貸金業債権の債権譲渡、行政監督機関の法執行権限

独り言日記...貸金債権譲渡して業務撤退だ。どうしたら貸金業から過払いリスクなく廃業できるか

債権譲渡と保証をめぐる疑いある法律関係

2008-06-06 11:49:30 | 債権譲渡

債権譲渡と譲渡された債権の保証の関係をめぐり、疑問ある陳述が他ブログに紹介されています。

取引を概要しますと、
債務者XのSに対する貸金債権は、SからBに譲渡され、その後、保証会社Gによって代弁された。引き直し計算の結果、過払い金が発生していた。その後、Xは、Gと不当利得返還の和解成立。
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法的な事実として、何が起こっているか理解できません。以下の状況を想定します。
1. 債権がSから銀行Bに譲渡された。
2. 債権の連帯保証を、債務者Xは、Gに委託し、Gにより受託された。
3. Gは、保証を履行した。(そのまま引用すれば、代弁したとされる。)
4. 過払い金が発生していた。
5. Xは、Gに対して不当利得返還請求をしたと見られる。
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さてここで法的状況を考えてみます。

4から債権は、Xの弁済により、消滅していたことになります。
したがって、3については、不存在の債権について、事前の調査なく、存在すると誤認してGが支払い、債務を消滅させたと信じた。
ということは、保証する前に債権が遡及的に消滅していたのですから、弁済により代位するものは何もありません。結果、保証の免責行為は、無効となるか、それともGがBに対して不当利得を返還請求することになります。
GのBに対する不当利得返還請求権は放棄することもできます。そうしますと保証する理由もない、支払い原因がない支払いということになり、そうした弁済は、税務上費用として認められるでしょうか。それは別問題ですが。

6. もうひとつは、GのXに対する責任は何か発生するか。
債権の権利者でも、帰属があるわけでもないので、Xに対する返還義務など生じません。保証人は債務を負うものと連帯して保証しているのであって、利得がある利益状況にはない。当然、裁判所でも、そうした請求が容認されることは、この法律構造ではないのではないでしょうか。
とすれば、想定2と3、それに5が誤りという答えが導かれます。

7. 考えられる法構造としては、
(a)債権がBからGに譲渡され、Gに帰属があるので、Gが過払い金返還義務に応じる。
(b) B->Gに対する保証委託で成立するBに対するGの「保証人」というのではなく、GはBに対して何かを補償している状況になっていることから、Bは、自ら保有する債権について生じるいかなる原因による損失に対しても、全額あるいは一部につき、Gに対して損害保険を有していることになる。
ここで7(b)の想定も保険の法構造上、無理がある。Gは、Bに対してだけ契約上の責任を負い、契約上の第三者のXに対しては、なんら責任を負担しない。したがって、この構成をとるのであれば、GがBに対して補償を行い。BがXに対して、過払い金返還請求に応じる立場にある。XのGに対する不当利得返還請求は、法律原因が存在しないので却下されるか、Gは当事者適格を有しないということになる。
とすれば、7(a)の状況がつくられていたと推し量られる。

しかし、法律構造としては、やはり何か穏やかではありません。債権はSからBに譲渡されたと同時に、あるいはほぼ時期を同じくして、Gに譲渡されたか、それとも所定の延滞日数経過後、債務不履行債権として、Gに譲渡された。Gは債権を譲り受けたのであって、不当利得返還請求する法的義務なり立場を引き受けたわけではないでしょう。すると、Gが債権譲渡を受けた時点では、すでにXに対して不当利得が発生していて、債権自体は不存在だったということの事前調査ができていなかったとその状況が推定されます。

ここで、債権は存在していれば譲渡できます。不存在であれば、譲渡する権利もありませんから、譲渡時、すでに債権消滅により、債権譲渡はその効力を失うことになります。しかしながら、債権消滅の原因があっただけで、BがXから返還請求を受けていなかったらどうか。否。Bは自己が保有する債権について、金利ひきなおし計算をすれば、債権が消滅していることを知ることができる立場にありますので、Gに対して債権譲渡をした時点で、すでにGを錯誤に陥らせているか、詐欺があったと推認されることになる。いずれにしろ、銀行業務を営み、債権の残高確認程度のの注意は求められる立場にあるBに、債権が不存在の認識が推認されると考えれば、BからGに対する債権譲渡は、無効、それとも成立しなかったということになると解する。

そうすると、どういう法的状況が作り出されているのでしょうか。事実を認識できません。