貸金業債権の債権譲渡、行政監督機関の法執行権限

独り言日記...貸金債権譲渡して業務撤退だ。どうしたら貸金業から過払いリスクなく廃業できるか

住宅差押とサービシング詐欺の横行

2007-11-30 12:17:36 | サブプライム
サブプライム 増える住宅差押と根絶などなかったサービシング詐欺の横行

今後200万件も申請されるというforeclosure。その実態を、多くは知らない。
サービシング詐欺が蔓延し、大手モーゲージ銀行といえども、foreclosureのたびに、債務者からの詐欺の紛争が業務上避けられないような状況であれば、サブプライム問題は、証券化されても、債務者からの訴訟を切り離せないということでしょう。民法95、96条も、詐欺による錯誤の場合、説明義務違反による錯誤を含め、権利が転売されていても、善意無過失の取引の動的安全より、取消、無効にされうることもある。証券界は、有過失でしょう。due diligenceしても、詐欺がみつからなかったという証券会社の無過失だとという主張は、通りますか。2000年以降の報道や裁判の多さを見て、善意とも言えないでしょう。


2000年代前半にすでに、裁判例やFTC処分後に基準ができて、サービシング詐欺がある程度根絶されたと思いきや(*注)、foreclosureの増加の原因が、未だにパフォーミング・ローンを延滞にしたり、不正な手数料請求していて、借り手が認識している借入額とは、大きな差があるなど、破産申請で明らかになってきました。
大手Wells Fargoでは、裁判所が見つけたところでは、違法請求により、24000㌦、12%の差があったという。 またCountrywideは、メディアでも問題にされ、裁判所では、司法省の下の庁、破産詐欺調査のUS Trusteeから、請求額について、詐欺処分も食らっている始末。Countrywide Home Mortgage Loanが279000㌦の借金を請求するChap 13適用申請のフロリダのケースでは、銀行による11924㌦のエスクロー口座立て替え金が含まれていた。請求の内訳明細はなくて、金額が貸して借り手で相違していた。法が求める受領書も出されていないこともある。Chap 13申請のあと、破産不動産検査、ブローカー価格意見書、延滞損害金が裁判資料から明らかになる。 また別のケースでは、延滞の発生していないのに、延滞扱いにされ、銀行によりforeclosure申請されていた。これらは例外とは言えないほど、業務上慢性化している。US Trusteeが調査に乗り出すのも当然だ。
オハイオ州の判事は、貸し手の申請した73件のforeclosureについて、保有を証明する文書不十分で、申請が取り下げられた。

Chap 13は、延滞している債務者が、住宅保有する場合に、居住を続けることを望んで適用申請し、裁判所の監視のもと、貸し手への返済を一時保留にしてもらい、その間に、返済計画を練り直させる。

アイオワ大学準教授Katherine M. Porterは、2006年4月にChap. 13申請された600万㌦の請求額をこえる1733件を調査した。資料は、公衆が閲覧できる裁判所記録から作成され、債務者の所得、資産、負債の付録資料を含む。2007年7月、United States trusteeに報告し、10月12日、データをフロリダ州オーランドでの「全米破産裁判官会議」National Conference of Bankruptcy Judgesに提出した。6件に1件は、法が求める手数料請求明細がなかく、10件に4件は、モーゲージ保有を証明するモーゲージ・ノートが添付されていなかった。いくつかの業者は、ファックス費用、受領証明書費用など手数料を請求していたが、裁判所が不合理と認識したものだ。調査の96%が、借り手と貸しが考えるモーゲージ額に認識のズレがあり、70%ほどは、貸しては、借り手の示す金額より大きい金額であることを主張していた。平均で3533㌦の違いがあった。ルイジアナのWells Fargo Home Mortgageを訴えたケースでは、231,464㌦の請求があると説明がを受けたが、連邦地裁は、実際に負った金額よりも、24,451㌦、12%の余分な請求があり、算術計算ミスもあるかもしれないが、不正な追加請求と判示された。ありもしない保安官事務所手数料が6742㌦、紛争が係属した29ヶ月間の16の不要な不動産検査料と利息の13000㌦が含まれていた。裁判資料によれば、Wells Fargoは、経理が正しいかどうかの検証は、債務者の負担であると主張したが、銀行は、訴訟が提起されるまで、経理明細を開示してくれなかったという。



(*注) モーゲージ・サービシング詐欺の横行、その手法、形態、FTC処分、サービシングの基準については、「サブプライムの実相--詐欺と略奪のメカニズム」(商事法務研究会)5章参照。

上記事案についての詳細は、Katherine M. Porterが入手できないが、以下報道による。
NY Times, GRETCHEN MORGENSON, Dubious Fees Hit Borrowers in Foreclosures , November 6, 2007; Foreclosure Charges by Lender Investigated, November 28, 2007 にあります。


以下は、モーゲージ・サービシング詐欺サイト
http://www.msfraud.org/

サブプライム メディアが報道していない課題

2007-11-26 12:19:25 | サブプライム

サブプライム  メディアが報道していない課題

I. 借り手救済対策他 

 証券化されてしまったローンのMODSのリスクは誰が負担するのか。投資家なのか、納税負担か。 

① 政府、MODSから、ローン条件変更を行政指導
  MODSが発展して、ついに、政府が一部の業者と合意に至るという法執行も、立法も使わないウインク戦術では、かたずかないだろう。

まずは、MODSの枠組みの理解と、サービサーの権限の範囲、証券化のリスクの負担などの意味を理解しなければ、だめでしょう。
政府は、立法的解決を諦めたというか、もはや間に合わない。
どれだけの納税者負担が出るか。投資家の負担はどのくらいか。foreclosureする場合とどちらが、有利か。
foreclosure すれば、200万件x7万ドル=1400億㌦の損害が出る。+120日分の金利=100億㌦
金利凍結を7年間した場合(その後はしらない)、どれだけ年収益が目減りするか。
200万x25万ドルx4%=年20,000,000,000㌦ x7=1400億㌦

② foreclosure救済のための破産法の改正をめぐる立法の状況
  Chap13を使えるように、破産法改正を議論されているが、裁判官がMODSできれば、それで解決になる。

③ US Trusteeによる詐欺貸付のbankruptcy fraud
   今も蔓延るCountrywideなどのサービシング詐欺の実態

④ GSEのパフォーマンス、資金調達とsecondary市場逼迫で、資金供給は?
  コンフォーミング上限の推移とシラー指数 
  FHA制度改正とパフォーマンス状況


II. モーゲージ制度改革
  Assignee liability, broker免許制、手数料制限、債務者の利益のため、50%DTI基準

 プレデタリ貸付禁止法HR3915、モーゲージ現代化法案の内容と証券化への影響



III. 市場関連

① モノライン保証会社の格下げの影響 
② 始まったCMBSと不動産の値下がり
③ CDSカウンターパーティ・リスクの表面化
④ 自治体運用資金の換金リスク  Floridaファンドの流動性 
⑤ 処理されたCDO,SIV、救済ファンドの行方、今後のオフバランス銀行経営問題


CDO格付、信用リスク、市場リスクの評価

2007-11-22 12:20:44 | サブプライム
ヘッジファンドCEOは問う。

これは一体、同じ動物なのか。S&Pによれば、シングルAの地方債の10年間のデフォルト率は1%、それに対して社債は1.8%、CDOは2.7%だ。さらにシングルA地方債のデフォルト率変動は、AA/AA-社債と、AA+CDOと同じ。地方債のデフォルト後の期待回収率が90%で、社債とCDOでは50%。・・・・ ムーディーズは説く。どんな種類の証券も、どこの地域で業務されようとも、同じ格付であれば、期待信用損失は同じになる。格付機関はこのプロセスを放棄し、それに代えて、それぞれの種別の証券ごとに、理想とされるデフォルト率をもった異なる格付スケールを使っている。ある格付区分の地方債の理想的デフォルト率は、同じ格付の社債より小さく、社債は証券化ABSより小さく、ABSはCDOよりも小さい。・・・・デフォルト率想定の違いが格付手数料の違いに反映され、最も信用損失の大きいCDOが最も高く、続いてABS,そして一般社債はさらに一番安い。・・・・理想的だという証券化の高いデフォルト率を採用する格付システムは、証券化の促進の効果を及ぼす。

David Einhorn of Greenlight Capital, 17th Annual Graham & Dodd breakfast (Oct 19, 2007)

CDOと証券化格付と社債の違いについては、証券の数理統計学者ダレル・ダフィーも、2007年7月、すでに同様の分析をした。

州の略奪貸付禁止法 ant-predatory lending law

2007-11-21 10:21:54 | サブプライム
ミネソタ州における懲役刑を含む収奪貸付禁止法 

サブプライム問題による住宅差押が急増するなか、州の対策として、厳しくした収奪貸付禁止法の施行が始まった。ミネソタ州は、2002年以降、住宅差押件数は増加の一途で、2005年には、過去3年分を超える差押の勢いで、和らぐような状況ではなくなった。同州は、貸付過程において、重要情報について、悪意をもって、虚偽説明したり、説明を省いた場合の不正な住宅モーゲージ詐欺に、2年間までの懲役刑ある処罰を課す法律を制定し、2007年4月半ば、知事が署名した。かつ違反者は、不当な利得について、犠牲者に返還義務を負う。

法案は、州司法長官Lori Swansonによる2007年1月半ばの提案をベースにしたものだった。Swansonは、立法だけでは効果的ではないと業界の自主ルールに期待したが、自浄作用は土台無理な話だった。600機関のミネソタ州モーゲージ・ブローカー協会は、ミネソタ州民が不動産取引の信頼を失えば、業界にとっても害あることとし、法のもと、適正な運用がなされることが望ましいとして、司法長官の目標を共有するとした。

新法は、モーゲージ・ブローカーや貸し手に、実質的に借り手の支払能力を証明することをもとめ、事実上所得証明のないローンを禁じている。法は、また、請求が認められる手数料の上限を、ローン総額の5%に設定し、当初月次支払いを小さくして、足りない金利分を元本に組み入れ、元本が増えるモーゲージを禁じ、当初適用金利が消滅したのちにリセットされる完全にインデックス連動する金利で、全額のローンが返済できることを借り手適格として求め、ARM貸付を厳しくする。

従来、ミネソタ州のモーゲージ詐欺は、郵便詐欺、詐欺・窃盗、マネーロンダリング、などの別の法で規制されていたが、検察官がそれにより刑事訴追することはできなかったという。新法では、不正な貸し手や水ぶくれさせた住宅鑑定価格の犠牲者は、損害賠償と信頼利益(必要な費用)を求め違反者を訴える権利が認められる。
また同法により、プリペイメント・ペナルティ(繰り上げ弁済損害金)を禁ずる。

ミネソタ州では、モーゲージ・ブローカー認定に関するもうひとつの法が施行され、商務省規定が設けられる。法は、モーゲージ・ブローカーに個々の免許まで求めるものではないが、申請者は、25万ドルの最低純資産価値を有するか、5000ドルの保険を購入しなければならない。15時間の承認トレーニング・コースを受けることが求められる。

全米初めての懲役刑をともなう法は、貸付業者の営業を規制する方法で債務者被害を防止しようとする。それに対し、連邦法は、流通市場の違法な利用に損害賠償をかけて禁じようとする。
連邦法とこうした州法が組み合わさると、証券会社の民事上の共同責任に発展するだろう。ミネソタでは、証券法11条のdue diligence責任を負う証券化業者は、due diligenceに過失なく、貸付の勧誘、承認、申込み、契約成立プロセスに、貸し手の詐欺を認識していないことが明らかでなければ、容易に手を出せなくなるだろう。

参考記事
JENNIFER BJORHUS
Pioneer Press
05/15/07

Winona Daily News, Jan. 19, 2007

サブプライム改革 HR3915 モーゲージ制度改革現代化法

2007-11-20 12:23:35 | サブプライム
HR3915 モーゲージ制度改革現代化法
収奪貸付禁止法(連邦) 


2007年11月6日、下院金融サービス委員会で承認されたTILA修正のための収奪貸付禁止のモーゲージ制度現代化のための改革法案(Barny Frankの提案)H.R.3915は、11月15日、下院を通過した。上院の承認と大統領の署名はまだまだ不透明だ。
同法案は、モーゲージ貸付と流通市場に全米の統一的標準化を目的とし、法の施行責任がFRBに委ねられる。同法は、最低限の引受基準に違反する貸付について、貸し手責任ではなく、譲受人やセキュリタイザーと呼ぶ証券化の証券引受業者に、assignee liabilityを制限的に負担させようとする。責任負担について、HOEPA適用の数値基準を下げることで射程範囲を広げ、法の拡張をはかるものであり、金融機関は、HOEPA適用を避けようとするので、実質的に上限金利規制として機能する。ただし流通市場責任について、デューディリジェンスがにしたがっていれば、投資家は免責される。
基準を満たさず証券化されたとき、消費者は、以下の場合に、証券会社に対してローンの解除とその費用請求の私的訴権を有する。(1)証券会社が既存のローンを有利な条件に変更して治癒しない場合、(2)適格モーゲージでなくまたはセーフハーバー・モーゲージに適合しないモーゲージの買戻方針がなく、合理的デューディリジェをもって当該方針に遵守していない場合、(3)最低基準に違反するモーゲージを譲渡売却していないという表明保証(representation and warranties)を売り主あるいは譲渡者から得られなかった場合。
モーゲージ所持人あるいはその代理人が住宅の差押に着手しようとすれば、同法案にしたがい解除権を有する消費者は、執行手続きを未然に防ぐため、モーゲージ所持人の差押に対して抗弁権を主張することができ、また解除権が消滅していれば、実際の損害を債権者、譲受人、セキュリタイザーに求めることができる。

そうした場合、結果的に、投資家の収益が減り、リスクを負担することになるから、そうした抗弁権が切断されないローンの証券化は、評価不能になって、買い手がつかない。格付会社が、数量的にリスク測定ができると判断して、それにAAAをつけることがあっても……。

金融界から、そして議員の一部や金融監督機関からも、今でさえモーゲージ貸付が引き締められ、資金が途絶え初めているのに、証券化市場に責任負担をさせることで、住宅購入者にとっては資金へのアクセスが途絶えてしまうとの懸念の声があがる。有力議員のなかには、消費者保護がすぎて、証券会社が乱訴の嵐に巻き込まれて、家計に流動性を継続供給する資本市場の能力を崩壊させないよう注意深く制度設計が必要だと説く者もある。他方で、消費者アドボケートを含め、法案をすすめる一部議員らは、不要な資金をそんなに供給したいのかとの反論がなされる。

 改革法は、モーゲージ・ブローカーの行為規制と資格の免許規制、プリペイメント・ペナルティや過大なブローカー手数料の請求禁止を定め、債務者の返済能力査定を要求し、引受基準の標準化を目指す。一部共和党議員からは、本来プライム借り手のサブプライムへの誘導営業禁止条項や借換の場合の目に見える利益が債務者にあることについては、主観的基準となり、乱訴の原因となり、金融機関はコンプライアンスもできないと懸念が表明される。
 また、金融界が憂うのは、連邦法が州法規制を上書きして優先するのがセキュリタイザーの責任制限くらいで、それも連邦による救済についての優先文言にもあいまいな点があるために、果てしのない訴訟の原因になりかねないことだ。州は、不正な詐欺貸付を失効させる法が認められる。連邦法は、違法基準のフロアーとして機能し、州法でさらに強化できる権限を認められる。州の権限は奪えないことに、コンプライアンス上の混乱もあり金融界の不安は募る。

続く