代々木の個別学習塾講師が想う、あれこれ

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未履修問題 その1

2006-11-23 | 教育ニュース

未履修問題に関し、連日マスコミは鬼の首でもとったかかのような報道がなされていました。しかし、それは公立高校、私立高校と一律に論じており、違和感を覚えます。

学習指導要領にある必修科目について、その中身がはたして相応しく、また必要か不必要かの論は別として、現時点においては子供を教育する上で、国として最低限必要な学問として定められている以上、公立も私立も区別なく、遵守すべきであろうと考えます。実際、教育基本法の中で、法律に定める学校は、公の性質をもつものであると謳われています。

学習指導要領の通知に関しては公立学校には各教育委員会から、私立学校へは都道府県知事から周知するように通達があったはずです。そして教育委員会の仕事に関してはあくまでも公立学校が対象であり、私立学校は含まれていません。公立学校の監督責任は教育委員会にあり、私立学校は都道府県知事または市区町村にあるとされています。

さて、今回の報道の中で、公立高校の未履修問題に関してはほとんどが意図的であり、各校長のコメントの多くは、生徒のためを思って、進学実績を上げるため、授業時間を確保するため、といったものがほとんど言って良いでしょう。その理由は必修科目が増加する一方で、週5日制への移行により、授業時間が圧倒的に減ってしまったためというものであり、物理的な問題を挙げる声が多いことは今後、無視するわけにはいきません。

しかし、ルールを無視し、さらに必修科目を履修した学校との公平性を無視してまでも行なっていた、公文書までも偽造していたという事実はやはり許されるものではありません。

以前も書きましたが、ルールに則り、真面目に必修科目を履修してきた生徒が大学受験に限っては、損をしてしまうという行為が子供たちにいい影響を与えるはずがありません。学校長の責任が大きいのはもちろんですが、これを管理監督すべき教育委員会の怠慢もまた許すことが出来ません。

文部科学省から全公立高校への調査を命を受け、全校立ち入り調査をした教育委員会がある一方で、新聞報道の中で島根県の教育委員会教育長曰く「教員が生徒のために善意で行った。厳しいせんさくは教員の士気に影響し、島根の教育にとって良くない」校長や教員の処分については「責任を問うべきかどうかは、処分を検討するかどうかも含めて時間をかけて考えたい」と述べています。さらに、和歌山県教育委員会は文科省から全県立高校についての通達を無視し、調査もせず不適切な事例が判明した高校数はゼロと回答していたといいます。

このように内実を知っていたにも黙認していたのか、怠慢な調査であったか、恒常的な問題と意に介していなかったのか、各教育委員会によってもその温度差があり、仕事にも表れているようです。現に入試直前の生徒のことを思って…などと美辞麗句の如き詭弁にて、調査をなおざりにし、自らの責任逃れに奔走しているかのような教育委員会もあり、統一された厳格な調査が行なわれていない実態を見過ごして良いはずはありません。

少なくとも各都道府県の教育委員会が一律ではない、不公平で曖昧な調査やことの責任を重大に受け止め、何らかの処罰なり改善策と講じるべきでしょうし、教育委員会の存在そのものも見直す時期に来ているのは間違いありませんし、現に動き出しています。今後の経緯を見守りたいと思います。

明日は、未履修問題 その2として私立高校の履修漏れに関して書かせていただきます。

http://tokkun.net/jump.htm