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七転八起(3)

2006年01月31日 | 雑感
停車場は「ていしゃじょう」か「ていしゃば」か。

NHKの教育テレビでは、手話ニュースが放映されています。時々見ることがあります。もちろん聴覚障害者向けの番組です。耳の遠くなった高齢者にも便利です。

必ず画面の下方には字幕が出ています。この字幕は、すべて仮名(ルビ)付きです。この仮名を振るというのは、意外と難しい作業なんです。

話は変わりますが、視覚障害者向けには、点字化するという作業がボランティアで広く行われています。

点訳(点字に変換する。翻訳する)というのは、音訳です。視覚障害者の世界は文字というより、音の世界です。音すなわちひらがなで表現される世界です。極端にいえば、同音異義語もなければ漢字もありません。ひらがなもなければ、カタカナもローマ字もありません。我々も話しているときには、漢字であるか、ローマ字であるか、ひらがなであるか、カタカナであるか、英語か、韓国語か、中国語か、何も考えずにしゃべっています。

これを文字化するのが点訳ともいえます。話し言葉であると同時に、点訳されると書き言葉になるという、変則的な世界です。

同じようなものに、速記録というのがあります。これは速記文字あるいは録音された記録を文字化、文章化します。そのとき、適宜漢字にしたり、カタカナにしたり、書き言葉に翻訳します。同じ録音されたものを聞き取って文字化するときに、人によってはいろいろな書き方になり、必ずしも同じ文章にはなりません。

ところが、点訳の場合には、ひらがなしかありませんので、誰が文字化(点字化)しても同じになるのです。原則的に、点字はすべてひらがな(及び記号、数字、英字)で表現します。

TVでは、誰かが話したものを文字化し漢字にはルビを振るという作業ですので、漢字の読み方は、すでに決まっています(しゃべったとおりにふりがなを振ればよい)ので、誤用以外は、はっきりしています。

小説などを点訳するときに問題になるのが、漢字をどう読むかということです。作者は、小説書くとき漢字を使いますが、読み方までは指定していません。

停車場は、ていしゃば か ていしゃじょう かということです。

書かれている漢字を目で追っていくときは、どう読むかはあまり意識しないで読み進んでしまいます。しかし、点訳をするときはどちらかに決めなければいけません。

ていしゃば  路面電車など比較的小さな停車場をイメージできます
ていしゃじょう 屋根付きの大きな停車場をイメージできます

どちらがよいかは、文章上で判読できる場合もありますし、どちらともとれる場合もあります。

字幕の場合も、点訳の場合も、漢字をどう読むのかというルール作りは、骨の折れる作業になります。

我々が使っている言葉というのは、結構あいまいに使っていて、実用上はそれほど困らないということなのかもしれません。

あまりルールを厳格に適用すると不自然な時がありますし、あまり融通をきかけすぎますと、統一が取れなくなってしまいます。ルールに関しては、それぞれの媒体ごとに(放送局、出版社、通信社など)用字用語辞典という形でルール化されています。



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