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青春の嵐 最終話「卒業、そして追放へ」

2015年12月05日 20時42分31秒 | 青春の嵐
大晦日前にイタリアから帰った寛一は、元旦を迎え三学期を迎えると
更に人が変わったようになった。
敬二は三学期が始まって早々、寛一に対して問う。
「尾場。お前、人より多く休めて良かったよなぁ?」
その言い方は殊更、皮肉っぽい。
「停学にしたのはアンタだろ?オレはオレの方で骨休みさせて貰っただけだ。」
寛一の方も負けじと上から目線で、やり返す。
「俺はアンタの家に何度も足を運んだのに、まったく姿が無かったよな?」
「そいつはご苦労さんだったな。でも、オレもオレでやる事は多かったんでね?」
「何だと?」
「オレと言い合いしたい気持ちも、判らなくは無いがそろそろアンタはそろそろ
自分の仕事をした方が良くないんじゃねーのか?職員会議なんだろ?
まあ、議題はもうオレも大体の想像はつくけどな?」
「そうやって、舐めた態度で居られるのも今だけだ。」
「今も何も、もうすぐ卒業だぜ?何たって三学期なんてあっという間だからな。」
確かに寛一の言うとおりである。
寛一が、このように舐めたような姿勢でいるのも実は根拠がある。
それというのもクリスマスの前に、卒業をもって新潟市からの追放が不可避となった情勢を見越して
寛一は、新年度以降に自分が何処に身を置くか考えていたのである。
そこで実は、JRで関東地方に行きあれこれ聞き込みをしていたのであった。
その際に、寛一にとってひとつのキーワードとなる大富豪を既に目をつけていた。
これが寛一にとって後に重要な意味を持ち、物事の上で要を成す事になるのである。
それを意味するために仮の家としてその大富豪の邸宅に一番近い一般住宅団地の隅っこにある
言い方が悪いが少しくたびれた感じのする建築されたのが昭和の後期という
古い二階建ての住宅を中古物件として買ったのである。
それから寛一は、三学期に入ってからも相変わらずスマホを使ったデイトレードで
お金を大量生産していたのである。しかもその資金は、イタリアでメイド軍とともに
フェミニスト勢力の一部を滅ぼした際に便乗して得た大金も
加わって十億単位にまで及んでいたのである。

おまけに市長に対し、没収というタダでの尾場家の土地の入手を認めず
不動産相場価格での買取を迫り、それなら来年度も居るとゴネ続けた結果
向こうも遂に折れて、市の予算の剰余金の中から土地の買取費用を算出し
議会も市長の苦悩の判断を支持した。
寛一は、二月に入りその買取代金が自分の口座に入金されたのを確認すると
そこから確定申告で税を支払った後、ほとんどは証券口座に振り込む。

そして遂に、やってきた卒業式の日。
多くの卒業生たちが親しかった在校生たちとの別れを惜しむかのように泣いたり
中学に上がったら何をやろうかという夢を見たりする者があったが
尾場寛一、コイツにだけは誰も話しかける者は居なかった。むしろ嫌悪するほどだ。
「今まで散々、やりたい放題の限りを尽くしやがって気楽なものだ。」
「あんなヤツと卒業式までを一緒にしたなんて思い出が穢れるわ。」
そんな彼らの陰口に対し、当の寛一は意に介さない。
(ふん。お前らだって、自分らの狭量ぶりを棚に上げてこっちを嫌い続けて来ただろうが。)
そんなのお互い様だと言いたげに卒業証書を片手に雪の残る校庭を歩き
そして校門を出る。
「さて。もう喧嘩ばっかしていたこの街とも、もうお別れか。」
思い起こせば、物心ついたときから街の大人とも同世代の子らとも
毎日のように喧嘩ばかりしていたような記憶しかなかった気がするなあ。
結局、この街でオレにとっての良い思い出って何かあったのだろうか?
寛一には、そう思えてならなかった。
「まあ、いいや。いつまでも辛い事しか無かった過去ばかり見ていても
オフクロはあの世でガッカリするだろうしオヤジも『このバカたれ』と怒鳴るだろう。」
結局、前を向いて行くしかないんだと自分に言い聞かせるように
寛一は、学校から離れていく。


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