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ワンオフ製作、各種金属加工 ヨシダマシンの製作事例、過去ブログ記事です。

クラッチレリーズ用ステー

2007-08-30 23:15:00 | ステー類、キャリア


SR乗りMACさんから油圧クラッチレリーズのステーを作って欲しいと依頼がありました。
このクラッチレリーズ、本体にステーが無くブラブラする為なんとか固定できないかとのこと。社外メーカー品でステー類は付いてないみたいなのでステーなしでもいけるんだろうけど。
ステー自体があまり目立たないように、ステーの長さを出来るだけ短くして振動で折れないような感じで製作。

ただのステーなんだけどこの車両自体がきっちりカスタムされてるので適当な付け方してしまうと逆にそこが目立ってしまう。たかがステー、されどステーってなとこですかね。

ベルトドライブ試作1号

2007-08-15 23:06:00 | ベルトドライブ


ベルトドライブキット自体は社外パーツメーカーで販売されてるのモノではあるのだが、いざ買おうと思ったら貧乏人ゆえそんな金はねぇ・・・。

ちゅう訳で自作を試みてみました。

これは2005年暮れから2006年初頭にかけてトライトン用に製作したモノ。




ベルトは国産の市販品を使い、そのベルト用の市販品のプーリーとノーマルパーツを組み合わせて製作しました。フロントプーリーは鉄製、クラッチ用のプーリーは鋳物。鋳物だと衝撃加わったりしたらクラック入るんじゃないかとも思うんだけど、選んだベルトが問題なくいくかってとこがネックだったからとりあえず鋳物プーリーで製作することに。ベルト自体も沢山種類がある。その中からベルト周長、プーリーの歯数、外周径 芯間距離、減速比などを調べるのに一苦労。プーリーの中身はそのままトライアンフのクラッチパーツを使う。トラのクラッチセンターにはゴムのダンパーが入ってるのでそいつを使いたかったのね。ベルト自体が伸縮してダンパー効果があるとはいえそれだけでは不安が残る。リアホイールスプロケットにダンパーが仕込んである国産車と違って英旧車はダンパ無しのリジット。当然、加減速の衝撃はリアチェーンのほうに強く出ちまうんじゃないかと思うわけですよ。最初からあるダンパー無くしてしまうのはどうかと思うしね。生かせるものは生かす方向で。
 

仮組みで組んでみた状態。ベルト周長はベルトのカタログの中にある芯間距離表から調べてから製作しているので大体いい所で収まる。元々エンジン、ミッション別体の車両はミッションケースをスライドさせてプライマリチェーンの調整を行う。よってベルトも同じ要領で調整する。ベルトは一度張りを調整すればチェーンみたいに頻繁に調整しなくてもよい。

当初はノーマルのインナーケースを使ってオルタネーターを固定してた。オルタネーターはヤマハのジョグ(スクーター)を流用。ただね・・発電量がちぃと足らんのよね。

ついでなのでクラッチプレッシャープレートも削りだしで作ってみました。裏にベアリグ仕込んでみました。

完成直後の写真。
プライマリーカバーはFRPで自作。
ベルト自体は全く問題なくしばらく走っていたがオルタネーターの芯がしっかり出てなかった為にマグネットが砕けた。

ノーマルのインナーケースを改造したモノでは寸法があいまいで芯を出す為にある程度遊びを作っていた。問題を解消すべくオルタネーター用のバックプレートを製作。組み込んでしまえば芯も出るようにした。プライマリカバーはノーマルのインナーケースに合わせて作ってあったのでバックプレート方式にすると使えないので現在はフルオープンの状態。
ベルトドライブを作ってから一年半ぐらいになるがベルト、プーリー自体は全く問題なく走っている。もう1ランク下のベルトでも問題なかったかもしれない。ベルトの選択は間違ってなかったようなので試作第1号は成功ではないかと思います。今回使用したベルト幅は25mm。15mm幅のベルトもあるのでそいつも試してみたいところ。残念なのはユニットエンジンには使えないプーリー径なので別体でしかこのベルトとプーリーの組み合わせは使えない。しかしミッション別体式の車両でクラッチ周りのノーマルパーツと諸々の条件さえ合えばベルトドライブは製作可能になるんじゃないかと思います。

次回試作2号では丸ごと削り出しで材質なんかも変更して作ってみたいと思います。




旋盤のレベル調整

2007-08-02 02:15:26 | 工作機械 
 会社の旋盤で仕事してて長い穴繰りやセンターを押さずに外径切削をすると末広がりに仕上がっちまう。150ミリぐらい削って0.03ミリ近くずれてたのでH7(公差のことで径にもよるが0~0.02ぐらい)で仕上げると手前は-0.01で奥は+0.02って状態だった。

 長年使っていくとベッドが磨り減ってしまいこういう状態になる。以前こうしたテーパー状態を直す方法を教えてもらっていたが、メーカーのサービスマンがすぐに来てくれることになったのでそのサービスマンの作業を見学することになった。

 会社の旋盤はワシノLE19-K。ウチにあるのはこれの前の型LE19-J。基本的には同じなのでやり方さえきちんと覚えてしまえばウチのも調整できるじゃん。

 


 機械を搬入、移動した場合、たいていは重量屋さんが水準器を使ってレベル出し(水平出し)をしてくれる。水平出し出来てればOKじゃんって思ってたがそれだけではダメらしく ひねり ねじれ もみなければいくら水準器で水平だとしても今回のようなテーパー状態になってしまう。
 まず旋盤の刃物台をベッド中央に持って行き水平を出す。
 水平出しは機械の足についてるボルトを締め込む方向で調整する。

 機械によっていろいろあるがワシノの場合は全部で8箇所ある。チャック側4箇所芯押し台側に4箇所。この時機械中央よりの4箇所を強めに締めてベッド中央が若干持ち上がるようにする。水準器をのせたままチャック側から芯押し台にむかって動かし水準器の気泡がチャック側では芯押し台側に芯押し台側ではチャック側に来るようにする。これは切削時の負荷で刃物台が押さえられるのでこうしたほうがいいらしい。あくまで若干なのでせいぜい0.03ぐらいの話だが。
 
 水準器でのレベル出しができたら太めの材料を100~150ミリ程度削ってみる。これでテーパーにならなければ問題無いのだが、もしテーパーになるようだったら今度はベッドをひねる作業をする。

 外径を正にした場合、Cが太くAが細くなったら旋盤正面の中央よりの足ボルトを締めこんで持ち上げる。逆にAが太くCが細くなったら旋盤裏側の中央よりの足ボルトを締めこんで持ち上げる。この時締めこんだ足ボルトの対角の足ボルトも締めこむ。そしたらまた削ってみて様子を見る。この一連の作業を繰り返してA,B,Cをマイクロメーターで計って差がなくなるまで調整する。足ボルトの締め込みだが45度以上締めこんでしまうと水平自体が激しく狂ってくるので45度以上締めこまないほうがいいようだ。それでもまだテーパーが付いてしまう場合は主軸をずらして修正する。こうなったらメーカーサービス任せになるけどね。それとレベル、ひねりの作業をしたら機械の足ボルト下の敷板が遊んでいるやつがいないか見るのも忘れずに。新品の旋盤でも工場で許容範囲内で製造して出荷されるが設置してレベル出しても誤差が生じるのでこの作業は行うそうだ。
 テーパー状態を修正して許容がどのくらいかってのはやる仕事によって変わってくるし機械自体のヘタリ具合でも変わってくる。精度の要求される仕事をするなら削った径の3倍くらい(Φ50なら150ミリ)は+-0にする必要があるが、そうでなくても0.01ぐらいまでには収めたいところ。ただ実際に材料を削って測定する作業になるので材質が違うと変わってくる可能性はあるようだ。
 会社のLE19-Kは1980年製で使用頻度で見ると年数の割には少ないほう。これは150ミリ削って+-0になった。んでウチのLE19-Jは1960年代後半から製造の始まった機種で年式が分からない。年数がかなり経ってるのでさすがに+-0にはいかず0.005程度Cが太めの状態でいっぱいかな。年数の割りにこんだけ出てれば上等かとも思う。

 ちなみにベッドの経たりは山型のレールの角を触ってみると分かる。山型のレールのてっぺんは擦れ合わないので新品からさほど減らず斜面部だけが減っていく。角の引っかかりが多いのはかなりヘタってるとみていいだろう。・・ウチのは減ってるけどね。

 メーカーサービスマンがいるうちにもう一つ訊いてみた。

 芯押し台にドリルチャックをつけ細いセンタードリルを材料に軽く当てると真ん中に行かず島が出来てしまう、ようは芯押し台が下がってしまっている状態は直すことができるかとたずねたら、芯押し台本体の下側ベッドとの当たり面が減ってしまうものらしくこれは直しようがないとのこと。芯押し台とベッドの当たり面もベタあたりではなく真ん中へんは逃がしてある。ベタ当たりだと重くて動かんらしい。四隅でベッドとあたってるので前のほうは減りやすくなるらしい。シム入れて高さの調整をしてるところもあるみたいだが一度クランプしたらシムも厚みが変わるから意味ないらしい。


 新品で汎用旋盤を買うと500万~600万ぐらいする。
 ワシノにオーバーホールに出すと200万前後で納期は約一ヶ月。製造されてから25~30年も経ったらオーバーホールしたほうがいいんだろうね。んでも自分一人専用で使うならボロを買ってオーバーホールするよりも新品買って大事に使ったら一生使えるんだろうなぁ、なんて思いながらウチの旋盤のテーパー修正をしてました。写真はウチのLE19-Jです。