泣き言をひとつ,
湯船に浮かべてみる。
人差し指ではじいて,
散らす。
懐かしい人がまた,
あちらへ行ってしまったことを知る。
妙に星が輝いて,
橙色の月が近くに見えた日。
寂しさをひとつ,
湯船に浮かべてみる。
人差し指ではじいて,
散らす。
あの日見た橙色の月のような波紋が,
静かに広がって消えて行った。
泣き言をひとつ,
湯船に浮かべてみる。
人差し指ではじいて,
散らす。
懐かしい人がまた,
あちらへ行ってしまったことを知る。
妙に星が輝いて,
橙色の月が近くに見えた日。
寂しさをひとつ,
湯船に浮かべてみる。
人差し指ではじいて,
散らす。
あの日見た橙色の月のような波紋が,
静かに広がって消えて行った。
笑っている顔が,悲しんでいるとき,
怒っている顔が,喜んでいるとき,
そんな人間はいるだろうか。
・・
笑っているが,なぜ悲しんでいるではいけなかったのか,
怒っているが,なぜ嬉んでいるではいけなかったのか,
よく分からないな。
人間の決めたルールに,必ずそうであらねばならなかったことって,
どれだけあるんだろうか。
・・
悲しんでいるが,笑っているでもいいだろう,
喜んでいるが,怒っているでもいいじゃぁないか。
たまに会うかもしれない,そんな風変わりな人たちとも楽しく暮らすために。
・・
思いっきり思い込み,勝手に誤解して,
思慮という言葉さえも頭に浮かぶ余裕もなく,
他者を傷つけたんだ,と知ったとき,
傷つけた他者と自分,
本当はどっちがより深く傷つくんだろうか,
よく分からないな。
・・
よく分からないけれど,
そんな時,
一番なりたくない人間は,
気づかなかったふりをする人。
それでも我を張り続ける人。
これは,傷ついた自分をさらに傷つけ,
傷つけた他者をもさらに深く悲しませることになるから,
そして,仕舞いには,
それと気づかず,
自分を自分で,
ごまかし続ける人生を選択することになるから。
・・
しぇいくすぴあーの悲劇,
しぇいくすぴあーの喜劇,
まぁ,飲もうじゃぁありませんか。
まぁ,語ろうじゃありませんか。
よく分からないな。
わかろうとするのは大体なぜなんだか?
今,お皿に添えられたそのパセリが,
なぜ今が一番おいしいのかなんて,
わかるわけがないじゃぁ,ありませんか。
・・
それは,わかるのではなくて楽しむもの。
まあ,飲もうじゃありませんが,
そして今が旬である,
そのパセリの味を,
心底,楽しんであげるのが粋ってものでしょう。
ほんとよく分からないな,あんた。
くるくると回り続ける椅子,
それが私。
くるくると回り続ける椅子には,
誰も座ることができない。
そんな物を,
椅子と呼ぶことができるのだろうか。
椅子の形態はしているが,
椅子の機能を果たすことができない。
奇妙な椅子。
夢の中の私は,
そんな物になっていた。
椅子でありながら,
椅子というものの定義とその意味について,
ひたすらに考えている,
まさに,奇妙な椅子であった。
冬のとこやは
のばしほうだいなんてみとめない
けやきの大木をひょうてきに
弟子をしたがえてやってくる
なんどでも
おなじ場所へしゅっちょうする
駅前通が
どんなに散らかろうと
しったこっちゃない
・・
・・
冬のとこやは
わかばもセミもしらないで
いってつに生きて
しんでゆく
・・
・・
そのわけを
しりたいいちまいが
おちばのなかにはあるのだろう
(木坂涼,冬のとこや,より)
・・・
・・・
舞い散っていく落ち葉たちの中には,
自分が散ってゆかなければならない訳を
知りたいと本気で願い,
果たせず舞い落ちる1枚が,
あるような気がする。
その思いが,緋色に映えて,
美しく,寂しくこころに反射するんだろうな,とか,Scaraさんのもみじ葉を見て思ったのでした。