貸金業債権の債権譲渡、行政監督機関の法執行権限

独り言日記...貸金債権譲渡して業務撤退だ。どうしたら貸金業から過払いリスクなく廃業できるか

サブプライム証券化=信用リスクの経済実態を変容させる機能か

2008-02-17 17:34:43 | サブプライム
証券化はまやかしか、信用リスクの経済実態を変質させうる機能か


ONIXコーポレーションは、資本金2000億円、営業資産2兆円のファイナンス会社で、BBBの格付けを受けていた。会社の業務は、リース、割賦、事業ローン、消費者ローン、不動産ノンリコースローンだけを扱い、営業資産は、それだけに限られる。
BBBの利回りはベンチマークに+1.4%。
会社は、上乗せ幅が1.4%~2%と変動するのを嫌い、また調達費用を下げるため、以下の方法を考えた。

案例1
① バンクラプシー・リモートSPCをつくり、全資産を譲渡し、資産を移転し、登記を完了した。
② SPCの資産管理のアドミニストレーター契約をして、資産管理人になった。
③ SPCは資産に対して90%相当の社債と、エクイティー・ノート10%を発行し、ONIXが買い手となった。
④ 社債の内訳は、75%(AAA)、10%(AA)、7%(A)、5%(BBB), 3%(BB)。
  スプレッドは、AAA=40bps, AA=60bps, A=90bps, BBB=160bps, BB=5%で販売できた。
総調達スプレッド 28+6+6.3+8+15=63.3bps  
⑤ 証券化アレンジ、証券発行手数料、SPC、信託手数料として、年率0.4%必要となったので、年間調達費用は、1.03%上乗せとなり、37bps資金調達費用を節約した。 

そんなまやかしが得られない?
というなら、これならどうか。


案例2
① バンクラプシー・リモートSPC(1~5)を資産種別ごとに5つつくり、全資産をそれぞれの資産種別にわけて、資産を移転し、登記を完了した。
② それぞれのSPCと資産管理のアドミニストレーター契約をして、資産管理人になった。
③ 各SPCはBBB社債(資産額x90%)を発行し、エクイティー・ノート10%を発行し、ONIXが買い手となった。
④ SPC^2を設立し、各SPC(1~5)から、全部の社債を購入し、以下の社債を発行した

  社債の内訳は、60%(スーパーシニアAAA)、25%(AAA)、7%(AA)、4%(A)、3%(BBB), 1%(BB)。
  スプレッドは、SSAAA=30bps、AAA=40bps, AA=60bps, A=90bps, BBB=160bps,
BB=5%
総調達スプレッド 18+10+4.2+3.6+4.8+5=45.6bps
⑤ 証券化アレンジ、証券発行手数料、SPC、信託手数料として、年率0.45%必要となったので、年間調達費用は、.91bps上乗せとなり、49bps資金調達費用を節約した。
⑥ 元本は、60ヶ月の分割返済とするが、高い格付けの債券が償還されない限りは、下位証券の元本返済は開始されないとする。
⑦ 全体の貸倒損失率が3ヶ月平均で、月0.5%を上回ったら、債務不履行1として、AA以下全部の証券の利払いを停止し、AAA証券の元本返済に充当する合意がある。
⑧ 全体の貸倒損失率が3ヶ月平均で、月0.6%を上回ったら、債務不履行2として、SSAAA証券所持者は支配関係者として、引き当て財産全部を処分して、返済を受ける権利を行使することができる。


経済学部4年生とMBAの学生に問う。
投資家の信用リスクとして、経済実態は何が変容させることができたかについて、答えなさい。
  


極端に考えてみよう。

① あなたXは、複数から収入を得ており、1000万円の年収入を得ている。
② Xは、100万円を銀行預金にして、以下借り入れのための質権設定する。それぞれ異なる金融機関から、AAAスーパーシニア借り入れとして450万円、AAA(225万円)、AA(90万円)、A(63万円)、BBB(45万円)、BB(27万円)の合計900万円を調達した。
③元本は、60ヶ月の分割返済とするが、高い格付けの借り入れが償還されない限りは、下位借り入れの元本返済は開始されないとする。
④収入が3ヶ月平均で、月60万円を下回ったら、債務不履行1として、AA以下全部の利払いを停止し、AAA証券の元本返済に充当する合意がある。
⑧収入が3ヶ月平均で、月50万円を下回ったら、債務不履行2として、SSAAA所持者は支配関係者として、引き当て財産全部を処分して返済を受ける権利を行使することができる。


確かに、総額450万円を借りる場合に、返済能力は、SSAAAだろう。675万円もAAAでいいのだろうとしよう。しかし、900万円全額を借り受けたときの450万円は、BBの27万円の返済能力とどう違うか。
財務上、行き詰る可能性に変化はないので、同じ可能性であることは、合理的に推定がつく。
そうすると、違いは、行き詰まりが見え始めたとき、優先的に弁済を受けられるにすぎない。借財としては、重いことに変わりない。


解答

学者は、本質を経済リスクの実質を変容させることができると答える。

学者は、サブプライム問題は、証券化商品がますます複雑になったことに一因があり、また格付け会社のつけた格付けを鵜呑みにしたことが問題を大きくしたという(東大准教授 柳川範之氏、日経新聞2月17日)。そして、証券化によって経済が活性化するのは間違いないと断言される。
身の丈にあわない贅沢をするために余分に借り入れして、結果消費によりGNPを膨らませただけではないか。それを経済の活性化と呼べるのか。
確かに、経済は潤う。結婚を決めた、今日、冷蔵庫、レンジ、洗濯機、掃除機、TV,オーディオ、車はなかった。翌日、クレジット300万円で、賃貸不動産を含め、全部をそろえた。一日にして、夢がかなった。結婚できた。小売は、300万円伸びた。
しかし、返済ができる当てはもともとなかった。そんな市民が300万人いたという。これを経済活性化と学者は呼ぶようだ。

サブプライム 証券詐欺 NY州 クオモ司法長官 Martin Act

2008-02-03 17:59:31 | サブプライム
1月末から、2月はじめ以降、市場の様相が様変わりしてきたことは、報道されていない。
なぜか分からないが、確定していないからだろう。

恐ろしいのは、口火を切ったNYTの記事。
金融界はどこまで真剣に受けとめているか。

詳細は明らかにされていないが、詐欺貸付については、FBIは半年間も調査しており、年末から、ついには州検察、司法長官も動き出した。NY州のCuomo司法長官は、すでに昨年末から動きがあり、WaMuの架空の鑑定評価で証券化したとして、Fannie Mae, Freddie Macに召喚状を出して調査しているし、鑑定会社にも調査。
さらに重大なのは、今年になり、Martin Actを使って、証券会社に対して、召還状を出してきているとすっぱ抜かれた。リークしたのだろうが、要注意になってきた。検察が動きを公開しないように、調査の情報は、関係者からしか洩れてこない。1921年のNY州マーチン法は、刑事訴追でもいけるけれど、それだと会社が消滅してしまうるので、通常は、民事制裁金で手を打つだろう。10億ドル単位になるといわれる。前スパイツァがMERのアナリストとM&Aの関係で、業界を激変させた法律で知れ渡った。というより、なかなか使われることのなかった法。

21年の制定から何度も修正はなされてきたが、Martin Actの適用では、原告NYSには、証券売り主の詐欺の悪意の証明責任が不要になり、虚偽misrepresentaionの表示があった事実だけを証明すればいい。守備範囲は、相場操縦を含め証券詐欺全般をありとあらゆる行為をカバーし、幅広い。過失(注意義務違反、任務懈怠)だけの証明でよい。今回due diligence会社のClaytonがGenAttyに調査協力してくれるということで、過失は証明される。過失とは、重要情報の開示を怠ったことでよい。クレイとンが例外承認報告を渡したといえば、それを開示しなかった州の証券法上(正確には企業法)の(blue sky)責任がある。投資家は、不開示による詐欺にあったことになり、救済を州の司法長官が行うことになる。表にでないが、NY州検察と、証券会社の言い訳は続いているでしょう。どこまで本腰かによって、証券会社は、ひとつはなくなる。BearかLehかMERか。UBSも相当に詐欺証券の販売に加担している。
AAAが値下がりして、格下げでAにでもなればさらに、州年金は購入適格でもなくなるので、売るにしても損害は大きい。
ローンDD会社のClaytonが免責引き換えに証拠協力して明らかにされた情報から、サブプライムの30%が投資家に対する詐欺(開示の不作為)だという。与信方針違反のexceptionsがあったのは、もともと7割ともいわれており、それが明るみにでたら、とんでもないから、どうやって和解settleされるのか。30%というのは、サンプル調査の結果だあろう。なぜexceptiojnというかわからないが、違法貸付。もしコンフォーミングでやれば、WaMuのような事態になる。
DDをやとって全く機能しなかったということであれば、material情報でないという証明を証券会社がすることになる。証券法上は、no omission of information (to be disclosed) in all material respects, and no material information disclosed in misleading manners で、重要性がある情報jについて、不開示がないこと、重要情報について誤解を招くような情報開示がないことに違反にうなるはず。 exceptionsレポートの結果を知っていながら、不開示があったことの事実が、原告は過失であるという評価根拠事実として出すが、証券会社は、評価障害事実をだすとしたら、重要性の判断から、(投資判断上)重要でなかったというか、例外承認報告を受けていなかったと証明するか。後者は無理でしょう。クレイトンが渡したと証明したから。
格付会社は、例外承認レポートを要求していないし、受領もしていないから、証券法上の責任は発生しないことになる。積極的に提出要求する義務があったのか。無い。なぜなら消極的評価者であり、重要性判断や証券法の開示側にたって、義務違反をする立場にないから。
もし例外承認レポートが出されていたら、格付会社は、担保の3割が嘘だと分かるから、与信方針通りとして、その与信方針にもとづく過去のポートフォリオ実績からは、格付をしなかっただろうとは言われている。
これは証券詐欺の臭いが出てきてしまったから、年金や公的基金が買っている以上、もはやのがれられないでしょう。
証券化の中身はだれも与信方針通りに貸し付けられていたか、調査していなかったのか。それがサブプライムとALT-Aの実態である。
7割も詐欺であれば、3割以上は腐るでしょうから、証券会社の損失がどれだけになるのか。ABS.CDOは、キャッシュも含めて壊滅。シンセはどうなるかも見えない。もはや怖くて、明けられない玉手箱になった。

これからは、投資家からの訴訟になる異常な警戒事態。

30年代のnew dealでつくられたすべてのモーゲージ制度が使い物にならず、濫用で瓦解した。GSEを含めて、再編になるでしょう。証券化を前提にして。作り直しでしょう。

ちなみに、日本の案件では、監査法人の子会社か監査法人が、DDやっているが、例外承認はほぼ調査していない。証券会社の依頼がないから。DDでは、債権の存在確認(電子媒体データのローンの契約書が存在するかどうか)と二重登記違反しか調査しない。投資家が求めないのをいいことに、違反レポートは求めたことがない。その場合、求めなかったことが我が国証券法上、過失を構成する注意義務違反になるか。もっとも金商法では、詐欺の結果、投資家を害する結果となることを認識していたという悪意が必要となるかどうか。
投資家が買わなければいいのです。違反レポートが目論書リスクファクターに掲載されていなければ。要求されても、開示がなければ、正当な理由が無い限り、過失の推認は容易になるでしょう。

そういえば、Mckee Nelson法律事務所が取り扱った証券化案件は、2000年以降で、3300件で、2006年2億ドル収入とのこと。サブプライムは多くの案件を手がけたという事務所。リスクファクターに(例外承認をいれなかったとして)重要情報開示をしなかった法律家責任がとわれようとしいている。今のところ、州司法長官からの召還状はうけていないし、責任が無いどころか、顧問弁護士として、証券会社に訴えがおこされるたび、ドキュメント・ローヤーは、法廷弁護士に様変わり。今年からは、取り扱い高ランキングでなく、被告訴訟額ランキングが必要か。すでに115人の弁護士は、80人に減らしている。長くCitiの顧問で名高いCadwalader Wickershamは、7000万ドルの法律サービス過誤で訴えを起こされている。

マサチューセッツの第2の都市、Springfield市は、緊縮財政してつくったなけなしの資金を、投資してはいけない規定のCDO投資で91%の損失を出したことで、販売したメリルは、州の長官Secretary of stateから、訴えを起こされた。Merは、すでに損害賠償に応じることを同意していたが、違法性が許せないとして、訴えをおこされている。



今後の証券・金融界について

2000年以降のうまく回ってきた金融ビジネスモデルが瓦解した。
メリルに出資しても、これだでどおり、資本で稼げる収益源の業務基盤がなくなった。それは銀行も同
じ状況で、オフバランスSIVで利ざや稼ぎができなくなってきた。

証券界は、2兆ドルものサブプライムとALT-Aでx1%以上の手数料を得られ、CDOにすることでさらに、
1兆ドルx0.5%の手数料を得た。
たぶん3兆ドルの収益市場が消滅したのです。
詐欺の上になりたった商売か。
しかもこの金は自国でファイナンスできずに、海外を通じて集めてしまった。

90年代前半の証券会社モデルに戻ることになるので、過剰資本(あっても収益力がないから、株価は収益力に見合うまで下がる)、過剰設備、過剰人員ということになる。
さらに、CDS45兆ドルの破綻が見えてきた。ABS_CDOのsuper seniorは、保証会社の資本のいらないprotectionで破綻して、AAAがどこまで落ちるか。シンセティックは80-90%のレバ。1/3のプロテクションの売りがヘッジファンドで、証券会社は、primary brokerageで、どれだけの損を出すかもみえてない。

これで、どのようにビジネスモデルを作り直すかが課題だが、もはや無理でしょう。