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こころが生ずる場

絵本のこと、日々の生活のこと、研究のこと、折々に書き留めていきます。OCNから引越しを命ぜられ移り住むこととなりました。

春からのメッセージ

2007-03-21 19:30:38 | 

チューリップが芽を出した。

チューリップのちっちゃな葉が,地面から,

まるで手のひらを青い空に向けて広げるように,

顔を出していた。

 渇いた地面に水をまく。

元気に大きく育て,と,

たっぷりの水を地面に含ませた。

手のひらで掬い上げたような 水のしずくが,

チュウリップの葉の中で,

透明に輝いていた。

 それは,まるで・・・

ぱさぱさに干からびたスポンジに,

水を含ませるような感覚で 心の中に染み渡っていく。

 チュチュンという声がした。

こっそりと声の先を見る。

チューリップの葉の器から しずくをついばむ,

すずめの親子がいた。

それは,まるで・・・

春からのメッセージ。

07_7

 大地と空とチューリップ,それにすずめと私が,

そんなふうにつながっているんだと 教えてくれる。

春からのメッセージ。


『すき間の時間-晩秋から冬へ』

2006-11-25 12:33:04 | 

Photo_157 ねこの夢 開かれる場所 陽だまりの冬  ゆた拝)

外に出たい,

 外に出たいという衝動。

 がむしゃらにサッシを引っかき,

 見事に外への通路を開いた。

 自慢するでもなく,誇るでもなく,

そんなことは一瞬の今にしか過ぎないのだ,

とでもいうようにネコは消えていった。

・・・・・・・・・・・・

サッシの隙間から,

木枯らしが入り込んでくる。

白のレースのカーテンが冷たくゆれる。

ゆれるたびに,

ひんやりとした空気がはりこむ。

そして,カーテンからは,

きらきらとした光りがこぼれ落ちてくる。

・・・・・・・・・・・

なにかをしたいという衝動,

そんな気持ちさえも湧かない。

ほんのひと時のすき間の時間に,

取り残されてしまった部屋で,

わたしは・・・・,

こぼれ落ちる光りの粒を感じている。

             (by yuta)


木人

2006-11-17 23:56:30 | 

Photo_156

答えようがない告白に

立ち尽くしている。

それなのに,表情を変えず,

ゆれうごく情動を態度に表すこともない。

今,ひとり,ここで気持ちを抑えることができないのなら,

なぜ,その時にその場で表現してあげなかったのだろう。

哀しいことだと,

つらいことだと,

自分のいやなところを数え上げたらきりがない。

でも,一番いやなところは,こういう自分なのだ。

一番先に,声を上げて泣きたいのは私だ。

いやだと叫びたいのは私なのだ。

表現すべき瞬間を逸してしまった感情は,

自分の中に押し込まれてしまうだけなんだろう。

そして,ただ淡々と,

ただ淡々と

何事にもこころを動かさないかのように振舞っている。

メメント・モリ

命は儚い。

儚い命であることを,

忘れずに生きる。


私に『私』を教えてくれるわたし

2006-10-15 00:46:17 | 

Nike_1 ときおり 不意に,

小さかったときのわたしが,

私から飛び出して,私の前に現れる。

小さかったわたしを ありのままに受け入れて,

遊び相手となってくれた おじいさんたちと一緒に。

そして,家が,

家の気配が感じられる。

いろんな雰囲気の,

いろんな間取りの家。

小さなわたしは 父と一緒に,あるいは,

勝手にひとりで 訪れては 探索した。

誰も だめとは 言わなかった。

自由にめぐって歩いた。

いろんな人がいた。

いろんなものがあった。

下宿人のお兄さん(遊んでもらうのが楽しみだった),

日本舞踊の名取のおばさん(教えてもらったけれど結局へたっぴのままだった)。

掛け軸,花瓶,磨かれた石,錦鯉,

牛だって馬だっていた。

みんな おもしろそう,だった。

そんな中で,不意に声がする。

『自由ってなんだ』

・・・・・・・

不思議な時間を 生きてきた。

・・・・・・・

小さなわたしが 私に振り返る。

そして,ニッと笑う。

・・

・・

昔からなぜか,家の中を歩いている夢を見た。間取りはその都度,変わっているようだが,なにか懐かしいような気もする。

大きいけれど古い家。

なぜ,くり返し見るのだろう,と思っていた。

朝倉彫塑館が好きなのは,きっと家だ。その間取りと空間が夢と結びついていたからなのだろうと思う。

家の中を巡って歩く行為,それには私にとっては特別な意味があったのだ。


こわれちゃった

2006-10-07 12:17:17 | 

Photo_133  もう一歩だって 前には進めない

 そう思うときがある。

 うつろに ただうつろにしか

 現実が映し出されない。

 壊れてしまった・・・,

と感じるときだってある。

ぶぶぶると凍えるような こころ。

びりびりと破れるような こころ。

ピリピリとひびわれるような こころ。

プチプチとつぶされるような こころ。

そんなふうに 心底,感じる日,

雨にも風の強さにも負けず コスモスのように

ただ踏んばって 立っている,

自分がいる。

なにか 可笑しく,

可笑しくなった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

壊れたのは <私>ではなく,

透明なビニール傘の方だった。