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核の選択:北朝鮮からの核攻撃に日本は対抗できるか
舛添要一
2018年12月28日 22:59
6月のシンガポールでの米朝首脳会談の後、北朝鮮の非核化は進んでいない。
米ソ冷戦下、ソ連は1977年から中距離核ミサイルSS-20の配備を開始したが、これは西ヨーロッパを射程に収めるもので、西側の安全保障にとって大きな脅威となった。また、1979年にはソ連軍がアフガニスタンに侵攻した。そこで、NATOはパーシングⅡ型とGCLM(地上発射巡航ミサイル)をヨーロッパに配備して対抗した。
北朝鮮の核武装は、ソ連のSS-20配備に相当する。では、日米韓はどう対応するのか。当時のヨーロッパ諸国と同様に、韓国、そして日本にも戦術核兵器や巡航ミサイルを配備すべしという意見があっても不思議ではない。
トランプ大統領は、同盟国を守ると確約しているが、もし北朝鮮が核ミサイルで韓国や日本を攻撃した場合、直ちにアメリカが核による反撃を行うかどうかは不明である。
その前段階として、まず攻撃された韓国や日本が核を含む兵器で反撃するというシナリオのほうがアメリカにとっては合理的である。それは、アメリカの都市が北朝鮮の核攻撃の目標とされる可能性を無くすことができるからである。
日韓両国が、アメリカはニューヨークを北朝鮮による核攻撃の犠牲にしてまで東京やソウルを守ってくれるのかという疑問を抱いても不思議ではない。そこで、韓国や日本の核武装という選択肢が出てくる。
東西冷戦下で、アメリカはワシントンDCを危険にさらしてまでパリを守るためにモスクワを攻撃しない。そう考えたからこそ、フランスは自ら核武装の道を選んだのである。もしソ連がフランスを核攻撃すれば、必ず反撃の核がモスクワを壊滅させるという決意を内外に明らかにした。この決定は国民的合意を得ている。
当時と現在は状況が異なるとはいえ、核の選択というのは冷徹な戦略的論理によるものである。広島、長崎を経験した日本では核についての議論そのものが成り立たないが、緊迫の度を増す世界情勢を考えるとき、歴史や他国の経験に学ぶという態度もまた必要である。
一つの同盟関係が永遠に続くわけではない。同盟のパートナーを変えるという選択肢もあれば、孤立しても独立独歩で行くという道もある。しかし、後者を選ぶ場合には、核の選択は免れえない。
核をタブーにせずに、そのような議論も自由に行われる日本でありたい。
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■ 2009年7月9日
「我が郷は足日木の垂水のほとり」 はじめました。
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