妄想ジャンキー。202x

あたし好きなもんは好きだし、強引に諦める術も知らない

『てるてる家族』19週 夢見る力できっと何かになれる

2016-08-21 15:11:48 | 朝ドラ
BSプレミアム・朝ドラアンコールにて再放送中、2003年BK制作、石原さとみヒロインの『てるてる家族』
19週目のネタバレ感想レビュー。



19週かけて描かれた夢と物語。


※BK頭おかしい、宝塚協力し過ぎ。




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『てるてる家族』17週 タカラジェンヌとヤングガイは命を懸けて

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●夢のおわり




冬季五輪グルノーブル大会(1968年)、フィギュアスケートに春子が出場しました。
結果は26位。


そのほぼ同時期。
シャトー梅田リンク店を手放す決意を固めた照子。



アコースティックアレンジの『ブルースカイブルー』が流れる中。
照子がリンクにみたものは、指導を受けている幼い少女でした。




あの日の春子を思い出してるように微笑む照子。
そして思い出の場所に背を向けて、次の夢へと旅立ちます。

春子のオリンピック参戦はこのグルノーブルの結果報告でほとんど終わります。

1968年、海外渡航は4年前の1964年に自由化されたばかり。
1ドルが360円の固定相場制、1人1年間に使える外貨は500ドルまで、持ち出せる日本円は2万円。
パスポートの申請もビザの申請も、税関審査も渡航前の予防接種なども大変厳しかった時代。

第18週で丁寧に描かれた五輪選考会が、春子と照子がリンクに描いた夢のクライマックスだったのでしょう。

ってそんなしんみりさせておいて。


「頭が痛い~毎日暇で頭が痛いわ~」

照子、通常運転。



●フユコ・アン・パターソン


卒業記念文化祭が迫り、早朝から夜遅くまでレッスンに励む冬子なのですが……


このあまりのグダグダっぷりにブチ切れる麻子さん。
(谷間がアンパターソン)


「岩田…あんたは甘いんじゃ!」



谷間がアンパターソンでも、これは冬子だwww
ていうか何このゾンビwww




●商魂のDNA


お疲れ冬ちゃん、マッサージ秋ちゃん。
ヘトヘトになりながらも、文化祭の座席券を売らなければいけない。

「鍼打ってあげよか?」じゃなくて「チケットを売ってくれる」という秋子。
ただし、『舞台で失敗したら一生何か言われる』と近所はやめてほしいと頼みます。


「今の冬ちゃんを知らん人に売ったらええねんね?」

秋子はそう言ったのですが……


・米原さん(2枚)
(すっかりレギュラー)


・ローリー(2枚)
(そうだなあ、宝塚入学の14週、ローリーだけが期待してくれてたんだよなあ)


・松本のおっちゃん(1枚)
(秋ちゃんが脱ぐ脱ぐいってるのは『才能のベール』です)


・寺井夫妻(2枚)
(この夫妻が4週妄想虐待してたの忘れないwww)


・萩原のおっちゃん(1枚)

「宝塚より新喜劇がいい」とほんこんに言わせたよ、この脚本www
しかも秋子、「そんなん鏡見てたらええやん」ってwww


そんな秋子の商才が光る売りさばきでしたが、冬子が嫌がった近所の人に手練手管で配るのがまた秋子らしい。
確かに、近所の人たちは『昔の冬子は知ってるけど、今の冬子を知らない』人たち。





●毎日暇で頭が痛い照子


ところでこの冬子の文化祭を控えた、岩田家の食卓。

毎回わりと思うんですが、お商売をしているおうちって『毎晩食卓に全員そろってお夕飯』は難しいんですよね。
だから冬子が1人でカレーを食べるし、帰ってきた照子に弘子姉ちゃんがお茶を入れる。
些細なシーンなんですが、『岩田家らしさ』が表現されていると。


暇で暇で頭が痛いという照子が冬子に絡みます。


「それで冬子、出番は多いんやろね?」


「『…』はセリフやろか?」
「けったいなセリフやな」


けったいなセリフかwww


そんな照子と対照的なのが秋子。
チケットを全部近所の人に売りさばいたことを報告しました。


「もうこれで逃げられへんよ、頑張りや」
「冬ちゃんやったらきっとみんなを楽しい気持ちにさせられるて」


冬子のモチベーションをそのまま刺激する秋子。
照子のやり方とは少し違うけれど、冬子にはこれが効く。
冬子を一番近くで見ていて、仲良しの天才同士である秋子の優しさと厳しさが素敵。

何となく5週(チキラー週)を思い出しました。


そして冬子が最後の一枚を、おばあちゃんに。



●前日譚


いよいよ数日後に控えて、化粧講習。
宝塚歌劇団の先輩からメイクの仕方を教わるんですが……



すげえ、冬子がアンパタースンに近づいてる!!

そんなある日の物干し台。
頑張ってる冬子のところに夏子から電話がかかってきました。



夏子どうしたの…?

「スタジオからかけてる」って言ってるけど、そこスタジオじゃない。


「いつでもこっちに帰ってきてな。顔見せに来て。みんな待ってんねんで」
「私…歌も踊りも下手やけど、夏子姉ちゃん目指して頑張る」


先週からスランプ気味の夏子。
冬子の誇りの姉・夏子。

夏子に降る雨が吉兆であればいい。




夏子と電話をしていたことを知る由もない照子がやってきました。


「明日、本番やね。頑張んなさいよ。あんたのできること精一杯やったらええんやから。ねっ?」

怪訝そうな表情をしながらも嬉しそうな冬子。
冬子への言葉が夏子に届けばいい。

そうしていざ本番の日を迎えます。



●ご近所コント


文化祭の会場にお客さんが続々集まってきました。
が、この人たちは通常運転。



岸谷五郎の顔からタカラジェンヌが生まれることをからかうほんこん。
ほんこんを「たこ焼きみたいな顔」と絞める岸谷五郎。



スーツで決めてきたけど、頭くちゃくちゃ。
でもそこがイケメンの松本のおっちゃん。


やだ弘子姉ちゃん役得…!!



そして久世さん。
毎年来てる婦長さん。

そもそものきっかけは、照子の入院中にいつも唇に歌を口ずさんでいたこの人でした。(10週
確かにヅカオタの久世さんは毎年来てるし、足立さんらの文化祭(17週)にもガッツリ来ていたんですが。

なんだかこう改めて、冬子の回に来てもらえるのは心温まるものです。



そして忘れちゃならないもう一人。
就職試験に奮闘している和ちゃんも来てくれました。
「自分に出来るだけの事やったらええねん」と春男に励まされたばかりの和ちゃん。


「ケセラセラやで、冬ちゃん」

ケ・セラ・セラ。
思いだすあの夏の日。

まだ6週子役だった頃、冬子が和ちゃんに、そして和ちゃんが冬子にかけた言葉。


久世さんにしても、和ちゃんにしても。
こうした過去エピソードを回収してくれるのがとても嬉しい。
モデルになっている方々はもちろん、登場人物や描いている時代、それを見ている視聴者への誠実な姿勢を感じます。



ローリーや佐藤のおじさん、米原さんらも集まって、いよいよ始まります。
1つ空いているのはおばあちゃんの席。



●幕が上がる


さあいよいよ本番。


「ほな、サンサンサーンや!」

冬子が提案した掛け声は「サンサンサーン」。
幼い頃から照子が言っていたのを聞いていて、自分も言っていた「サンサンサーン」。

「人生のハレを願ってそう言うねん」
「晴れ舞台の晴れな」


誰だって晴れることができる。
誰だって晴れ舞台に立てる。


ここまで来た積み重ねを思うと、あの爆笑していた頃が懐かしい。




●清く正しく美しく




ってこれ裏にいるの本物のタカラジェンヌ?!

この方たちにもきっとそれぞれのドラマがあったんでしょうねえ……
本物のタカラジェンヌはもちろんだけど、これに混ざって芝居する、石原さとみさん(冬子役)、木内晶子さん(麻子役)、堀あかりさん(恵美子役)、橘実里さん(理江役)ら緊張しただろうなあ……



と、のっけから「BK頭おかしい、宝塚協力し過ぎ」と200%の褒め言葉を投げたくなるところで、続いて、『六段』



センター上段です!
本気です!!

(石原さとみさんの本当の特技)

そんな冬子を一人双眼鏡で覗く照子。


「あんたにそっくりや。あの子が集中してるときの顔、あんたがパン作ってるときの顔とそっくりや」

その集中している表情に魅入るもう一人が和ちゃん。
和ちゃんの表情をちらっと見るのがローリー。
ローリー、いい子だよなあ。
後の久世さんも嬉しそう。



●面倒なもの、それは


『宝塚わが心の故郷』に引き続き『面倒なもの、それは?』

 

主演は麻子さんと理江ちゃん。

そう、あの理江ちゃん。
17週で、岐路にたっていた理江ちゃん。

辛い時もあった。
でも乗り越えた。
だから今がある。
あのときの先に今があった。




声をかけたのは理江ちゃんのお父さん。

親元を離れて宝塚音楽学校に入ることを強く反対していたお父さん。
その期待を裏切りたくない思いでくじけそうだった理江ちゃん。


理江ちゃんの本科生1年間は描かれはしなかったけど、きっと頑張ったんだろうな。
理江パパはワクワクしながら東京から来たんだろうな。




春男はその理江ちゃん周りの事情を知っているから(17週序盤でパンを作ったのはそもそも理江ちゃんを励ますため)、少しクスッと笑って。
でも照子は全然知らないから、少し膨れっ面で。

事情を知っている春男、知らない照子。
出番の多い娘の名を呼ぶ理江ちゃんパパ、出番の少ない娘を呼べない照子。


数カットで描かれる対比が秀逸。



●第111回


演劇、『いつかきっと』

バスを乗り過ごし、夢を見た。
夢の中ではフランス貴族だったらしく、レッスン放置で繰り広げられる妄想劇……っていう劇。


「フランス貴族なんだ。僕がフランス貴族の役をやってんだよ」
「おまえ大丈夫か?」



ここに米原さんの解説入ります。
テレビ(視聴者視点)の中の劇中劇(米原さん視点)のさらに劇中劇中劇(冬子視点)ってことなんですね。


 

話が盛り上がる?中、いまだセリフのない冬子。
ため息交じりの照子でしたが。


「『・・・』や」

サンサンサーンならぬテンテンテーンと。


そして冬子。ようやく出番、何言うかと思ったら……

「台詞はいっぱいあったのよ。私たちの間ではね」

脇役ですらないモブのような立ち位置だった冬子。
でもきちんと生きている。



舞台に立つ人は皆生きている。
なくても構わない役なんていない。
そう思いながら舞台に立つことはしない。
ただ歩いてるだけに見えるかもしれないけど、ここまで生きてきて今生きている。

台詞はないけれど、ある。




「私らは私らなりのストーリーの主役なんやから!」

冬子がつい大阪弁になったとき。
冬子の言葉は瞬間、劇と劇を飛び越えて、テレビ越しにこのドラマの大事なことを伝えてきているようでした。

すごいな。
いや、この111回ここまでがほとんど宝塚の舞台であることもすごいんだけど。


すごいな。
111回かけて描いてきたことが、冬子の舞台に全部集約された。


 

この直前の110回最後のナレーション。

「私は夢中でした。夢中で今を生きることに精一杯でした」

当たり前のように繰り返される冬子のナレーション。
冬子はいつだって今を生きてきた。
冬子だけじゃない、岩田家や和ちゃんらみんな。
名もなき岡持ちも、郵便屋さんもみんな。




●敗北宣言


そんな「今を生きる」冬子の熱演を観た一同。


寺井夫妻は感無量。


ほんこん×小米朝www


「冬ちゃん! ええよ!」


秋子の一声で始まるスタンディングオベーション
そして照子は……


「私は負けたわ、もう」

岩田家の横綱・照子。
その敗北宣言。



客席後方、ひとり冬子に拍手を送る人がいました。
それは夏子。

立つ舞台もスタジオもない夏子が、東京からやってきていた。
誰にも知らせず、盛り上がる会場の中で冬子に声をかける。

冬子の言葉が夏子を励ませていればいい。



●夢から醒めて


祭りの終わり。
夕暮れの物干し台。

「まるで昼寝の夢から覚めたときのようです」

そんな冬子に声をかけたのが和ちゃんでした。


「おかえり」
「ただいま」


久世さんの歌がきっかけで思いついた照子。
照子から宝塚を薦められた冬子。
その冬子の背中を押したのが和ちゃん。


12週で、どうしようもないノリと勢いで目指した宝塚。
「どうしましょ」とニヤニヤしていた宝塚。


そこから何年。
ゾンビになりながらも頑張った冬子を「おかえり」という迎えるのが和ちゃん。


「和ちゃんは、昔から和ちゃんやし」
「冬ちゃんも、昔から冬ちゃんやな」


2人はあの頃から変わらない。
ケセラセラと言っていたあの夏から変わらない。

「これからも、私のこと励ましさしたげる!」




あの夏のように、和ちゃんを追いかける冬子。
2人が少し大人になった今思うのは、ああ、春男と照子みたいだなって。








●夏子のイースト菌になる


冬子の大舞台が終わり、敗北宣言をした照子。
夫婦の寝室で、春男をゆさゆさしながらあることを提案しました。


「今度はあの子のイースト菌になってやりたいねん」

夏子のイースト菌になりたい。
傍で励ましたい。
だから東京に行かせてくれ、と。



●春子、帰国


数日遅れて春子姉ちゃんがグルノーブルから帰ってきました。

 
「選手村の食べもんはホンマ豪勢やったわ」
「ええなー」


オリンピックの成績のことに一切触れようとしないので少し不満げな春子。

「26位かて世界の26位やで」

2016年に再放送中の今、ちょうど8月、リオデジャネイロでオリンピックの真っ最中。
ドラマの中のアスリート・岩田春子と、現実の石田治子さん(春子のモデルの方)だけでなく、さらにリオ五輪のメダルラッシュが重なります。


参考:岡本治子コーチインタビュー - ウェイバックマシン(2012年3月18日アーカイブ分)




●ローリーwww


もう一人、北摂大学に受かりましたローリー。
北摂大学は秋子の通っている高偏差値の大学。


「僕のいつも5メートル先を歩いてますね」

やっぱり5メートルなんだwww
冬子に「半径5メートル以内に近づかないで」って言われてたけど(15週)、秋子にも5メートルは近寄れないってwww

突然『ラブミーテンダー』を歌いだしたり、台詞にエコーかけだしたり。
「ハッピーニューイヤー!」で登場してトンチキ洋行帰りのローリー。


「ナンセーンス」

ちょwww秋子www

ロンドンから帰って好きになった女の子には相手にされずに、今度はその姉に憧れたけど、結局「ナンセンス」って昭和コントのオチをくらっちゃうローリー。
強く生きろwww



●和ちゃんの未来


とまあ、冬子の大舞台が終わり、夏子を思う照子、帰ってきた春子、ローリーの出発など明るい話が続くのですが。
ここに大問題が一つ。

和ちゃんの就職活動。



これがなかなかどうして決まりません。


不採用、不採用、不採用に次ぐ不採用。


そら和ちゃんもこの表情になるわな。



そんな和ちゃんをずっと気にかけていた春男。
息子のように思っていた春男。



そんな春男に和ちゃんが、ようやく届いた採用通知。
けどその端は握りつぶされていて……。



採用通知が届いたことを報告した和ちゃんに喜ぶ春男なのですが……
問題がその就職先。


「大手の…製パン会社です」

和ちゃんまさかの大手製パン会社。
怒りかけた照子を抑えつつ、春男は言います。

「おんなじパン作んのに敵も味方もあるかい」
「ここにいてた経験が買われたんやな。俺ほんまにうれしいで。それは!」


動揺とショック、寂しさ。
でも今それをここで見せてはいけない。
笑顔で和ちゃんを送りださなければいけない。



卵をかき混ぜる音が、なんだか今日は切ない。



思えば、和ちゃんが岩田製パンにきたのは12週の話。
そのときちょうど、受託生産していた学校給食パンの事業が打ち切られ、従業員を雇い止めしなければならない事態に陥っていました。
このときは結果的に恒ちゃんが佐世保に行くという形になったのですが……。



あのときの恒ちゃんとどうしても比べてしまう、今の和ちゃん。




悩んだろうな。
迷ったんだろうな。

でもこれ以上お世話になるわけにはいかない。
出ていくには就職先を見つけるしかなかった。
でもなかなか見つからなかった。
最終的に、経験のある製パン業界に進むしかなかった。

春男の言う通り、「敵も味方もあるか」なのでしょうけれども。
でも12週のように、大手製パンによって岩田製パンのような小売店が窮地に追い込まれるのもまた事実。

酷い言い方をするなら、それは『恩を仇で返す』ってことなのかもしれない。

でも、きっと。
「経験を買われた」のは事実だったんだと思います。
春男からしてみればそこは素直にうれしかったんだと思います。


冬子、和ちゃん辛そうだよ。
言ってあげて。
ケセラセラって。



12週


6週



●夢のはじまり


そして工場にて。



放心状態の春男。
『銀行員から転身してパン屋』になってから20年以上。

「パン屋になってよかった」とは言いつつも、本当は苦労したと語る春男。

その春男へ。
記憶にあるのは笑顔だけだ、と冬子が声をかけます。



『淋しげ』に笑う春男の横でまどろむ冬子。
冬子が見た夢は……



元祖イースト隊が集まった岩田製パンの工場。
大きな大きな発酵箱。
イースト菌が見せてくれる夢がキラキラしてる。

 

工場長、喜介さん、恒ちゃん。
春男がいて、和ちゃんがいて。


冬子がパンを焼いている。



このシーン回想ではないんですよね。
工場を引退したキャストがまた集まる。
そこにいるのは『今』の工場長で今の喜介、恒ちゃん、和ちゃん、春男、そして冬子。


大事な大事なシーン。
スタッフもキャストも本気の作り。
だからこそスッと感情移入できるし、そこにいないキャストも見える。

そこに賢作兄ちゃんはいないけれど、見えないけどいる。
見えないけど「冬ちゃんよかったな」って笑ってる。



「天の声や…」

天の神様のお告げだなんて王道中の王道。
でもそれは不自然じゃない。


「私の思いは突然、発酵したように、大きく膨らんだのでした」



●家族のために


パン屋になりたい、その思いを春男に告げた冬子。


「アホ!俺は許さへん」

まあ、そうですよね。
あんなすごい舞台見せられたあとに、これは驚くわな。

家のためにパンを継ごうとしてるのか?と問いただす春男。
しかし冬子の決意は揺らぎません。


「違う。自分のためや。そやけど何でお父ちゃんのためにやったらあかんの?私がお父ちゃんの力になりたい思てもええやんか。私は家族やねんから」
「私のパン作ってみせる!」


宝塚かパン屋。
とんでもない選択肢。



●間違ってもタダでは起き上がらない


この話を聞いた照子もまた冬子を諭します、『逃げ』ではないのか?と。
「何から逃げてると言うのか」と冬子。
「自分の胸にきいてみなさい」照子はそう返すのですが。



「お母ちゃんの口から言われへんよね。お母ちゃんこそ自信あらへんから」
「お母ちゃんはずっと私に自信なんか持ったことあらへん。私はずっとあかんと思てる」


おおう……胃にずしっと……。

もちろん照子は否定するのですが、ならば宝塚に入団したらトップスターになれると思っているのか?と冬子。

しかし「スターになる必要はない」と照子。

……これは傷つく。
いくら照子メソッドが冬子には効かないとはいえ、照子が冬子に敗北宣言をしたとはいえ。

春子や夏子の尻を叩いてきたのを後ろからみてきた冬子。
同じようにお母ちゃんに愛されたいと望んできた冬子。


これは傷つく……と言いたいのですが、それは冬子はもうとっくにわかっていたようで。

「スターになんかならんかてええ。スターだけが宝塚と違う。そう思て私は2年間やってきた。それくらい宝塚が好きやね」


純粋に宝塚が好きだった。
でも同じように、パンを作るのも好きだった。


そうだなあ……冬休み、練習放置でパン作ってたもんね。
「人生のツボ」だったんだもんね(16週



もちろん照子も反論。(さすが強い)
パン屋になってどうするんだ?と。

だが冬子も負けじと、じゃあオリンピックに出てどうするんだ?歌手になってどうするんだ?と。

なんだか論点ずれてきてるのがまた親子喧嘩のリアルっぽさなんですが。


「勝手にしい!アホ!」
「勝手にしい!アホ!」
「親に向かってなんちゅう口のきき方すんの!?あんたは!」
「大事な娘に向かってなんちゅう口のきき方すんの!?」


なんでリピートしてんのwww

……とコーヒー吹きかけた瞬間。

「ほんまに…ほんまに大事や思てんねんで。あんたには…伝わりにくいか分からへんけど…」

照子の本音がこぼれました。

そして冬子の気持ちも。
照子のことを「偉い」と思ってきたこと。
一生懸命に取り組んできた母親を尊敬してきたこと。

2人がようやく向き合って。(多分初めて)


「あんたのその言葉、心の底から信じたげる」
「大丈夫や。あんたは私の子や。間違うてもタダでは起きへんやろ?」


間違えないかどうかはわかない。
後悔もするかもしれない。
でもどの道も無駄にはならない。

なんとも照子らしい励まし方。


よかったね、冬子。

そして最後の卒業式。


「私にとって最後の卒業式に、やっとお母ちゃんが来てくれたのです」

入学式、楽しみにしてたんだよね。
仕方なかったんだよね。
でも、ヨネばあちゃん来てくれたの嬉しかったよね。(14週

あれからしばらくしてヨネばあちゃんは旅立ってしまったけれど。
大好きなお母ちゃんが来てくれたね。


よかったね、冬子。



●宝塚、わが心の故郷


春男、照子とのやりとりと前後して、冬子は宝塚音楽学校の同期生たちにも思いを告げました。


「私…パン屋になろ思てんね」


呆れかえる麻子さんや理江ちゃん。
恵美子さんは下を向いて俯いていました。

恵美子さんだけ何も言わない。
でも恵美子さんにもセリフはある。
ああ、あの演劇とかぶせてるんだ。

そして卒業式の日。
慌ただしく入団式を迎えるので、別れの挨拶もできないまま、ガランとした部屋にひとりの冬子。



そこにやってきた。
宝塚音楽学校同期生。


「許さないよ。後悔したら」

黙っていた恵美子さん、いつもは優しい恵美子さん。
厳しく送り出す。



「ええパン焼くんよ。我々同期に恥じないような」

思えば受験のときから、冬子をひっぱったのは麻子さんだった。(14週


「パン屋さんなっても友達でいてね」

一度は諦めかけたけど、でも頑張った理江ちゃん。
17週




そして最後にみんなで「サンサンサーン」。


「先のことはまだ分からない」

みんながそれぞれスタートを切っていく。
みんな少しずつ問題を抱えているけど、前に進んでいく。




思えば今週月曜、夢を終えた照子と春子。
冬子が懸命に練習する姿。
そして文化祭。

和ちゃんの苦悩と冬子の覚醒。
その根底に流れていたのが多分、あのうつろいやすい音程を持った少女の『ケ・セラ・セラ』だったのかもしれません





●次回予告


だめだ、工場長が再登場ってこと以外よくわからなかったwww




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