粉雪雑記

日々つれづれ思う、くだらないことごと。

近況:PCがVistaになった

2008年02月10日 | Weblog
「お前の弱点はこれだァ!蒲原!」そう言うなり自分の車に駆け寄っていく変態。
「俺の弱点だあ?」やや本気で呆れる蒲原。
「ええいくそ、そのふぬけた声を二度と出せないようにしてやる!あと変態って言うな!これを見ろっ!」
「しょうがないじゃん地声がふぬけてるんだか…ら…」
蒲原の動きが止まる。視線はある一点にくぎ付けになる。
さっきまではスモークガラスの窓が閉まっていて見えなかったその車の中に、
見慣れた栗色のおさげ頭がうつむいているのが見える。
「…な、お、へ変態!一体何を」
「だから言い直してまで変態って言うな!」律儀にキレる変態。
「お前の弱点はこの娘だろう、蒲原!」
「…お前っ、卑怯者!俺に恨みがあるんだろ、まひるちゃんを巻き込むな!」
「ええいうるさい、こうでもしないとお前やる気出さないだろうが!」
「………それは確かにそうかも知れんね」
「肯定するな!…まあいい、俺様が何を言いたいのか、お前なら分かるだろう?」
「…くっ」
まひるを盾にされては打つ手がない、もはやこれまでか、と蒲原が思い、
この作戦はどうみても大正解だった、これで俺の勝ちだ、と変態が思った、まさにその時だった。
「うるっさいなあ、人ん家の前でぎゃーぎゃー…あれ蒲原さん、何してんの」
玄関からまひるが出てきた。凍りつく空気。
「…あ、あ、秋月まひる!何故ここにいる!今はまだ授業中だろう!」
「何故って」実に不機嫌そうにまひるが答える。
「カゼひいたからお昼前に早退してきて寝てたところだけど…あ!あんた昨日の変質者!」
「変質者って言うな!」
「それでその変質者がうちの前で蒲原さんと何やってんの」
「何って俺様はだなあ」そこで初めて蒲原の存在を思い出した変態。
「う…蒲原!」
慌てて振り返った変態が見たものは、自分の車から栗色おさげのカツラをかぶったマネキンを
引きずり出す蒲原の姿だった。
「げ、何あれ。髪型だけあたしそっくり」気持ち悪がるまひる。
「お前…」
マネキンを捨ててうつむいたまま喋る蒲原の声は妙に静かでしかし不気味で、ふるえあがる変態。
「なめたマネしてくれんじゃん…」
「い、いやこの、それには深い訳が、は話し合おう!冷静になって話し合えば分かり合えるはずだ!」
しかしじりじりと後ずさりしていく変態の逃走したい気持ちより、
蒲原の怒りのほうがそれはもう比べようもないくらいに強かった。
「いっぺん死ね!」
そういうわけで蒲原の渾身の右ストレートが変態の左頬をぶちぬいたのである。
「ぐへえ」
分かりやすい声を上げてふっとぶ変態。
「…すご」
本気の蒲原にびびるまひる。
「…ったく、ふざけた奴」
拳を開いた手をぱたぱたはたきながらつぶやく蒲原。

「まひるちゃんのニセモノにするならもうちょっとマシなマネキン持ってこいよなあ」

そこにまひるがいることをすっかり忘れてついうっかりつぶやいてしまった蒲原。
「…蒲原さん、それってどういう意味?」
本気で不思議そうに聞いてくるまひるを見て、
数秒前に自分が言った言葉を反芻して、
どういう意味で言ったのかもう一度冷静に考え直して、
今と大して変わらない結論に達して、
「ぐわああああああああああああ」
謎のうめき声をあげながら蒲原は頭を抱えてしゃがみこんだ。
「ねえ、もうちょっとマシなマネキンってどういうこと、ねえ蒲原さんてばあ」
自分ではそれと気付かず蒲原にばしばしとどめを刺していくまひる。
「ふっ…教えてやろう、秋月まひる!」
「!」
さっき蒲原に倒されたはずの変態がいつの間にか復活していた。
変態はまひるにびしっと指を突きつけて、反対の手ではうずくまって悶えている蒲原を指差し、
「こいつはだな、俺の用意したダミーより本物のお前のほうがかわいいと」
「うおおお黙れええええええ!」
蒲原の立ち上がりざまの頭突きが顎にもろにヒットし、今度こそ崩れ落ちる変態。
「やはり俺様の読みは正しかった…秋月まひるこそ貴様の最大の弱てぐはあ」
「もういっぺん死ね!むしろ地獄に落ちろ!第二のカンダタになれ!」

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もうしません
ていうか何がしたかったんだろう私(※ほぼ一年前に書いた落書きが出てきたので貼ってみた)
変態がかわいそうすぎる。そしてまひるちゃんは名字があったんだね。自分で言うなと。