和貴の『 以 和 為 貴 』

邪は邪を呼ぶ〔その弐〕


- 妻の友人女性との会話 -

「ちょっと見てほしいものあるんですけど」といって、スマホをバッグの中から取り出し

「これなんですけど」と、スマホの画面には彼女が暮らすマンションの洗面所が写されていました。

『これがどうしたん?』と尋ねると、彼女は画像を拡大しはじめ、ちょうどよいサイズになったあたりで、

「ここに写ってるのわかりますか?」と。

『ん?ってこれ心霊写真かい?めちゃ写ってるやん!!』

「他のも見てください」と言って、さらに洋室の画像を見せられ、

『あぁ、ドアんとこ。はっきり見えるね』

「そうなんです。他にもありますよ。」といって今度は台所の画像を見せられ、

『めちゃめちゃおるやん』

「前々からなんかおかしいなと思ってて、試しに何枚か部屋の写真撮ってみたんです。そしたらこんなに…、どうしたらええのか分らんくて…、友達に相談したら、一度お祓いしてもらったらって言うんで、紹介で〇万円出してお祓いしてもらったんです。だけどそれ以降もほとんど変わらなくて…」

『そかぁ。お祓いしてもらってもあかんかったんや。そらやっぱり、かなり悪どい霊なんかもしれんへんね。ちょっと御免やねんけど、お家のこと色々聞かせてもらっても良い?』

というわけで、筆者は彼女の家庭事情などを事細かに聞き、

『それはね、おそらく家の誰かがいろんな霊を連れて帰ってきてるんやと思うよ。』

「やっぱりそうなんですかね?わたしでしょうか?」

『ううん。それは分からへんけど、はっきり言って家庭環境が悪すぎると思うねん。例えば、兄弟姉妹が無職で朝晩がひっくり返っていること、ほんで、お母さんが〇〇学会に自力していること。つまりは、ひとりひとりが邪の心に侵されてるから、その隙を狙って悪い霊がついてきてるんやと思うねん。』

『俺、専門でもないから保障とかできんけど、やっぱり寝る衆には寝て、起きる衆には起きる。で、起きたらすぐにカーテンと窓を開けて空気を入れ替えたり、顔を冷や水で洗ったり、そうした心掛けも必要やと思うんよ。なぁ!』というと妻も同調して深くうなづきます。

「それ以外になんかありますか?」

『そうやね。お母さんが自力してしまってるんは、まずもってどうにもならん話しやから、やっぱり兄弟姉妹できちんとした生活習慣に戻すべきやろうね。掃除はもちろん、少しでもみんなが一緒に笑いあえるように、とにかく元気!元気!っていうのが一番良いと思うんや。』

「けど、うちの兄ちゃんも妹もおそらく無理っぽい…」

『やろうね。おそらく死んだ魚みたいな目になってるんちゃうかな?けど、いくらお祓いしようが何しようが、ひとりひとりが変わる努力しないかぎりは、その霊さんたちも出ていかんとおもうよ。というか、そもそも悪い霊なんておらへんって思ってるから俺。その霊さんたちを善くするも悪くもするも、そこに暮らす人間次第やって思ってるからや。』

「はぁぁぁぁ」と深くため息をつく彼女。

『とにかく、自分の身の回りだけでもきちんとやってみそ!とにかく朝になったらカーテンを開けて部屋の空気を入れ替える。で、その写真は消しといたほうがいいと思うな。』

「ですね…。がんばってみます。」

『ちなみに俺んとこの家にも霊さんおるんやで。まぁ俺は見たことないけど…。せやけど、うちの霊さんはいつもニコニコしてはるで。おそらく俺らがこの家購入してから、きっと喜んでくれてはるって思ってるねん。せやから、霊さんがこの先ずっと笑ってくれてるように、ってなぁ!』

すると妻がまた深くうなづきます。

『邪は邪を呼ぶ…、けど善は善を呼ぶ…。これ、大事な心掛けやと思うねん。変わるべきは自分自身。いわゆる自分革命ってやつね。それで回りも明るくなって…』

と云々。


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