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秩父そば処 「しんべい」 (横瀬そば会)

完全自家栽培、自家石臼製粉、手打ちそばを提供するそば店

緑がかったそば

2014-11-05 11:13:05 | 美味いそば
私たちが目指す良いそばの第1条件は「蕎麦の香りがすること」、第2に「ソフトでいいコシがあること」と書いたことがあります。その中でも蕎麦の香りを出すことは至難の業です。

そばの香りを出すことは、もうそば打ちをする以前ほぼ決まってしまいます。栽培のすべての過程が関係しますし、脱皮・製粉も大いに関係します。思いつくままに少し列挙してみれば次のようなことが言えます。

① どのような種子を使うかで異なってきます。例えば、現在最高の品種とされる信濃1号あるいは常陸秋そばを使えばそれで良いのか。そうとも言えないと思います。(私たちはそばの場合は、その地に根付いたそばが最も良いと考え、在来種を毎年、毎年繰り返し栽培しています。)

② 使用する肥料でも大いに異なってきます。よく「焼きはた」によって栽培したソバが最も良いという意見もあります。私たちのこれまでの経験から、「焼きはた」をしさえすれば、いいソバが簡単得られるものではないことを知っています。

③ 収穫方法でも大きく異なってきます。間違いなく、手刈り・ハサ掛け天日乾燥は最高のソバを保証してくれますが、これとて方法を誤れば、コンバイン収穫の方が良いソバとなる場合があります。

④ 黒い殻(果皮)を外さなければ、良い香りは出るはずがありません。黒いそばこそ本物で、そば本来の香りがするとの誤解が流布しています。

⑤ 何で製粉するかもそばの香りに関係します。ロール挽きでは熱の変成作用を受けるので、どうしても優れた石臼が必要でしょう。

ざっと書いてもこれだけ浮かびます。ですから、本当に本物のいいそばの香りを味わうのは至難の業です。

そのそばの香りは、殻を外した甘皮(種皮)の部分にあると言われています。その甘皮はいいソバであれば、緑がかっています。

今年のそばがその緑がかった色をしているので、そばに久し振りに香りが備わっているのだと判断しています。今年のそばは、ここ数年のうちで最もいいそばです。

とは言ってもいい香りをだすことはとても難しいことであり、まだまだ私たちは満足しているわけではありません。あくまでもこの数年のうちで一番いいそばだと考えているだけです。

前回、会員の(ねこ)が掲載した2枚目の写真で、そばの色が緑ががった色をしているのを見て、ちょっと嬉しくなって今回書きました。
(oh!)



美味いそば(2)

2014-05-22 16:21:46 | 美味いそば
美味いそばの条件の第1は、「そば特有の香り」だと書きました。そうは言ってもどのような「香り」をそば特有の香りというのか、強い香りがいいのかかすかに感じられるのが良いのか、難しい点が多々あります。これについては改めてふれたいと思います。

美味いそばの条件の第2は、「いいコシ」があることです。これは20日に「そばを口に含み噛んだ時に、ソフトないい感触が感じられながらも、その中にしっかりしたもの(コシ)がなければならない」ということと同じです。

これら2つの条件「いい香りがし、いいコシ」があるそばを作ることはそう簡単なことではありません。その条件を満たすためには、そば打ちのみならず、製粉ついても、栽培についても足を踏み入れなければなりません。まず、製粉について考えることから始めます。


美味いそば(1)

2014-05-21 15:38:41 | 美味いそば
せいろのそばが淡緑色をしているのは、種皮(甘皮)の部分が、うすい緑色をしているからだと書きました。そして、なぜその色をしたそばいいのかが問題だと書きました。

ところで、多くのそばの愛好者がそばには特有の香りがあり、「そこにこそそばがそばたる所以があるのだ」といいます。ここにそばの最高の価値を見出す点において私たちも同じ観点に立ちます。私たちが考える美味いそばの第1条件は、「そばそのものが持つ、そば特有の豊穣な香り」です。

そして、「そばそのものが持つ、そば特有の豊穣な香り」を醸し出すのが、せいろにした時に淡緑色を生み出したのと同じあの種皮(甘皮)の部分にあるのだと専門家は指摘します。すなわち、淡緑色をしたそばでない限り、いいそばの香りはしないということになります。

黒いそば、白いそば、そして淡緑色のそば(3)

2014-05-15 17:29:08 | 美味いそば
私が述べるまでもなく、ソバの子実は外側から、黒い殻の果皮、甘皮と言われる種皮、胚乳、胚芽の4つの部分から構成されています。せいろにして緑がかったそばになるのは、上記のうちの種皮の緑色から由来しています。

良質で新鮮な玄ソバの黒い果皮を外すと、「ヌキ」あるいは「丸ヌキ」と呼ばれる緑色のそばが得られます。これを性能の良い石臼で製粉し、そば粉の持っている本来の性質を充分に考慮して蕎麦打ちをするならば、あの淡緑色のせいろそばが「誕生する」というわけです。

私たちの目指すのが淡緑色のせいろであり、それは種皮の部分の緑色から由来するとしても、なぜその色をしたせいろそばを私たちが目指しているのかが問題です。

黒いそば、白いそば、そして淡緑色のそば(2)

2014-05-14 12:00:01 | 美味いそば
「私たちが目指しているのは、淡い緑色のそば」だなどと言っても、そう簡単にこの緑がかった色のそばにお目にかかれる訳ではありません。

事実、私たちのそばを食べた年配のご婦人が、仲間の人に「私はこのようなさらしなそばが好きなのよ。」と言うのを聞いたことがあるくらいです。私たちのそばもどうしても白っぽく見えるそばになることが多く、淡緑色のそばは、あくまでも私たちの目標なのです。

では、どうしたら少し緑がのったような色のそばになるのでしょうか。
それには乗り越えべき幾つかの難しい点があるのですが、まずはソバの子実の構造から考えてみましょう。