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秩父そば処 「しんべい」 (横瀬そば会)

完全自家栽培、自家石臼製粉、手打ちそばを提供するそば店

石臼(1)

2014-06-09 13:23:23 | 製粉
古い石臼にモーターを装着し電動化した石臼は、私たちが全てを作ったわけではないのですが、ひとまずこれを1号機と呼んでいます。

およそ1年後に2号機を作製しました。もう25年も前の話でなぜ次の石臼の制作に向かったのか記憶が定かではありません。挽ける粉に不満があったのか、目立てから全てを考えて石臼を作ってみたかったのか、他に理由があったのかわかりません。

石臼はどのようにソバを粉にしていくのか、目立てとはどのようなことなのかなど肝心なことについて、私たちほとんど何も知りませんでした。ですから1年で次の石臼を作ったのですから、おそらく1号機ができるとすぐに次を作ることにしたのだと思います。

まずは、石臼の情報を幅広く集めることから始めました。その中で最も有益であったのは、粉体工学の三輪茂雄先生の著作でした。先生の著作について学びながら石臼を設計していきました。

私たちの石臼作りが本格的にスタートしたのはここからです。


丸抜き製粉へ(7)

2014-06-05 15:00:10 | 製粉
手挽きの古い石臼を電動化することにしましたが、そう容易なことではありませんでした。

偶然なことに、石臼を自分で制作した方と知り合いになり、電動石臼の設計図のコピーを頂きました。しかし、それは減速のためにベルトを何本も使うなど複雑で規模が大きなものでした。

そこで1つずつ考えることにしました。これを工夫しながら解決していったのは仲間の1人で、そばで見てきた私が記しておくと以下のごとくです。

モーターはやっとのことで、1800回転を120:1に減速するギヤ付きのものを見つけました。それを石臼の真下に縦に装着しました。それよりも困難なのがソバの実を一定量ずつ供給する仕組みでした。彼はこれも鉄工所の社長と相談しながらなんとか解決しました。また粉受けに金盥、ホッパー部に洗面器を使うなどして仕上げました。

見た目は良くないのですが、思いのほかうまい具合に粉が挽けました。今でも使うことがあります。それが写真手前の石臼です。


丸抜き製粉へ(6)

2014-06-04 11:47:22 | 製粉
殻を外す機械を手に入れてもそれが石臼とセットにならなければ、製粉は首尾よくいきません。

やはり仲間の一人が、石臼をいくつか見つけてきました。結局、使えそうなのはそのうちの1つでした。殻を外し石臼にかけると、格段にいいそばができるようになりました。

しかし、石臼を手で回すには大変な労力が必要です。あるところから、新築祝いの際、そばを振舞って欲しいと依頼がきました。約12kgの粉を、仲間の一人と夜中の2時か3時までかかって挽きあげました。

もう石臼を電動化するしかないと思いました。

丸抜き製粉へ(5)

2014-06-03 15:13:51 | 製粉
藤岡さんや高橋さんのそばがずば抜けて美味しいのは、自家製粉をしているからでもありました。後で知ったことですが、高橋さんは東京の南長崎から山梨に移ったのは、自家製粉をしたかったからだと「そば屋翁」の中で書いています。

自家製粉をするには、玄ソバから丸抜きをつくる機械と石臼が必要でした。仲間の一人が、ソバの殻を外すのにコメの籾すり機で代用しようとしました。既に触れたように中心部にいけばいくほど柔らかくなるソバには使い物にはならないことが判明しました。もう専用の機械を求めざるをえませんでした。

私たちはそばの世界には全くの門外漢で、殻を外す機械がどこで求められるかも知りませんでした。しばらくして、やっとのことで「岩田兄弟工場」なる会社を探しあて、機械を買い求めることができました。



丸抜き製粉へ(4)

2014-06-02 14:53:06 | 製粉
藤岡さんや高橋さんのそばがずば抜けているのは、彼らのそば打ち技術が卓越しているからなのですが、そのほかに、玄ソバが上質であることとそれを自家製粉しているからだと考えられます。

高橋さんが、全国を行脚しながら、いい玄ソバを集めているのは周知のことです。それはただ買い集めているのではなく、そばを打ちながらどのようなソバが美味しいかを人々に伝えてこられました。それは現代のそば界に計り知れないほどの大きな貢献をされてきた高橋さんのお仕事の1つです。とにかく、高橋さんのそばは、玄ソバがいいのです。

この高橋さんとは逆に、優れたソバがある産地にお店ごと移ってしまったのが藤岡さんです。三重から店を移した黒姫は、上質のソバができる真っ只中でした。「店から2km離れた駅の方はソバの質が違う」と藤岡さんが言うのを聞いたことがあります。

美味しいそばは、いい玄ソバをいかに製粉していくかです。

(現在「ふじおか」は飯綱高原に移っています。高橋さんは山梨から広島に移り、今年は大分に移ると聞いています。)