ネイチャーゲーム&自然・趣味

ネイチャーゲームで知った自然。テニスやハーモニカ、ウォーキングなど遊びの世界。

講演会「市民としての覚悟」=戦争の芽を早いうちに見つける力、摘み取る力! 

2015年10月12日 | 政治・社会
過日、原寿雄さん(元共同通信社の論説主幹。ジャーナリスト)の講演会があり聞いてきました。
長い間、安保法制の国会での論議や人々のデモについてのTVや新聞の報道にずっと違和感があったので、特にジャーナリズムの問題点について関心を持って参加しました。
最近の安保法案についての報道ではNHKはもちろんですが、民放各社も衆議院の強行採決の前には十分報道したとは言えませんでした。参議院の審議も終盤になり、採決日程が決まりかけてようやく国民の反対運動や危険性について触れるという有様でした。マスコミなら、もっと早くから、その危険性などについて警鐘を鳴らし続けるべきなのにという思いでした。

 原さんのお話の中では特に共感することが二点ありました。
一つは「マスコミには反戦を最後まで貫くことは期待できない。」ということです。
 マスコミには国籍があるのだから、読者は幻想を持つべきではないという点などは、戦前の日本はもちろんですが、アメリカの起こしている戦争などについて考えるとよくわかるものでした。戦前の日本のNHKや新聞各社は「鬼畜米英」などと大本営発表をそのまま流す政府の広報の役目を果たしたのでした。
マスコミには、「熊を出す」、つまり、話題がない時や必要な時には、いない熊でも出たように報道するということがあり、事件やニュースは作り出すことがあるということです。冤罪報道や最近の「週刊新潮」のシールズのメンバーへの悪意に満ちた報道などを考えるとわかりました。

  また、戦前の新聞各社などは戦争で部数を伸ばすなど利益を得ていることにふれ、経営的にも反戦の立場ではなく政権側に立って報道してきた歴史があるということも納得できるものでした。それは私が、日頃から日本のマスコミはマスメディアとしてはTV局と新聞社が同系列にある特殊なものであるうえ、利益追求と報道という危ういバランスの上になりたっていると思っていたことに重なりました。自民党の若手の議員までもが経団連に圧力をかけてコマーシャルを減らせという暴言をさせる土壌がこれでした。現に自民党は党内にマスコミを監視する部署があり圧力をかけているという話でした。

  こうして学んでいる人はマスコミの問題点を知り、読み取り方は分かっても、多くの国民はそれに頼らざるを得ない面があります。そうなるとマスメデアに真実を報道するように影響を与えていく市民としての取り組みが必要でしょう。
 その点では、過日1000人以上のNHKを憂うる人々がNHKを包囲して公正な報道をするように訴えたことなどが大切な方向を示していると思います。また、NHK予算や人事を時の政権が左右するような日本の仕組みが、政権に偏向した報道姿勢になるのだから、BBCなどの仕組みのように独立した機関が関わるようにすべきでしょうね。


二つ目は、「戦争が始まる前に反対をすること」がいかに大切かということです。それを非国民という非難を浴びせられた戦前の例をもとに話されましたが、本当にその通りと思いました。
 スタンピード現象ということがあり、大勢の動物たちがある時、何かのはずみで一匹が走り出すと一瞬のうちに一斉に走り出す現象です。人間も、野次馬やスポーツの観戦時に熱狂の余りに騒動など経験しています。
 これは人間の本質的な側面でもあるので、戦争が始まり、皆が戦争と走り出せば、反対者は「非国民」などといわれ、行き着くところまでいかないと止めることはできません。
 つい最近のアメリカでも「イラク戦争」、「ベトナム戦争」では、ブッシュ大統領などがでっち上げで始めたことが今では明らかなのに、当時は反対意見は許されない雰囲気がつくられて多くの犠牲者を出したのでした。日本は戦前の教訓ですが、反対者は牢獄に入れ、「非国民」と攻撃して、一億総動員体制にして戦争に突き進んだのでした。集団同一性が強いと言われる日本では特にそうなりがちと思います。

 しかも、マスコミの現状を考えると戦争の芽を早いうちに摘むことの難しさもあります。それでも、戦争法案反対の声が、広く各層に広まって、簡単には騙されない人々が増えていることなど、まだまだ望みがあると言えます。質疑の中で、九条の会が全国7000余になっていて、同会の小集団の学習の広まりなどが大きな力になっていることなどがだされました。

 戦争はまず教育から始まるとも言います。戦争しようとする勢力は、子どもの中に、国家主義的な考えを植え付け、国のために犠牲をいとわない「小国民」を育成しようとします。
  所が、今その学校の現場では、多忙政策のためか先生方が安保どころではないという話と、教育委員会が政権によって教育総合会議のなかに位置付けられ首長の下請けになり始めている例もだされました。
  現職の先生からは、その実態も出されましたが、私も右向けと言われればそのまま右向くような体質的な面が学校にはあると思いますから深刻です。戦前の教師が「子どもを戦場に送るように仕向けた」誤りを二度としてはいけないはずです。原さんは愛国心教育、家庭教育などこれからもっとひどくなることを憂慮されました。
 
  いろいろな場でもっと論議が深められる場が必要と思いました。気が付いたら、「戦争が廊下の奥に立ってゐた」(渡辺白泉)という時代にしないためにも。示唆に富む内容の多い講演会と学習会でした。


最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (こぶし)
2015-11-08 22:58:37
マスコミはいろいろな法案が通過した後に、様々な問題点をいかにもという観点で流すので、国民操作されているといつも思います。
その中で事前に戦争反対の声を上げることは勇気のいることですが挙げ続けなければと思って、サイレントスタンデングを継続しています。
返信する

コメントを投稿