日本でも一昔前まで、民主青年同盟(共産党系)に入ったら必ず読まされたみたいですが、私が東洋大学に通信で通ってた頃にちょこっと民青サークルに入った時には(サークルは10以上入りました)、もうこんなガチな革命本は必読書ではありませんでした。
昨日ようやくAmazonで注文しましたが、概要はだいたい分かってます。
この本が特別な価値を持ったのは、作者が多発性硬化症(ALS)を患っていて、32才で亡くなる前になんとか書き上げたという背景も在るようです。
さて、曹希聖の回想に入りますが、彼とその先輩達がいかに鋼鉄へと鍛えられたかを、希聖は重慶大学の学生達に向かって語ります。
その声は力強く響き渡り、革命に飢えた学生達の心を鷲掴みにします。
都市での革命に破れた共産党員達は農村に潜伏し、毛沢東、劉少奇、曹希聖らは故郷の湖南で組織化(オルグ)を行います。
ここでは既に、安源炭坑での労働争議に勝利した経験があり、その労働組合は国民党によって解体されましたが、農村に帰った炭坑労働者達はオルグを積極的に行い、25年には30万人だった組合員が27年には500万人にまで膨れ上がりました。
ここで少し炭坑での労働争議について振り返りますと、それは毎年1000人以上が亡くなる過酷な現場で、三交代制でしたが8時間労働では家族を養えず、殆どの鉱夫が16時間働いていました。(出稼ぎで仕送りする為にも)
イギリス資本の炭坑(安源)は特に酷く、人間をロバよりも価値の無いモノとして酷使し、安全対策など最低でした。
因みに現代でも炭坑の火災は手が付けられず、百年も燃え続けている所が在ります。
こうした炭坑では資本家に雇われた軍閥が暴虐の限りを尽くしており、そのレベルは都市部での弾圧など比べ物にならない程でした。
それに打ち勝つ為に、労働者は鋼鉄の如く鍛えられて組織化し、安源炭坑では劉少奇が中心となってストライキを行い勝利を収めました。(賃金アップと安全対策)
劉少奇は毛沢東の後に国家主席となり、大躍進政策で崩壊した経済を立て直そうと尽力しますが、戦友である筈の毛によって葬り去られます。
しかし劉少奇を支持する紅衛兵グループも存在して、それが紅衛兵どうしの武闘を引き起こす原因ともなりました。
希聖の回想は農民組合の急激な発展により、資本家と地方軍閥を駆逐して革命根拠地を打ち立てた所まで進みます。
そうした中で、二十歳そこそこの希聖の活躍は先輩達の目に留まり、彼は毛沢東の右腕として辣腕を振るうようになります。
次回は革命根拠地を国民党によって追われて、長征(敗走)をさせられた時の回想に入ります。