真の動物福祉牧場を目指して

2060年のエクソダス Part.2

 今回も引き続き、四菩薩の唱題行を描いて行きます。
 それはダラムサラーでの49日間に渡った「宇宙史上最大の葬儀」のフィナーレに当たり、100万人超の参列者が夜通し一緒に祈る情景の中での話です。

 それまでずっと、バックグラウンド-ミュージックとして響いていた太鼓と唱題の声は、ラストでダラムサラー全体を包み込む盛大な「祈りの声」となり、御輿に担ぎ上げられた秀祥は多くの松明と供に山中の町を駆け巡ります。

 このバルドゥ祭を主管する役割は、105歳の賢者ユパから「勝利の女神ドゥルーガ(27歳)」に引き渡されていて、流河(ルーガ)は踊り子シルヴィア(106歳)と共に祭りのフィナーレの演出を考えました。

 そんな流河は秀祥の御輿を先導する役割を果たし、様々な国や宗派によって分かれた祈りの会場を巡ります。
 そこには、このバルドゥ祭に最高額の喜捨を投じた「富の女神ラクシュミー(25歳)」も同行して、2人の菩薩は七つのマントラによる唱題をリードします。

 この唱題行の肝はリズムを合わせるコトで、観音菩薩ルーガは躍るような見事な太鼓のバチさばきで7拍(短い3拍と長い4拍)のリズムを統一して行きます。
 彼女はあまり多くの宗教を知らないので、七つのマントラに深く入るコトは出来ませんが、歌うような見事なフシで唱題して祭を演出します。

 ここで「七つのマントラ」を振り返りますと、これは秀祥がアメリカでの平和行進にて編み出したモノです。
 基本は日本山の平和行進スタイルで「南無妙法蓮華経」と唱えられ、これはチベット仏教の「オㇺマニペメフム」と全くの同義です。
 
 次に多数派を占めるのはヒンドゥー教の「オーㇺヒングバトゥカヤナマ」で、ダラムサラーは北インドにあるので祭好きのインド人が大勢集まります。
 イスラム教徒も多いエリアなので「ラーイラッハーインアンラー」も唱えられ、これはキリスト教の「アーメンハレルヤ」と同じ様な意味合いです。

 あと2つは、ネイティブ-アメリカンの「ホーㇺミタコヤシン」と、アフリカ由来の「マナエㇻンヴィータルムントゥー」とし、これらは少数派ですが同じマントラばかりを唱えるのが嫌いな人には受け入れられます。
 
 浄行菩薩のラクシュミーはあらゆる宗教に興味を持つので、この七つのマントラに深く入るコトができ、祈りの多様性を尊重しながらそれらを彼女の中で1つにまとめ上げます。

 「美の女神パールワティー(26歳)」と「戦いの女神カーリー(18歳)」は1箇所に留まって「南無妙法蓮華経」を唱題し、そこには日本と中国からの参列者が集っています。
 文殊菩薩のパールは大の日本好きで、それは幼い頃に祖父のアレクサンダー・ソルジェニーツィンに連れられて来た時以来でした。

 パールの唱題は控えめで目立ちませんが、彼女の「妙なる法」への理解は誰よりも深く、それが蓮華のように美しく経(つな)がって行くコトを祈ります。

 金剛手菩薩のカーリーことリタ-メイは、パールを姉のように慕っていますが、それは秀祥の面影をモンゴルで難民シェルターを営むパールの中に見たからでした。
 世界最大のボンベイ-スラムで戦いに明け暮れていたリタを救い上げたのは秀祥で、リタは彼女から直に教えを受けて育ちました。

 そこには、武医同術としての外気功(ヒーリング)の伝授も含まれ、リタはウラン鉱山での蜂起で中国兵の腕を沢山へし折りましたが、そのリハビリを外気功によって見事に果たし、彼等はみんなメイの合気道の弟子になりました。

 そんな愛弟子たちも含めて、一緒に戦った4000人ものチベットとウイグルの人々の冥福を祈り、リタの唱題は非常に感情のこもったモノになります。
 彼女はとても小柄ですが、その声は誰よりも強くて大きく、ずっと衰えずに唱え続けられます。

 そういう「声」を仏教ではよく「獅子吼」と呼びますが、リタ-メイの獅子吼はダラムサラーの山々に響き渡り、100万人の祈りを1つにまとめ上げる役割を果たします。
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