勇足中学校だより ( Yutari Junior High School News )

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惻隠(そくいん)の心

2011年12月24日 | 学校だより
惻 隠 (そくいん) の 心
校長  関 根 秀 実 


 私の母は、体調にもよるのですが、記憶が5分程度しかもちません。
 先日実家に泊った時も、明日の朝食の心配をして、味噌汁の鍋と、炊飯器と冷蔵庫を数分おきに巡回していました。それが一段落すると、私の寝る布団やパジャマの心配をして何度も何度も声をかけてくれます。ありがたい事です。私にできる「思いやり」は、たとえその話が何回目であっても、初めてのような顔をして聞くことでした。そして、そのたびに心を込めて「ありがとう」を付け加えることでした。小学校6年生まで夜尿症が続いた私に、嫌な顔を一度も見せずに布団を干し、洗濯をしてくれた母への恩返しかもしれません。
 こう書くと、私が思いやりに溢れる人間だと勘違いする方がいるかもしれませんが、実は、父の話に耳を傾けるのは大の苦手です。ついつい、人の悪口も言ってしまいます。バッサリ切るような物の言い方で、人を傷つけてしまうこともしばしばです。人間ができていません。

 何年か前に、日本から「惻隠(そくいん)の心」が失われかけているという文章を読みました。その文章を読んで初めて知ったのですが、「惻隠」とは、苦しんでいる人や弱者を思いやる「愛」「寛容」「同情」「憐れみの心」のことで、人間の魂のすべての性質のうちで最高のものと書かれていました。「思いやり」という言葉のもとになった深い意味も持っているとのことです。
 私にはこれが足りないのかなと思いました。
 一方、今回の震災で、日本人の心の奥底には、ちゃんと「惻隠(そくいん)の心」があることが分かったような気がします。いかがでしょうか。

 さて、お正月がやってまいります。「おじいちゃん」や「おばあちゃん」の昔話に耳をかたむけ、目上の方やお年寄りを大切にする心についてじっくり考えるには最高の時かもしれませんね。
 1年間のご支援ありがとうございました。良いお年をお迎えください。

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