1月18日

　2009年5月から更新していなかった米国・国務省編纂『Foreign Relations of the United States』であったが、
　ようやく今年1月になって、新しいシリーズの発刊予定が発表されたので報告しておきたい。

　2010年に発刊予定となっているのは、次の通り。

　1. 1969–1976, E–12, Documents on East and Southeast Asia, 1973–1976
　2. 1969–1976, E–14, Part 2, Documents on Arms Control, 1973–1976
　3. 1969–1976, VII, Vietnam, July 1970–January 1972
　4. 1969–1976, VIII, Vietnam, January 1972–October 1972
　5. 1969–1976, IX, Vietnam, October 1972–January 1973
　6. 1969–1976, X, Vietnam, January 1973–May 1975
　7. 1969–1976, XIX, Part 1, Korea, 1969-1972
　8. 1969–1976, XXXII, SALT I, 1969–1972
　
　目玉は、やはり対ベトナム政策を扱ったVol. VII～Xであろう。
　アジア関係は、ほかにもVol. E-12で東アジア、Vol. XIXで朝鮮半島といった具合に、
　新シリーズは、アジアを中心としたリストで構成されている。
　
　近年、外交史研究では、1970年代を対象としたものが非常に多くなってきているが、
　今回のリストは、さらにそうした傾向を強めることになるのは間違いない。
　ただし、研究者が殺到するのは良いとしても、
　時折、FRUSに並んだ文書を列挙しているだけのような論文も目にするようになってきた。
　競争相手が多いことから、時間との勝負になっているのかもしれないが、
　それでは、情報公開を通じて、米国政府の「御用歴史家」に成り下がっているようなものである。
　オリジナリティとは、決して早く発表することではないので、
　その辺を誤解しないようにしてもらえるとありがたい。