ひとりごと

まあ日記みたいなもんですわ…

チキソグリス(GRP)への疑問(1)

2014-02-12 07:31:45 | Weblog

GRPオイル添加剤のほうは、プラント設備の一部に保険的に
使用しており特に悪くなることもなく稼働中。
(デモのチムケンテストで極圧状態での性能見ているので)

というわけでチキソグリスも使おうとテストしてみた。

設備のなかで軸受が若干損傷(運転に問題ないレベルで内輪もしくは
外輪に傷があると思われる状態)のものにチキソグリス(♯2)をグリスアップしてみた。

 …しかしチキソグリス給脂直後から耳でわかる程異音が大きくなり、
振動測定の加速度Acc(OA)も1.5G→2.1Gと増大してしまった。

マズいと思い、すぐに従来使用のグリス(アルバニア、#2)を打ち直した
ところ元の1.5Gに復旧。

チキソグリスを給脂したときの音質(聴診棒による五感)は、軸受の転動面の
油膜が薄く潤滑不足を思わせるような感じのものであった。

この結果から、使用条件によりチキソグリスも一般的なグリスより劣る
ケースもありうるように思えた。
(GRPオイル添加剤だと、もともと油潤滑だから添加しても潤滑環境的(粘度)
に影響のある程の変化で無く、潤滑メカニズムも変わらないと思われるし
条件下で添加剤の効果があるののと思われる。
グリスだと潤滑剤そのものを変えることになるから今回の現象が起こったのだと思う)


今回のケースの原因として

1)静止時の粘度は同等でも攪拌時の流動性(チキソトロピック)が
 一般のグリスに比べて悪く粘度が高いために軸受で飛ばされたグリスが軸受箱内の側面
 に付着し、そのままの状態を保持して軸受に戻ってこないので潤滑不足になるのでは?

 2) 1)とは逆に攪拌時の流動性が良すぎて摺動面の油膜が薄くなり転動面の傷の振動
   の吸収(緩衝)が悪くなり振動値(加速度)が増大した?

の何れかの状況になったのではと思われる。

これらにつき原因検討をさらに進めるためにメーカー(代理店経由)へ
・チキソトロピック性についてのデータ(出来れば常温、50~60℃のときも
 含む多数の温度条件)について入手出来ないか依頼した。

  ※例:「見かけ粘度とせん断速度の関係」
    「ずり速度とずり応力の関係」など

→質問依頼に対し、12日経過しても回答が無いので
  「チキソグリスは問題無い」という根拠が示せるデータが
  無いのだと思う。
→この記事書いた翌日(13日)にメーカー見解あり


 3)グリスの混合(今まで使用していたアルバニア#2(リチウム系)のところに
   チキソグリスを給脂したために混合グリスの粘度低下が発生した?)については
   今まで使用していたグリスと十分入れ替わる位にグリスアップ(給脂)しても
   改善されなかったので可能性としては低いと思われる。

【参考】
 今回給脂して現象が出た機器情報
 ・機器:ブロア
 ・軸受潤滑方法:グリス(リチウム#2)
 ・軸受:6310C3
 ・回転数(ブロア):3650rpm
  大まかな摺動面(軸受)周速度は55.0km/h(15.3m/sec)


もともと傷が無い軸受等への使用や摺動速度の低いものであれば
良好な結果が出るのかもしれないし、基油と増ちょう剤が分離して
困っているケースには良いのかも。

軸受異音で壊れそうなものにチキソグリスを給脂して延命したという
ような効果が書かれていたりするが、今回の結果を見てチキソグリス
使用にて全ての条件で改善される訳ではないと感じた。

グリスが一般的に「基油+増ちょう剤」で構成されているのに対し
チキソグリスはオイルベ-スでグリスと同等の粘度になるよう
作られているので摺動面での潤滑メカニズムが異なるのでは?
というようにも思われる。

この記事アップした後に来たメーカー見解については
次のブログにアップ予定です。

 

その2
https://blog.goo.ne.jp/zan06446/e/1484a46bcf9df99c1ab1ed7dc7293d92

その3
https://blog.goo.ne.jp/zan06446/e/0e9186d7230159aec8707b2e1470773b

 

#チキソグリス チキソー ティキソー GRP GRP

 

 

 





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4 コメント

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CCSCモデルファン (グローバルサムライ)
2024-04-13 21:23:14
最近はChatGPTや生成AI等で人工知能の普及がアルゴリズム革命の衝撃といってブームとなっていますよね。ニュートンやアインシュタイン物理学のような理論駆動型を打ち壊して、データ駆動型の世界を切り開いているという。当然ながらこのアルゴリズム、人間の思考を模擬するのだがら、当然哲学にも影響を与えるし、中国の文化大革命のようなイデオロギーにも影響を及ぼす。さらにはこの人工知能にはブラックボックス問題という数学的に分解してもなぜそうなったのか分からないという問題が存在している。そんな中、単純な問題であれば分解できるとした「材料物理数学再武装」というものが以前より脚光を浴びてきた。これは非線形関数の造形方法とはどういうことかという問題を大局的にとらえ、たとえば経済学で主張されている国富論の神の見えざる手というものが2つの関数の結合を行う行為で、関数接合論と呼ばれ、それの高次的状態がニューラルネットワークをはじめとするAI研究の最前線につながっているとするものだ。この関数接合論は経営学ではKPI競合モデルとも呼ばれ、様々な分野へその思想が波及してきている。この新たな哲学の胎動は「哲学」だけあってあらゆるものの根本を揺さぶり始めている。こういうのは従来の科学技術の一神教的観点でなく日本らしさとも呼べるような多神教的発想と考えられる。
チャレンジCO2排出削減 (ラマン分光ファン)
2024-04-27 04:22:24
「材料物理数学再武装」って今の生成AIのブームを考えるとなかなか大局観のある話ですよね。たしかプロテリアル製高性能特殊鋼SLD-MAGICの発明者の方の大学での講義資料だったかと思います。ストライベック曲線のペトロフ則とクーロン則の合成手法から、今の生成AIのベースであるニューラルネットワークの基底関数であるシグモイド関数の意義を導き出している。
エキソエレクトロン (潤滑油軸受関係)
2024-05-30 03:53:15
なんか、よのなかEVシフト一辺倒だったのが今年になって逆風が吹いていますよね。そんな中、久保田邦親博士(工学)の提唱しているCCSCモデルは光るものがありますね。エンジンのしかもバイオ燃料にかかわる摩擦界面現象の化学反応理論なのですから。
EVシフトの不調 (プラントエンジニア)
2024-06-13 14:56:25
やはり世界を引っ張るハイブリッド日本車の技術力の前に、EVシフトは不調をきたしていますね。特にエンジンのトライボロジー技術はほかの力学系マシンへの応用展開も期待されるところですね。いくらデジタルテクノロジーを駆使しても、つばぜり合いは力学系マシン分野がCO2排出削減技術にかかってくるのだとおもわれます。

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