On楽工房奮戦記byよっさん@アコギ

わたしの音楽活動、楽器、PA、読書についての勉強を綴ります。

チームバチスタの栄光ほか連作

2006年12月28日 | 読書
もう今年もあとわずかになりました。

3冊読み終えましたのでご紹介します

1.『チーム・バチスタの栄光』海堂尊
第4回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作。 いつのまにか「このミス」は大賞という形での受賞になったのかな?と調べてみると2002年からだそうだ。もともと宝島社の「このミステリーがすごい」は1988年から刊行され、その年の面白い本のイチオシ的な情報をミステリーファンに届けてきた。大賞というのはネット時代になり投稿形式で賞を与える形で設立された物のようである。少々ややこしいけれども別物だと言うことだ。
第1回は『四日間の奇蹟』浅倉卓弥。これは少々SFじみていたけれども結構おもしろい作品だった。映画化されていたのではなかったかな?第2回、3回の受賞作は未読。『パーフェクト・プラン』柳原 慧と『果てしなき渇き』深町秋生。そして2005年の大賞受賞作がこの『チーム・バチスタの栄光』海堂尊である。NHKのブックレビューで紹介されていたのをみて購入。
医学ミステリー作品、当然ながら結構な専門用語が出てきて、あまり解説も詳しくなく、「なんとなく雰囲気」だけわかる部分も少なくない。この作品はミステリーではあるが途中まではミステリーらしからぬ別の雰囲気で話しが進む、その間も1つの病院の中の様々なキャラクターがうまく描かれていておもしろく読める。後半は一気にミステリー色が強くなり、強烈なキャラの探偵役が登場する。この小説は前半医学用語と、後半心理学(たぶん)の専門用語が飛び交う小説だ。結構テンポよく進んでいき読み切った。なかなか面白い小説だと思う。



2.『ナイチンゲールの沈黙』海堂尊
続編である。今回はやや趣が変わるのだが舞台は同じ病院内。主人公は看護師の女性であるが特別な才能を持って居る。今回も始めの方にミステリー色は無いのだが殺人事件という形で刑事も登場するという仕立てになっている。この作品には音楽(歌声)というもう一つのテーマがあって、それが私には非常に興味深い。人間の声である脳の1部分(視覚野)を明確に喚起するということができるように書かれているのだがこれはおそらくフィクションだろうと思う。そのようなディーヴァがもし居たとするならば、死ぬまでに一度聞いてみたい物だ。
今回も前作に出てきた奇天烈なキャラが登場するのだが、やや元気が無い。それよりも子供達が結構面白く描かれていて楽しく読めた。なお、ナイチンゲールというのは看護婦を表すと共に血を吐きながら歌う鳥であるという表現がなされている。この物語もそういった2つの意味が込められていて面白い。
この本はバチスタを読んで興味を持った娘が入手したようであるが未読。私が先に読む事になった。(次の「螺鈿の迷宮」も同じ)




3.『螺鈿の迷宮』海堂尊
これも同じ作者の3作目。最新刊である。
一部登場人物が重複するけれども、場所は大学病院ではなく、サテライト病院となる民間の終末医療機関だ。主人公はオチこぼれ医大生。前作に名前が少しだけ出てきた
女性ジャーナリストや、1作目から出てきた氷姫というあだ名の役人も出てくる。印象的にはより「ややこしい」作品になり後半は少し疲れた。ミステリー色の出し方は同じような感じでいつのまにか殺人事件という流れに帰着するのであるが、その背景が結構こみいってて、私的にはあまり好きではないが、いわゆるミステリーファンには入り組んでるぶん結構受ける作品だと思う。人間の死についてのひとつの倫理的な考え方が描かれていて、医者の言葉を借りて何度も語られているのだが危険であるがゆえに魅力的で有るとも言える。



休みに入り、明日はもう大晦日だ。今年一年このブログでは多くの出会いを反映して沢山の書き込みを頂いた。本当に有り難いことだと思っている。
相生On楽工房も今年は大波乱の年であった。同じ方向をむく仲間が減り、また増えて。もともと少なかったメンバーではあるが、かなり入れ替わった。悲しい出来事もいくつかあったし、今年は楽しいことがあまりなくて悲しい年で会ったようにおもう。来年はどうなるんだろう。例年になく不安を身にまといながら新年を迎える気分である。

最新の画像もっと見る