線では外務官僚と自衛隊員の差もない。それを身をもって知っている。
改めて、佐藤氏の発言を書く。「事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に務め、もって国民の負託に応える決意であります」。佐藤氏は心得違いなどしていない。
http://www.sankei.com/premium/news/171218/prm1712180006-n1.html
記事の紹介終わりです。
砲塔前面の白抜き部分が複合装甲
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■ 2009年7月9日
「我が郷は足日木の垂水のほとり」 はじめました。 本稿はその保管用記事です。
■ 2010年3月2日
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