粉雪雑記

日々つれづれ思う、くだらないことごと。

メモ

2007年02月17日 | Weblog
初めて会ったころの彼女は、自身の周りに鋭い棘を纏っているようだった。
その棘はしかし周りのものを傷つけるためではなく
彼女自身を守るためにあり、
そして彼女はその棘で周りが傷つくことを嫌い
棘の周りにさらに半透明の薄い、けれど頑丈な膜を張り巡らせて
その膜の内側に誰かが入り込んでくることを拒んでいた

彼女と初めて会ったころの私は、周りの色々が信じられなくなりかけていて
すべてのものから常に一歩引いたところで過ごしていた
すりガラスを通したような世界の中で、彼女だけは不思議とよく見えていた

似たもの同士だと思った とか
同じ匂いを感じた とか

そして彼女と親しくなって、しばらく
私の周りのすりガラスはかなり透明に近づいていって
彼女の周りの膜もかなり柔らかくなっていって 棘もだんだん鈍くなり

けれどそれらが完全に失われる日は来ないまま
私と彼女は別れて
それぞれの道を進み始めた

それからだいぶ時間が経って
周りのすりガラスがほとんど透明に変わった私が
久しぶりに出会った彼女の周りには棘も膜も無くなっていて
それは喜ぶべきことなのだけれど、
あの分かれ道にはもう戻れない というその事実が
私をひどく苦しめるのです。



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