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こんな時に、教育制度をいじり、学校9月始業式に決めて本当にいいのか?=その2

2020年05月03日 | 政治・社会
 学校の9月入学の唐突な話に対して、やはり多くの識者から以前にも何度も論議して来て今になっているものをなぜ、こんな大事な時期に急ぐのかという批判の声が上がっているようです。

 私は、前回の意見に加え、現場にいた者として、そして今は一市民として問題点をあげてみましょう。
①入学を9月にすると、新たに4月から8月までに生まれた6才になる子も入学することになります。そうすると、今の一年生に加えこれらの多数の児童が一年生になり、学年の児童数が大幅にふえます。同じように、中学1年生の扱いも問題になります。
 このように、今でも、先進国に比べて学級の人数が多い中で、さらに増えて、しかも今まで学んできた子と初めての子とが一緒に一年生として扱われるという不合理なことをどうするのでしょうか。児童の問題、増えるかもしれない教室数の問題、教師の問題も新たに発生します。これ一つとっても、時間をかけて論じなければ無理ではないでしょうか。
上記の問題は、学校教育法などの法律の改訂も問題になります。

②上記の問題は、幼稚園、保育園にも当てはまります。もちろん、1年生以外にも波及しますから、ことは簡単ではありません。今年は無理なら来年の9月からという話もありますが、問題は変わりません。コロナと切り離しての別な論議として時間をかけて取り組むべき課題ですね。

③一部の高校生が署名を集めたりして9月入学にという意見のようですが、これは大学入試を考えてのようですので、大学入試の在り方とも関連して、学校制度の9月入学の問題とは、別扱いにして論じるべきでしょうね。それに、大学入試をしない人も多いのですから、その人たちの就職問題もあります。

④そうは言っても、授業の遅れなどはどうするということがあります。これは遅れを一気に取り戻すことはできませんから、2年ぐらいかけて少しずつ補うことです。これは今までも、前倒しとか、後ろ倒しということがありました。一部分一年早く教えるとか、遅く教えるとか、あるいは削除することがありました。
 これは学校ではよく教材の精選などと言われますが、要は本当に大切なものを精選して教えるということですから、今回のような時間の削除に対応しています。法令上も可能なのだから文科省として広く知らせるべきです。

⑤今回は都道府県によって感染者もずいぶん違うのですが、文科省としては三密への対応として、登校日を1,3、6年とその他の学年などを分けるとかの分散登校なども例示もしていますし、学校や自治体によってはすでに実施計画を立てているようです。

⑥9月入学は、学校の問題だけではなく、大きな社会問題であることは自明です。
 国会や地方議会はじめほとんどが3月締めの中で、会計年度や就職、採用などすべてにわたって関わっています。全国一斉休校どころではない大きな社会問題ですし、日本の文化の問題でもあるでしょう。

 以上のようなことを考えるにつけ、次のように、今までの教育政策の問題点がこんな時に明らかになってしまうことを痛感します。

 ①先進国なみに30人学級にという親たちの要求に応えて、民主党政権時に開始した「30人学級」制度が、自民党政権に替わった途端、1年生のみ にして止めてしまったことです。ちゃんとやっていれば今頃すべての学年が「30人学級」になっており、子どもや教師に余裕が生まれていたはず です。これによって、学級の児童数が多い、教員の採用が抑えられ、教師の過労が常態になってしまいました。しかも、正規教職員ではなく臨時 が多くなり、このような時にも対応が難しくなっています。先進諸国は教育を重視して、少人数は当たり前、1学級複数教員とかの条件整備をし ているのは知られています。
 
 ②制度面でも大きな遅れがあります。日本は教師の自由度が極端に低いことです。教育内容を大綱として決めるのは良いとして、事細かく決めら れて、最近では指導方法までが指定されている例があると聞きます。
  特に、教師が教科書を使って教えるのにその選定も教師の意見が十分反映されないということでは、このような時に自主的に教科の精選や教  材を自由に検討しやすいとは言えないと思います。
  自主的に考える子どもの教育をめざすというのであれば、それを教える教師が不自由な条件のままでは可能でしょうか。
 
 ③十分な体制が整わないうちに、小学校への英語教育の導入、道徳に教科化により、教師の多忙化に一層拍車がかかり教材研究の余裕さえなくし てしまっているといいます。また、教師の病気による休職者が5000人にも上っているということもあります。そのような中で、教師志望者が減っ ている現状があります。

 ④今度のコロナウイルスの問題は、まだまだ先が見えませんが、私たちが知らず知らずのうちに思わせられていた医療の先進国というイメージ  も、感染症の分野では大変遅れていることが分かりました。教育も大きな問題を抱えていることがこのようなときに明らかになります。

  安倍政権は、この問題では、杉田副官房長官を中心に(文科大臣ではなく!!)検討を指示したと言います。コロナ問題と言い、学校問題と言 い、所轄官庁を飛ばして内閣官房がこんなにも乗り出すというのは疑問ですね。
  コロナ問題の解決もまだまだなのですから、「教育制度を大幅に変える」などと言うことに力を割かないでほしいものです。子どもを犠牲にし て、まるでコロナ問題から国民の目をそらす話題作りでしょうか。そんなことしている場合ではないでしょう!
  これからさらに5月末まで延長されるであろう自粛の先がまだ見えていないのに。



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