肉じゃがの材料用意したままに眠るあなたに母性そそらる
探し物失くしてないとさり気なく返信くれるあなたのセンス
きらきらと人のうめきを輝ける都会の夜のひかり切なき
蝉鳴いて生の限りを滾らせるロックのやうな蝉の最後よ
さらばえた翼に血潮赤ければ明日も飛ぼう明後日もまた
産直の野菜送れば料理して写真をよこす娘は元気
ぽっかりと心に穴のあいた夜は月の光が優しくそそぐ
夕暮れの塀の長きを水の音そばを流るる小川淋しき
風鈴の色々あれど鉄製のものの響きは魂揺らす
桃を剥く吾が手の皺の憐れなるぴんと張たる時は帰らず