この腹立たしさは何なのだろう?
この腹立たしさはだれに対してだろう?
・・
いつの頃からか,
感情まかせに人に怒りをぶつけるということをしなくなった。
怒っていないわけではない。
それどころか,ものすごく怒っている。
そういうときでさえ,
怒るという地点から一歩身を引く。
怒って変わるなら,
怒鳴って変わるなら,
いくらだってしただろう。
・・
大体,なにを変えたいのだ?
だれが変わるというんだろう。
自分以外の何者かを変えようというのなら,
それこそおこがましいし,いやらしい。
そういう醜い心根にはなりたくない。
変わるならこのわたし
変えたいのはこのわたし以外の何者でもない。
・・
だが,
許せないことはある。
許せない人はいる。
・・
この腹立たしさは何なのだろう?
この腹立たしさはだれに対してだろう?
・・
マザーテレサのことばを引用しながら,マザーを知らず,
フローレンス・ナイチンゲールのことばを引用しながら,フローレンスを知らず,
宮沢賢治のことばを引用しながら,賢治を知らない。
そんな大言壮語の虚栄心の強い,
行いが伴わない,
自己の貧弱な人。
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・・
そういう人に出会うと思う。
この人はまさに自分の未熟さを,
自分の心の奥く深くから引きずり出す,
鏡のようなおぞましい他者だと。