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秩父そば処 「しんべい」 (横瀬そば会)

完全自家栽培、自家石臼製粉、手打ちそばを提供するそば店

丸抜き製粉へ(3)

2014-05-31 17:14:09 | 製粉
高橋邦弘さんの山梨の「翁」にも大きな感動を受けました。

1990年頃から、いろいろなメンバーで数回訪れました。「ふじおか」のそばと同様に異次元のそばに驚嘆し圧倒されました。そばに手を染めてみようと思ったのはここからでした。

当時、店には「せいろ」と「田舎そば」の2つがありました。後者は、私には本当にまずく、一方、「せいろ」はその反対に本当に美味いと感じました。

いわゆる「コシ」に関しても申し分ないものでした。噛んでソフト感ありながらもいい歯ごたえがありました。そば会の仲間の1人がこの点が大切だと仲間に訴え、以降こうした「コシ」を探求していくことが私たちのそば会の目標の1つになりました。

どうしたら「ふじおか」や「翁」のようなそばが作れるのかが、私たちの中で大きくなりました。


丸抜き製粉へ(2)

2014-05-29 13:56:24 | 製粉
黒姫の「ふじおか」を初めて訪れたのは、店が開店した翌年の雪深い冬でした。

今では考えられないことですが、本当に幸運にも藤岡さんがそばを打つのを見せていただきました。同行の1人が折りたたむ様子などを見て「そばがまるで織物だ。」と言ったのを今でも印象深く覚えています。プロが見事にそばを打つ華麗な技を見たのはこの時が初めてでした。

越後の酒「鄙願」を飲みながら、信じられない美味しさのそばに驚嘆し私は4人前食べてしまいました。5人前食べた仲間もいました。そのほかに、当時メニューにあった「そばがき」も「そばぜんざい」もいただきました。そばは食べ過ぎると「腹が張る」と言いますが、帰りの電車で本当に苦しかったことを覚えています。

この頃、山梨の「翁」も訪れています。


丸抜き製粉へ(1)

2014-05-28 11:32:28 | 製粉
私たちが玄ソバの殻を外し丸抜きにしそれを製粉したそばしか美味しくないと気づいたのには、出発点があります。

もう四半世紀も前、数人で1日に何店かのそばを食べ歩くことを始めました。一番期待したのは東京です。東京ならなんでも美味しいものが揃っていると考えて、店の情報誌を集めてその中から評価の高い5店を選んで食べに行きました。

残念ながら、充分納得できるそばはありませんでした。ただ、その中で皆が多少なりとも評価したのは「本むら庵」でした。

食べ歩く中で、世の中にこのようなそばがあったのかと私たちに圧倒的な存在感を示してくれたのが「ふじおか」(黒姫)と「翁」(山梨)でした。



なぜ黒っぽいそばなのか

2014-05-27 12:26:54 | 製粉
美味しい要素が少しもない殻の1部が混入した黒っぽいそばが、なぜ食べられているのかについて私は次の3点を考えています。

① そばとは本来黒っぽいのが当たり前で、白っぽいそばは何かを混ぜているのに違いないかと思っている人がいるのではないかと私は推測しています。そうした人は、黒っぽいそばが「本物」と固く信じています。

② 味覚というものは一度刷り込まれるとそれ以降変更することが不可能に思えます。例えば、幼少期に食べたそばが黒いそばであればそれが味の原点となりいつまでも続くのではないでしょうか。私たちは、自分たちのそばが間違いなく美味しいと自負しておりますが、私たちのそばをいくら食べても、美味しい要素のない黒っぽいそばが相変わらず美味しいと主張し続ける人がいます。実はほとんどかもしれません。

③ ソバは外側の殻(果皮)を外すのが難しいのです。外側が硬く内側にいくにつれて柔らかくなります。硬い外側のみを取り除こうとすると、内側は間違いなく砕けてしまいます。つまり、外側の黒い殻の1部や「がく」の部分が、必然的にそば粉混入することになります。こうした製粉上の難しさのために、黒っぽいそばが一般化したのではないでしょうか。(今は、製粉会社で丸抜きから石臼製粉した、いいそば粉が手に入ると思います。)

玄そばをそのまま粉にしたら?

2014-05-25 23:17:21 | 製粉
玄ソバをそのまま石臼(機械でも)にかけて得られたそば粉は、黒くなります。篩の目の大きさをいくら工夫し白く見えるそば粉にしたとしても、「めん」にしてみると黒っぽいそばになることは避けられません。

そば粉が黒い正体は、果皮(殻)の1部が、また、とりわけ脆弱な「がく」の部分が砕けて本来のそば粉に混入してしまうからです。

そして、その砕けた黒い正体が美味しければ何ら問題はありません。しかし、残念ながら美味しい要素は一つもありません。だから、私たちは黒っぽいそばを一切求めないのです。