On楽工房奮戦記byよっさん@アコギ

わたしの音楽活動、楽器、PA、読書についての勉強を綴ります。

明日の記憶/東京タワー

2006年08月06日 | 読書
最近読んだ本を2冊。荻原浩「明日の記憶」、リリー・フランキー「東京タワー」の2冊。
東京タワーって本が話題になってるのはだいぶん前に知ってたけど、生協で目に付いた真っ白な装丁(本は真っ赤)が気に入り購入した。リリー・フランキーって人は最近TVにも出ているようなんだが本職は小説書きではないのかもしれない。この本は事前情報無しで読んだ。自伝を書きつづった物であろう、割と破天荒な自分の生き方と、愛する母(オカン)との切り離せぬ繋がりを母が死ぬまでの息子からみた視点で書かれている。もうすこし読み応えのある、なにか別のテーマのある小説かなと期待していたんであるが、あまりそういった狙いは感じられず、ただ書きつづった(もちろん文体の表現方法が少しずつ変わり自己表現の成熟性を表そうとした点は途中で気づいたりもしたが)だけに感じられた。人として40~50サイにもなれば誰にでもこのような人生を綴る権利もあるしそれなりのドラマ性も持っているものだ。身近な人の死を割と訥々とリアルに表現して迫ってくる物は有るけれども、実際にはもっともっとすごい死に様の人もいるわけだし、我々の親の時代にはもっともっと苦労した人も居る。であるからこれが何?という感想しか持たなかった。タイトルである東京(東京タワーも)ということが映像的にも見えてこないのは私の読み方が浅いからかもしれない。ただ自分の母親に対する、そして母の死に対する気持ちの素直な表現は心打つ物がある、私だってそうだろう。誰だってそうだろう。まるで人には読ませぬ日記のようにここまで心開いて書きつづったことに対しては賞賛したい。


荻原浩の「明日の記憶」は若年性アルツハイマーとなった男性の、夫婦や家族を巻き込んだ、とても辛い物語だ。途中で私自身恐怖感を覚えることすらあるほどに。
トシを取ってくると誰しも物覚えが悪くなり、どうしても名前が出てこないってのは経験することだろう。私もその一人。「え~~っとあれ、あれが・・」と代名詞になってしまう。これが本当に進行性の病気として出てくるのがアルツハイマー。老人性痴呆による記憶の喪失はすこしずつ明かりが薄くなり消えていくのに比べアルツハイマーはブツッと線を切られるように記憶が飛び去り戻らないそうだ。読んでいて薄ら寒くなる病気だ。もしかしたら自分もその傾向があるのでは?などという恐怖感が襲ってくる。果たしてこの本のラストはどうなるか・・・ということをすごく期待して読んでいたんだけど、結果的には先日映画で見た「私の頭の中の消しゴム」という映画がよみがえってしまい感激が半減してしまった。やはり落としどころはそこなのか・・・と。この映画とこのほん、どっちがパクリやねん??!
でもまあ山本周五郎賞受賞か、なるほどです。よく出来ていました。ぐいぐい読ませてくれる本ではあります。映画も見てみたいな。


ということでナイトキャップ代わりの寝床読書で読んだ2冊を紹介した。NHKのブックレビューで紹介・絶賛されていた荻原浩の「押入のちよ」を読みたいと思っている今日この頃である。

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