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貸金業債権の債権譲渡、行政監督機関の法執行権限

独り言日記...貸金債権譲渡して業務撤退だ。どうしたら貸金業から過払いリスクなく廃業できるか

サブプライムで、金融機関の役員責任を問う株主代表訴訟で先駆的判決

2008-05-16 10:54:11 | サブプライム

Countrywide Financial サブプライム経営破綻で、経営者に対する株主代表訴訟
 
係争中ではあるが、5月13日、多くの金融業界関係者が注目の、将来の類似訴訟の先例となる株主代表訴訟の判決があった。原告は多くの年金基金である。
Countrywide Financialの役員に対する株主訴訟で、ロスアンジェルス連邦地区裁判所判事R. Pfaelzer は、貸付方針に違反して貸されていることを知りながら、監視することを怠ったことが、銀行を破綻に至らしめたと見解を示した。
 
債務不履行を結果的に増大させることになったローン・オペレーション(貸付業務)が緩んでいたことについての認識がなかったとするCountrywide役員らの抗弁をしりぞけ、株主の訴えの証拠が信じるに値するもので、従業員に与信基準に違反させて貸付けしを押し付け、けしたてたのは、銀行の蔓延した経営文化と評価した。
 
判決は61ページにのぼり、原告は、Countrywideの役員は投資家と公衆を誤解させたことについて、納得させるにたる抗しがたい推論を展開していると見解を述べている。
 
懲罰的クラスアクションの株主代表訴訟の主原告には、アーカンソー州教職員退職金基金、コロラド州消防警察組合、ミシシッピー州公職員退職者基金、ルイジアナ州地方警察官退職者年金、セントラル・ラボラー年金基金が含まれる。
 
裁判は、BACの買収を控え、その前に迅速に結審するよう小陪審を求めたが、Countrywideは、第9巡回控訴裁判所に控訴し、長引くことになる様相。
 
概説記事
New York Times 5月15日
GRETCHEN MORGENSON Judge Says Countrywide Officers Must Face Suit by Shareholders
 
今後の影響として、サブプライムで大きな損失を出し株価が暴落した金融機関の経営者の管理責任懈怠に対して広がる恐れがでてきたから、穏やかな判決でいられない。
また証券化でも、酷いケースではClaytonなど第三者がローン監査して、証券化に譲渡されたローンの7割が、信託契約上、貸付方針違反が見られたことから、証券化投資家が同様にオリジネーター役員を訴えることになるか。その場合、投資家を代理して、受託者がすることになる。モノラインも騙されたといって、訴えればよろしい。Countrywideは、FNMAに証券化したモーゲージの7割についても、とるべき所得証明をとっていなかったことが分かっている。
 
I. 背景
 E. 原告の主張
  1.ノンコンフォーミング・ローン貸付の増大
  2. 会社の与信引受け基準に違反して貸されるローン
     オプションARMの貸付で、書面確認がなかったのは2004年に74%だったが、2006年91%。
     HELOCは、プライムとラベルされていたが、....サブプライムとかわらなかった。
     リスキー・ローン貸付は、ローン引受け方針に違反していた。証言は、元従業員から法廷で秘密証人としてとられた。
  3. 損失や毀損のための引当金調整やヘッジの失敗
 F. 役員会、委員会ここのメンバーの任務
 G. 違反行為
 H. 被告の虚偽、不正の表明
  1. プレス・リリース、投資家コンフェランス
  2. SEC届出
  3. プロクシー 委任状
  4. 2007年Countrywideの状況
 
 J. Countrywideの著しい価値の下落
 K. 原告の請求
 
II. 法的分析
   判例検討
 A. 証券取引所法§10b
   1. 悪意の陳述
      分析  21ページ省略
      2.  重要な不正陳述
   3. 信頼(利益)
     4.   損失及び損失の相当因果関係
 B.   証券取引所法§20a
   C.  証券取引所法§20A
   D.  証券取引所法§14a, 規則14a-9
         分析
 E. 州法にもとづくフィデューシャリ任務違反 
  1. 監督責任懈怠
 以下 略
 
 
  
 
 
判決文 Lead Case No. CV-07-06923-MRP
 
UNITED STATES DISTRICT COURT
CENTRAL DISTRICT OF CALIFORNIA
In re COUNTRYWIDE FINANCIAL
CORP. DERIVATIVE LITIGATION
Lead Case No. CV-07-06923-MRP
(MANx)
 
The Lead Plaintiffs
Arkansas Teachers are Arkansas Teacher Retirement System (“ATRS”)
Fire & Police Pension Association of Colorado (“FPPAC”)
Public Employees Retirement System of Mississippi (“MS PERS”)
Louisiana Municipal Police Employees Retirement System (“LAMPERS”)
Central Laborers Pension Fund

ORDER (1) GRANTING IN PART AND DENYING IN PART
NOMINAL DEFENDANT
COUNTRYWIDE’S MOTION TO DISMISS; (2) GRANTING IN PART AND DENYING IN PART
INDIVIDUAL DEFENDANTS’
MOTION TO DISMISS; AND (3) GRANTING DEFENDANT DOUGHERTY’S MOTION TO
DISMISS.


サブプライム証券化=信用リスクの経済実態を変容させる機能か

2008-02-17 17:34:43 | サブプライム
証券化はまやかしか、信用リスクの経済実態を変質させうる機能か


ONIXコーポレーションは、資本金2000億円、営業資産2兆円のファイナンス会社で、BBBの格付けを受けていた。会社の業務は、リース、割賦、事業ローン、消費者ローン、不動産ノンリコースローンだけを扱い、営業資産は、それだけに限られる。
BBBの利回りはベンチマークに+1.4%。
会社は、上乗せ幅が1.4%~2%と変動するのを嫌い、また調達費用を下げるため、以下の方法を考えた。

案例1
① バンクラプシー・リモートSPCをつくり、全資産を譲渡し、資産を移転し、登記を完了した。
② SPCの資産管理のアドミニストレーター契約をして、資産管理人になった。
③ SPCは資産に対して90%相当の社債と、エクイティー・ノート10%を発行し、ONIXが買い手となった。
④ 社債の内訳は、75%(AAA)、10%(AA)、7%(A)、5%(BBB), 3%(BB)。
  スプレッドは、AAA=40bps, AA=60bps, A=90bps, BBB=160bps, BB=5%で販売できた。
総調達スプレッド 28+6+6.3+8+15=63.3bps  
⑤ 証券化アレンジ、証券発行手数料、SPC、信託手数料として、年率0.4%必要となったので、年間調達費用は、1.03%上乗せとなり、37bps資金調達費用を節約した。 

そんなまやかしが得られない?
というなら、これならどうか。


案例2
① バンクラプシー・リモートSPC(1~5)を資産種別ごとに5つつくり、全資産をそれぞれの資産種別にわけて、資産を移転し、登記を完了した。
② それぞれのSPCと資産管理のアドミニストレーター契約をして、資産管理人になった。
③ 各SPCはBBB社債(資産額x90%)を発行し、エクイティー・ノート10%を発行し、ONIXが買い手となった。
④ SPC^2を設立し、各SPC(1~5)から、全部の社債を購入し、以下の社債を発行した

  社債の内訳は、60%(スーパーシニアAAA)、25%(AAA)、7%(AA)、4%(A)、3%(BBB), 1%(BB)。
  スプレッドは、SSAAA=30bps、AAA=40bps, AA=60bps, A=90bps, BBB=160bps,
BB=5%
総調達スプレッド 18+10+4.2+3.6+4.8+5=45.6bps
⑤ 証券化アレンジ、証券発行手数料、SPC、信託手数料として、年率0.45%必要となったので、年間調達費用は、.91bps上乗せとなり、49bps資金調達費用を節約した。
⑥ 元本は、60ヶ月の分割返済とするが、高い格付けの債券が償還されない限りは、下位証券の元本返済は開始されないとする。
⑦ 全体の貸倒損失率が3ヶ月平均で、月0.5%を上回ったら、債務不履行1として、AA以下全部の証券の利払いを停止し、AAA証券の元本返済に充当する合意がある。
⑧ 全体の貸倒損失率が3ヶ月平均で、月0.6%を上回ったら、債務不履行2として、SSAAA証券所持者は支配関係者として、引き当て財産全部を処分して、返済を受ける権利を行使することができる。


経済学部4年生とMBAの学生に問う。
投資家の信用リスクとして、経済実態は何が変容させることができたかについて、答えなさい。
  


極端に考えてみよう。

① あなたXは、複数から収入を得ており、1000万円の年収入を得ている。
② Xは、100万円を銀行預金にして、以下借り入れのための質権設定する。それぞれ異なる金融機関から、AAAスーパーシニア借り入れとして450万円、AAA(225万円)、AA(90万円)、A(63万円)、BBB(45万円)、BB(27万円)の合計900万円を調達した。
③元本は、60ヶ月の分割返済とするが、高い格付けの借り入れが償還されない限りは、下位借り入れの元本返済は開始されないとする。
④収入が3ヶ月平均で、月60万円を下回ったら、債務不履行1として、AA以下全部の利払いを停止し、AAA証券の元本返済に充当する合意がある。
⑧収入が3ヶ月平均で、月50万円を下回ったら、債務不履行2として、SSAAA所持者は支配関係者として、引き当て財産全部を処分して返済を受ける権利を行使することができる。


確かに、総額450万円を借りる場合に、返済能力は、SSAAAだろう。675万円もAAAでいいのだろうとしよう。しかし、900万円全額を借り受けたときの450万円は、BBの27万円の返済能力とどう違うか。
財務上、行き詰る可能性に変化はないので、同じ可能性であることは、合理的に推定がつく。
そうすると、違いは、行き詰まりが見え始めたとき、優先的に弁済を受けられるにすぎない。借財としては、重いことに変わりない。


解答

学者は、本質を経済リスクの実質を変容させることができると答える。

学者は、サブプライム問題は、証券化商品がますます複雑になったことに一因があり、また格付け会社のつけた格付けを鵜呑みにしたことが問題を大きくしたという(東大准教授 柳川範之氏、日経新聞2月17日)。そして、証券化によって経済が活性化するのは間違いないと断言される。
身の丈にあわない贅沢をするために余分に借り入れして、結果消費によりGNPを膨らませただけではないか。それを経済の活性化と呼べるのか。
確かに、経済は潤う。結婚を決めた、今日、冷蔵庫、レンジ、洗濯機、掃除機、TV,オーディオ、車はなかった。翌日、クレジット300万円で、賃貸不動産を含め、全部をそろえた。一日にして、夢がかなった。結婚できた。小売は、300万円伸びた。
しかし、返済ができる当てはもともとなかった。そんな市民が300万人いたという。これを経済活性化と学者は呼ぶようだ。

サブプライム 証券詐欺 NY州 クオモ司法長官 Martin Act

2008-02-03 17:59:31 | サブプライム
1月末から、2月はじめ以降、市場の様相が様変わりしてきたことは、報道されていない。
なぜか分からないが、確定していないからだろう。

恐ろしいのは、口火を切ったNYTの記事。
金融界はどこまで真剣に受けとめているか。

詳細は明らかにされていないが、詐欺貸付については、FBIは半年間も調査しており、年末から、ついには州検察、司法長官も動き出した。NY州のCuomo司法長官は、すでに昨年末から動きがあり、WaMuの架空の鑑定評価で証券化したとして、Fannie Mae, Freddie Macに召喚状を出して調査しているし、鑑定会社にも調査。
さらに重大なのは、今年になり、Martin Actを使って、証券会社に対して、召還状を出してきているとすっぱ抜かれた。リークしたのだろうが、要注意になってきた。検察が動きを公開しないように、調査の情報は、関係者からしか洩れてこない。1921年のNY州マーチン法は、刑事訴追でもいけるけれど、それだと会社が消滅してしまうるので、通常は、民事制裁金で手を打つだろう。10億ドル単位になるといわれる。前スパイツァがMERのアナリストとM&Aの関係で、業界を激変させた法律で知れ渡った。というより、なかなか使われることのなかった法。

21年の制定から何度も修正はなされてきたが、Martin Actの適用では、原告NYSには、証券売り主の詐欺の悪意の証明責任が不要になり、虚偽misrepresentaionの表示があった事実だけを証明すればいい。守備範囲は、相場操縦を含め証券詐欺全般をありとあらゆる行為をカバーし、幅広い。過失(注意義務違反、任務懈怠)だけの証明でよい。今回due diligence会社のClaytonがGenAttyに調査協力してくれるということで、過失は証明される。過失とは、重要情報の開示を怠ったことでよい。クレイとンが例外承認報告を渡したといえば、それを開示しなかった州の証券法上(正確には企業法)の(blue sky)責任がある。投資家は、不開示による詐欺にあったことになり、救済を州の司法長官が行うことになる。表にでないが、NY州検察と、証券会社の言い訳は続いているでしょう。どこまで本腰かによって、証券会社は、ひとつはなくなる。BearかLehかMERか。UBSも相当に詐欺証券の販売に加担している。
AAAが値下がりして、格下げでAにでもなればさらに、州年金は購入適格でもなくなるので、売るにしても損害は大きい。
ローンDD会社のClaytonが免責引き換えに証拠協力して明らかにされた情報から、サブプライムの30%が投資家に対する詐欺(開示の不作為)だという。与信方針違反のexceptionsがあったのは、もともと7割ともいわれており、それが明るみにでたら、とんでもないから、どうやって和解settleされるのか。30%というのは、サンプル調査の結果だあろう。なぜexceptiojnというかわからないが、違法貸付。もしコンフォーミングでやれば、WaMuのような事態になる。
DDをやとって全く機能しなかったということであれば、material情報でないという証明を証券会社がすることになる。証券法上は、no omission of information (to be disclosed) in all material respects, and no material information disclosed in misleading manners で、重要性がある情報jについて、不開示がないこと、重要情報について誤解を招くような情報開示がないことに違反にうなるはず。 exceptionsレポートの結果を知っていながら、不開示があったことの事実が、原告は過失であるという評価根拠事実として出すが、証券会社は、評価障害事実をだすとしたら、重要性の判断から、(投資判断上)重要でなかったというか、例外承認報告を受けていなかったと証明するか。後者は無理でしょう。クレイトンが渡したと証明したから。
格付会社は、例外承認レポートを要求していないし、受領もしていないから、証券法上の責任は発生しないことになる。積極的に提出要求する義務があったのか。無い。なぜなら消極的評価者であり、重要性判断や証券法の開示側にたって、義務違反をする立場にないから。
もし例外承認レポートが出されていたら、格付会社は、担保の3割が嘘だと分かるから、与信方針通りとして、その与信方針にもとづく過去のポートフォリオ実績からは、格付をしなかっただろうとは言われている。
これは証券詐欺の臭いが出てきてしまったから、年金や公的基金が買っている以上、もはやのがれられないでしょう。
証券化の中身はだれも与信方針通りに貸し付けられていたか、調査していなかったのか。それがサブプライムとALT-Aの実態である。
7割も詐欺であれば、3割以上は腐るでしょうから、証券会社の損失がどれだけになるのか。ABS.CDOは、キャッシュも含めて壊滅。シンセはどうなるかも見えない。もはや怖くて、明けられない玉手箱になった。

これからは、投資家からの訴訟になる異常な警戒事態。

30年代のnew dealでつくられたすべてのモーゲージ制度が使い物にならず、濫用で瓦解した。GSEを含めて、再編になるでしょう。証券化を前提にして。作り直しでしょう。

ちなみに、日本の案件では、監査法人の子会社か監査法人が、DDやっているが、例外承認はほぼ調査していない。証券会社の依頼がないから。DDでは、債権の存在確認(電子媒体データのローンの契約書が存在するかどうか)と二重登記違反しか調査しない。投資家が求めないのをいいことに、違反レポートは求めたことがない。その場合、求めなかったことが我が国証券法上、過失を構成する注意義務違反になるか。もっとも金商法では、詐欺の結果、投資家を害する結果となることを認識していたという悪意が必要となるかどうか。
投資家が買わなければいいのです。違反レポートが目論書リスクファクターに掲載されていなければ。要求されても、開示がなければ、正当な理由が無い限り、過失の推認は容易になるでしょう。

そういえば、Mckee Nelson法律事務所が取り扱った証券化案件は、2000年以降で、3300件で、2006年2億ドル収入とのこと。サブプライムは多くの案件を手がけたという事務所。リスクファクターに(例外承認をいれなかったとして)重要情報開示をしなかった法律家責任がとわれようとしいている。今のところ、州司法長官からの召還状はうけていないし、責任が無いどころか、顧問弁護士として、証券会社に訴えがおこされるたび、ドキュメント・ローヤーは、法廷弁護士に様変わり。今年からは、取り扱い高ランキングでなく、被告訴訟額ランキングが必要か。すでに115人の弁護士は、80人に減らしている。長くCitiの顧問で名高いCadwalader Wickershamは、7000万ドルの法律サービス過誤で訴えを起こされている。

マサチューセッツの第2の都市、Springfield市は、緊縮財政してつくったなけなしの資金を、投資してはいけない規定のCDO投資で91%の損失を出したことで、販売したメリルは、州の長官Secretary of stateから、訴えを起こされた。Merは、すでに損害賠償に応じることを同意していたが、違法性が許せないとして、訴えをおこされている。



今後の証券・金融界について

2000年以降のうまく回ってきた金融ビジネスモデルが瓦解した。
メリルに出資しても、これだでどおり、資本で稼げる収益源の業務基盤がなくなった。それは銀行も同
じ状況で、オフバランスSIVで利ざや稼ぎができなくなってきた。

証券界は、2兆ドルものサブプライムとALT-Aでx1%以上の手数料を得られ、CDOにすることでさらに、
1兆ドルx0.5%の手数料を得た。
たぶん3兆ドルの収益市場が消滅したのです。
詐欺の上になりたった商売か。
しかもこの金は自国でファイナンスできずに、海外を通じて集めてしまった。

90年代前半の証券会社モデルに戻ることになるので、過剰資本(あっても収益力がないから、株価は収益力に見合うまで下がる)、過剰設備、過剰人員ということになる。
さらに、CDS45兆ドルの破綻が見えてきた。ABS_CDOのsuper seniorは、保証会社の資本のいらないprotectionで破綻して、AAAがどこまで落ちるか。シンセティックは80-90%のレバ。1/3のプロテクションの売りがヘッジファンドで、証券会社は、primary brokerageで、どれだけの損を出すかもみえてない。

これで、どのようにビジネスモデルを作り直すかが課題だが、もはや無理でしょう。

アメリカ住宅ローン short saleそれともforeclosure住宅差押

2007-12-01 12:13:52 | サブプライム
アメリカ住宅ローン short saleそれともforeclosure住宅差押

住宅モーゲージの支払いができなくなったとき、差押執行や破産の他に打つ手がないのか。
short saleは、差押執行前pre foreclosureの受戻期間前であれば、借り手のる住宅売却により、貸し手が貸した金額に達しない金額(住宅を購入しようとする者の提案)を受け入れ合意して成立し、担保設定を解除する。それぞれに州により、受け戻し期間は異なる。売り手は、一定期間中に、不動産の支配権を再取得するため、延滞金利や未払い元金に加えて、すべての差押費用を支払って、債務不履行を治癒する取消不能の権利を有している。
すべての貸し手が、short saleや割引完済に応じるわけではない。特に、差押のほうがより経済的妥当性がある場合には、受け入れられない。short saleに合意したからといって、貸し手が 差額の返済不足分について、債務者に法律上支払いを求めないことまでは、保証されるものではない。そのため、不動産エージェントや弁護士の助けをかりて、貸し手の損失緩和部門と契約交渉する。通常、延滞していなければ、short saleには応じてくれないが、延滞していれば、合意には柔軟になる。もし現金資産を有していれば、貸し手は、銀行口座を押さえようとする。

弁護士は、ローンが金額と支払った金額の差についての不足の債務判決あるいは請求に適するか判断する。売り手は、不足の債務判決があれば、それにしたがう。カリフォルニア州では、住宅購入者向けローンは、そうした不足判決にしたがわないが、home equityや借換ではしたがう。その他の州では、住宅保有者がローン返済について個人債務を負う場合には、個人保証に関する法に従う。判決が容認されるケースでは、不足判決を求めるかどうかは、貸し手の裁量に委ねられる。カリフォルニア州の住宅購入目的のモーゲージ・ローンは、個人責任を伴わない。


short saleのための先行条件
貸し手は債務者に確認のため、さまざまな文書の提出を求める。
① 予想される売却価格、売却に関連するすべての費用、未払いローン残高、期日の到来した未払い額と遅延損害金、不動産手数料を記載した見積もりクロージング文書。
② 支払い困難事実の説明文書。どうして財務上支払い困難に陥ったかを説明し、貸し手に全額未満支払いでの打ち切り承諾を嘆願する。職を失ったり、入院したり、交通事故にあったりであれば、承諾されるだろうが、不誠実な場合や詐欺的であれば、認められない。
③ 所得と資産の証明。財務状況について誠実に真実を記載する。貸し手は、銀行口座、マネー・マーケット口座、証券、現金、不動産、その他の有形価値のある資産について、明細の開示を求める。債務者が返済できない状況にあることの証明を求める。
④ 銀行口座の取引明細。貸し手は、異常な数の小切手の振り出しや大きな現金の引き出しがないかどうかを確認し、各預金の説明を求め、預金を継続するかどうかを決める。
⑤ 住宅市況比較分析。多くが住宅市場が下落しているから、short saleになる。不動産エージェントが準備する。
⑥ 住宅売買契約の写し、リスティング合意の写し。


差押・処分
差押は、2種類あり、裁判所を通じてなされる司法上の手続きと、Deed of Trust信託証書が使われる場合には(他はモーゲージが使われる場合)、通常、債務者を委託者trustorとし、権原所有者を受託者とするtrusteeによる売却に分けられる。裁判所の手続き、決定、鑑定、競売を通じた司法上の差押は、貸し手にとっては、trusteeによる売却と比べ、手続きが面倒な上、費用も時間もかかり、一般には好まれず、従来めったに使われなかった。それは物件の値上がりがあったからでもあり、今後不動産価値が目減りする環境では使われる機会も増えるとみられる。使いづらさの最大の欠点は、長期間の受戻期権を債務者に許すことで(カリフォルニア州では、1年)、債務者は、落札した競売購入申込者から買い戻すことができる。不動産売買が不確定にさらされるため、競売価格も抑えられる。
司法上の差押の利点は、債務者に対する不足額の債務判決が認められることで、入札代金は、各種損害金、弁護士手数料、費用を含む債務の減額のために使われる。
trusteeによる売却は、迅速で費用も少ないが、不足額判決は、許されない。
1930年代の市況下落の悪化を避けるために導入されたという不足額禁止法のいくつかや破産法改正により、カリフォルニアでは、効力が生じない。住宅取得のためのローンについては、裁判所手続き外差押では、個人責任は生じない。個人責任は、リコース付の住宅取得目的以外のローンの裁判所手続きを通じた差押で求められるが、中下位層むけ住宅貸付では、稀となる。
手続きは、債務不履行通知を送付し、債務不履行治癒期間として、90日が与えられる。その間に、延滞支払い、損害金、費用を清算すれば、治癒となる。90日経ってしまったのち、競売は通常裁判所でなされるが、貸し手は、21日間のtrusteeによる売却通知を申請する。競売が終わったあと、元の住宅主勇者は退去を拒む場合には、立ち退きを強制される。債務者は、売却の5営業日前までであれば、すべての延滞した全額の支払いをして、受け戻しできる。


差押期間の賃貸の保証
住宅の売り手は、住宅を差押させることが、short saleにするよりも賢明かどうかを決めかねるだろう。差押では、差押執行に関する州法にもよるが、売り手は、追い出されるまでの4~12箇月の間(trusteeによる売却では4ヶ月、モーゲージでは、12箇月)、賃貸料を支払って、住宅に住んでいられる。short saleは、住宅の売却で、MLS(複数のリスティング・サービス)を通じてリスト(登録)される。不動産エージェントに登録された売却希望住宅は、MLSに登録される。購入希望者は、予約して、住宅を見られ、オープン・ハウスをするか、売り手の生活は邪魔される。


信用情報へのダメージ
信用情報への悪影響は、差押やモーゲージ・ノート譲渡による差押代替とshort saleでは、評価が異なる。Vitek Mortgageによれば、差押では、250-280ポイント失うとされ、700だったのが、450以下になり、完全に借入の信用をなくすレベルに落ちる。それに対して、short saleでは、差押前受戻し状態として、80-100ポイントのダメージですみ、信用を失う手前で留まるという。short saleでは、信用の傷は、18ヶ月もすればいえるので、それなりの金利で住宅を再購入できるが、差押になれば、それなりの金利の提示を受けるのに、3年回復するに時間を要する。
short saleでは、貸し手に対して、不利な信用情報を信用情報機関に報告しないように求めるだろうが、貸し手はその要望に拘束されない。


債務免除益
short saleや差押では、支払い不能の場合を除き、税務上、債務免責が所得として扱われ、債務免除益が生じることになる。住宅の公正価格がモーゲージ残高よりも小さく、貸し手が、担保不足の回収のため、住宅所有者のそれ以外の資産にかかっていけず、法律上の権利を放棄する場合には、住宅価格とローン残高の差額は、債務放棄とみなされる。ローン残高が20万㌦で、住宅が19万㌦で売却され、その額が返済されるか、貸し手に時価で帰属清算される場合、1万㌦の未払いがあれば、貸し手がその金額を法規する場合には、税率28%では、2800㌦の納税義務が生じる。債権放棄免除益課税は、住宅保有者が差押を避けるために住宅所有権を貸し手に移転する場合にも(deed in lieu of foreclosure)、生じる。また免除益課税は、差押だけでなく、short saleの結果、貸し手が残額について債権放棄をする場合にも生じる。

ノンリコース・ローンのリストラクチャー
大部分のモーゲージは、税法上リコース債務として扱われる。カリフォルニアなどの一部の州では、未払いが生じた場合に、債務者の他の財産を引当財産とする貸し手の権利にいくつかの法定制限を課す。法にもとづく不足額禁止条項が、税法上、モーゲージをノンリコースとして扱うにどの程度の強制力があるかは不明確だ。IRS(歳入庁)は、この件について、通達(private letter ruling)による庁としての意見しか出しておらず、法的な強制力はなく、個別の事実認定によることになる。
ノンリコース債務を放棄したりあるいはリストラクチャーする場合、税務上の扱いはリコース債務とはやや異なる。リストラクチャリングによる債務免除は、セクション108所得として扱われ、通常所得税の適用となる。
ノンリコース・モーゲージ所持人にとって、現行の課税ルールは、住宅保有者が理ストラクチャーよりも、差押を選好する動機付けを与える。貸し手は、差押手続き提起するよりは、支払いを受けることを続けることもある。


サブプライム・モーゲージ救済のための課税免除
サブプライム・モーゲージ救済に関連し、9月26日、H.R.3648、モーゲージ債務免除救済法が下院Ways and Means委員会により満場一致で承認され、制定されれば、2007年1月1日以降に借り入れた住宅債務者は、差押による債務免除益の税負担から免れる。
同法は、他に、2006年以降2015年に契約されたVA,FHA保険料を含む住宅保険料支払いの税額控除を2014年まで7年延長する。


住宅差押とサービシング詐欺の横行

2007-11-30 12:17:36 | サブプライム
サブプライム 増える住宅差押と根絶などなかったサービシング詐欺の横行

今後200万件も申請されるというforeclosure。その実態を、多くは知らない。
サービシング詐欺が蔓延し、大手モーゲージ銀行といえども、foreclosureのたびに、債務者からの詐欺の紛争が業務上避けられないような状況であれば、サブプライム問題は、証券化されても、債務者からの訴訟を切り離せないということでしょう。民法95、96条も、詐欺による錯誤の場合、説明義務違反による錯誤を含め、権利が転売されていても、善意無過失の取引の動的安全より、取消、無効にされうることもある。証券界は、有過失でしょう。due diligenceしても、詐欺がみつからなかったという証券会社の無過失だとという主張は、通りますか。2000年以降の報道や裁判の多さを見て、善意とも言えないでしょう。


2000年代前半にすでに、裁判例やFTC処分後に基準ができて、サービシング詐欺がある程度根絶されたと思いきや(*注)、foreclosureの増加の原因が、未だにパフォーミング・ローンを延滞にしたり、不正な手数料請求していて、借り手が認識している借入額とは、大きな差があるなど、破産申請で明らかになってきました。
大手Wells Fargoでは、裁判所が見つけたところでは、違法請求により、24000㌦、12%の差があったという。 またCountrywideは、メディアでも問題にされ、裁判所では、司法省の下の庁、破産詐欺調査のUS Trusteeから、請求額について、詐欺処分も食らっている始末。Countrywide Home Mortgage Loanが279000㌦の借金を請求するChap 13適用申請のフロリダのケースでは、銀行による11924㌦のエスクロー口座立て替え金が含まれていた。請求の内訳明細はなくて、金額が貸して借り手で相違していた。法が求める受領書も出されていないこともある。Chap 13申請のあと、破産不動産検査、ブローカー価格意見書、延滞損害金が裁判資料から明らかになる。 また別のケースでは、延滞の発生していないのに、延滞扱いにされ、銀行によりforeclosure申請されていた。これらは例外とは言えないほど、業務上慢性化している。US Trusteeが調査に乗り出すのも当然だ。
オハイオ州の判事は、貸し手の申請した73件のforeclosureについて、保有を証明する文書不十分で、申請が取り下げられた。

Chap 13は、延滞している債務者が、住宅保有する場合に、居住を続けることを望んで適用申請し、裁判所の監視のもと、貸し手への返済を一時保留にしてもらい、その間に、返済計画を練り直させる。

アイオワ大学準教授Katherine M. Porterは、2006年4月にChap. 13申請された600万㌦の請求額をこえる1733件を調査した。資料は、公衆が閲覧できる裁判所記録から作成され、債務者の所得、資産、負債の付録資料を含む。2007年7月、United States trusteeに報告し、10月12日、データをフロリダ州オーランドでの「全米破産裁判官会議」National Conference of Bankruptcy Judgesに提出した。6件に1件は、法が求める手数料請求明細がなかく、10件に4件は、モーゲージ保有を証明するモーゲージ・ノートが添付されていなかった。いくつかの業者は、ファックス費用、受領証明書費用など手数料を請求していたが、裁判所が不合理と認識したものだ。調査の96%が、借り手と貸しが考えるモーゲージ額に認識のズレがあり、70%ほどは、貸しては、借り手の示す金額より大きい金額であることを主張していた。平均で3533㌦の違いがあった。ルイジアナのWells Fargo Home Mortgageを訴えたケースでは、231,464㌦の請求があると説明がを受けたが、連邦地裁は、実際に負った金額よりも、24,451㌦、12%の余分な請求があり、算術計算ミスもあるかもしれないが、不正な追加請求と判示された。ありもしない保安官事務所手数料が6742㌦、紛争が係属した29ヶ月間の16の不要な不動産検査料と利息の13000㌦が含まれていた。裁判資料によれば、Wells Fargoは、経理が正しいかどうかの検証は、債務者の負担であると主張したが、銀行は、訴訟が提起されるまで、経理明細を開示してくれなかったという。



(*注) モーゲージ・サービシング詐欺の横行、その手法、形態、FTC処分、サービシングの基準については、「サブプライムの実相--詐欺と略奪のメカニズム」(商事法務研究会)5章参照。

上記事案についての詳細は、Katherine M. Porterが入手できないが、以下報道による。
NY Times, GRETCHEN MORGENSON, Dubious Fees Hit Borrowers in Foreclosures , November 6, 2007; Foreclosure Charges by Lender Investigated, November 28, 2007 にあります。


以下は、モーゲージ・サービシング詐欺サイト
http://www.msfraud.org/

サブプライム メディアが報道していない課題

2007-11-26 12:19:25 | サブプライム

サブプライム  メディアが報道していない課題

I. 借り手救済対策他 

 証券化されてしまったローンのMODSのリスクは誰が負担するのか。投資家なのか、納税負担か。 

① 政府、MODSから、ローン条件変更を行政指導
  MODSが発展して、ついに、政府が一部の業者と合意に至るという法執行も、立法も使わないウインク戦術では、かたずかないだろう。

まずは、MODSの枠組みの理解と、サービサーの権限の範囲、証券化のリスクの負担などの意味を理解しなければ、だめでしょう。
政府は、立法的解決を諦めたというか、もはや間に合わない。
どれだけの納税者負担が出るか。投資家の負担はどのくらいか。foreclosureする場合とどちらが、有利か。
foreclosure すれば、200万件x7万ドル=1400億㌦の損害が出る。+120日分の金利=100億㌦
金利凍結を7年間した場合(その後はしらない)、どれだけ年収益が目減りするか。
200万x25万ドルx4%=年20,000,000,000㌦ x7=1400億㌦

② foreclosure救済のための破産法の改正をめぐる立法の状況
  Chap13を使えるように、破産法改正を議論されているが、裁判官がMODSできれば、それで解決になる。

③ US Trusteeによる詐欺貸付のbankruptcy fraud
   今も蔓延るCountrywideなどのサービシング詐欺の実態

④ GSEのパフォーマンス、資金調達とsecondary市場逼迫で、資金供給は?
  コンフォーミング上限の推移とシラー指数 
  FHA制度改正とパフォーマンス状況


II. モーゲージ制度改革
  Assignee liability, broker免許制、手数料制限、債務者の利益のため、50%DTI基準

 プレデタリ貸付禁止法HR3915、モーゲージ現代化法案の内容と証券化への影響



III. 市場関連

① モノライン保証会社の格下げの影響 
② 始まったCMBSと不動産の値下がり
③ CDSカウンターパーティ・リスクの表面化
④ 自治体運用資金の換金リスク  Floridaファンドの流動性 
⑤ 処理されたCDO,SIV、救済ファンドの行方、今後のオフバランス銀行経営問題


CDO格付、信用リスク、市場リスクの評価

2007-11-22 12:20:44 | サブプライム
ヘッジファンドCEOは問う。

これは一体、同じ動物なのか。S&Pによれば、シングルAの地方債の10年間のデフォルト率は1%、それに対して社債は1.8%、CDOは2.7%だ。さらにシングルA地方債のデフォルト率変動は、AA/AA-社債と、AA+CDOと同じ。地方債のデフォルト後の期待回収率が90%で、社債とCDOでは50%。・・・・ ムーディーズは説く。どんな種類の証券も、どこの地域で業務されようとも、同じ格付であれば、期待信用損失は同じになる。格付機関はこのプロセスを放棄し、それに代えて、それぞれの種別の証券ごとに、理想とされるデフォルト率をもった異なる格付スケールを使っている。ある格付区分の地方債の理想的デフォルト率は、同じ格付の社債より小さく、社債は証券化ABSより小さく、ABSはCDOよりも小さい。・・・・デフォルト率想定の違いが格付手数料の違いに反映され、最も信用損失の大きいCDOが最も高く、続いてABS,そして一般社債はさらに一番安い。・・・・理想的だという証券化の高いデフォルト率を採用する格付システムは、証券化の促進の効果を及ぼす。

David Einhorn of Greenlight Capital, 17th Annual Graham & Dodd breakfast (Oct 19, 2007)

CDOと証券化格付と社債の違いについては、証券の数理統計学者ダレル・ダフィーも、2007年7月、すでに同様の分析をした。

州の略奪貸付禁止法 ant-predatory lending law

2007-11-21 10:21:54 | サブプライム
ミネソタ州における懲役刑を含む収奪貸付禁止法 

サブプライム問題による住宅差押が急増するなか、州の対策として、厳しくした収奪貸付禁止法の施行が始まった。ミネソタ州は、2002年以降、住宅差押件数は増加の一途で、2005年には、過去3年分を超える差押の勢いで、和らぐような状況ではなくなった。同州は、貸付過程において、重要情報について、悪意をもって、虚偽説明したり、説明を省いた場合の不正な住宅モーゲージ詐欺に、2年間までの懲役刑ある処罰を課す法律を制定し、2007年4月半ば、知事が署名した。かつ違反者は、不当な利得について、犠牲者に返還義務を負う。

法案は、州司法長官Lori Swansonによる2007年1月半ばの提案をベースにしたものだった。Swansonは、立法だけでは効果的ではないと業界の自主ルールに期待したが、自浄作用は土台無理な話だった。600機関のミネソタ州モーゲージ・ブローカー協会は、ミネソタ州民が不動産取引の信頼を失えば、業界にとっても害あることとし、法のもと、適正な運用がなされることが望ましいとして、司法長官の目標を共有するとした。

新法は、モーゲージ・ブローカーや貸し手に、実質的に借り手の支払能力を証明することをもとめ、事実上所得証明のないローンを禁じている。法は、また、請求が認められる手数料の上限を、ローン総額の5%に設定し、当初月次支払いを小さくして、足りない金利分を元本に組み入れ、元本が増えるモーゲージを禁じ、当初適用金利が消滅したのちにリセットされる完全にインデックス連動する金利で、全額のローンが返済できることを借り手適格として求め、ARM貸付を厳しくする。

従来、ミネソタ州のモーゲージ詐欺は、郵便詐欺、詐欺・窃盗、マネーロンダリング、などの別の法で規制されていたが、検察官がそれにより刑事訴追することはできなかったという。新法では、不正な貸し手や水ぶくれさせた住宅鑑定価格の犠牲者は、損害賠償と信頼利益(必要な費用)を求め違反者を訴える権利が認められる。
また同法により、プリペイメント・ペナルティ(繰り上げ弁済損害金)を禁ずる。

ミネソタ州では、モーゲージ・ブローカー認定に関するもうひとつの法が施行され、商務省規定が設けられる。法は、モーゲージ・ブローカーに個々の免許まで求めるものではないが、申請者は、25万ドルの最低純資産価値を有するか、5000ドルの保険を購入しなければならない。15時間の承認トレーニング・コースを受けることが求められる。

全米初めての懲役刑をともなう法は、貸付業者の営業を規制する方法で債務者被害を防止しようとする。それに対し、連邦法は、流通市場の違法な利用に損害賠償をかけて禁じようとする。
連邦法とこうした州法が組み合わさると、証券会社の民事上の共同責任に発展するだろう。ミネソタでは、証券法11条のdue diligence責任を負う証券化業者は、due diligenceに過失なく、貸付の勧誘、承認、申込み、契約成立プロセスに、貸し手の詐欺を認識していないことが明らかでなければ、容易に手を出せなくなるだろう。

参考記事
JENNIFER BJORHUS
Pioneer Press
05/15/07

Winona Daily News, Jan. 19, 2007

サブプライム改革 HR3915 モーゲージ制度改革現代化法

2007-11-20 12:23:35 | サブプライム
HR3915 モーゲージ制度改革現代化法
収奪貸付禁止法(連邦) 


2007年11月6日、下院金融サービス委員会で承認されたTILA修正のための収奪貸付禁止のモーゲージ制度現代化のための改革法案(Barny Frankの提案)H.R.3915は、11月15日、下院を通過した。上院の承認と大統領の署名はまだまだ不透明だ。
同法案は、モーゲージ貸付と流通市場に全米の統一的標準化を目的とし、法の施行責任がFRBに委ねられる。同法は、最低限の引受基準に違反する貸付について、貸し手責任ではなく、譲受人やセキュリタイザーと呼ぶ証券化の証券引受業者に、assignee liabilityを制限的に負担させようとする。責任負担について、HOEPA適用の数値基準を下げることで射程範囲を広げ、法の拡張をはかるものであり、金融機関は、HOEPA適用を避けようとするので、実質的に上限金利規制として機能する。ただし流通市場責任について、デューディリジェンスがにしたがっていれば、投資家は免責される。
基準を満たさず証券化されたとき、消費者は、以下の場合に、証券会社に対してローンの解除とその費用請求の私的訴権を有する。(1)証券会社が既存のローンを有利な条件に変更して治癒しない場合、(2)適格モーゲージでなくまたはセーフハーバー・モーゲージに適合しないモーゲージの買戻方針がなく、合理的デューディリジェをもって当該方針に遵守していない場合、(3)最低基準に違反するモーゲージを譲渡売却していないという表明保証(representation and warranties)を売り主あるいは譲渡者から得られなかった場合。
モーゲージ所持人あるいはその代理人が住宅の差押に着手しようとすれば、同法案にしたがい解除権を有する消費者は、執行手続きを未然に防ぐため、モーゲージ所持人の差押に対して抗弁権を主張することができ、また解除権が消滅していれば、実際の損害を債権者、譲受人、セキュリタイザーに求めることができる。

そうした場合、結果的に、投資家の収益が減り、リスクを負担することになるから、そうした抗弁権が切断されないローンの証券化は、評価不能になって、買い手がつかない。格付会社が、数量的にリスク測定ができると判断して、それにAAAをつけることがあっても……。

金融界から、そして議員の一部や金融監督機関からも、今でさえモーゲージ貸付が引き締められ、資金が途絶え初めているのに、証券化市場に責任負担をさせることで、住宅購入者にとっては資金へのアクセスが途絶えてしまうとの懸念の声があがる。有力議員のなかには、消費者保護がすぎて、証券会社が乱訴の嵐に巻き込まれて、家計に流動性を継続供給する資本市場の能力を崩壊させないよう注意深く制度設計が必要だと説く者もある。他方で、消費者アドボケートを含め、法案をすすめる一部議員らは、不要な資金をそんなに供給したいのかとの反論がなされる。

 改革法は、モーゲージ・ブローカーの行為規制と資格の免許規制、プリペイメント・ペナルティや過大なブローカー手数料の請求禁止を定め、債務者の返済能力査定を要求し、引受基準の標準化を目指す。一部共和党議員からは、本来プライム借り手のサブプライムへの誘導営業禁止条項や借換の場合の目に見える利益が債務者にあることについては、主観的基準となり、乱訴の原因となり、金融機関はコンプライアンスもできないと懸念が表明される。
 また、金融界が憂うのは、連邦法が州法規制を上書きして優先するのがセキュリタイザーの責任制限くらいで、それも連邦による救済についての優先文言にもあいまいな点があるために、果てしのない訴訟の原因になりかねないことだ。州は、不正な詐欺貸付を失効させる法が認められる。連邦法は、違法基準のフロアーとして機能し、州法でさらに強化できる権限を認められる。州の権限は奪えないことに、コンプライアンス上の混乱もあり金融界の不安は募る。

続く