あなたのその声だけが頼りだった。
あなたの温かな眼差しだけが生きる道しるべ。
あなたが、長々としゃべりだしたとき、僕は幾分、不機嫌になった。
僕にとって,それは必要なものではなかったから。
でも、あなたは気づかずしゃべり続けていたんだ。
何でおこるの?とあなたはいった。
何で怒るのか?そんなこと僕に聞くなよ。いつだって,そう,そう思っていたんだ。
僕にとって大切だったのはたった一言。
「大好きだよ」
僕に向けられたそのまなざしとその声だけだったのだから。
もう、あなたも分かってくれたころでしょう。
僕の場所に、僕がいなくなった今・・・。
僕はいつだって生きることそのものをあきらめたことはない,と断言する。
でもあなたは、いつだって心のどこかで、僕と出会ってしまったことを悔いていたでしょう。
そのことで結果的に僕につらい思いをさせてきたって。
僕はそんなふうに思ったことは一度だってない。
風が運んでくる香り、雨の雫、オレガノの日陰、
雀たちの戯れ,ヒヨドリの声,
温かな陽だまり。
最高だったのさ。
だから、僕を想って泣いてはいけない。
僕は動かない足を引きずりはしたけれど、堂々と生きた。
それをあなたが、あなたこそが認めてくれなきゃいけない。
僕のことを思うなら、そうしてほしい。
僕の場所に僕はもういない、と思っているかもしれない。
けれど、そんなことはない。
いつだって、ここにいる。
返事はしないけれどね!