落田洋子さん個展ーいつも隣ー

落田洋子さんは、ながい、なが～い友人です。
同い年。付き合いは二十代の前半から。
私はたまたま絵本の文章を書き、彼女は
イラストレーターでした。

やがて二十代後半、彼女は順調に
画家への道を歩み、私はというと
せっかく幸運に恵まれ、得難いものを
得ていたというのに、すべてぶち壊してゼロに。

それまでの交友関係もなくしてしまい
ぼろぼろになって過換気症候群にまで
襲われていた頃、人気画家としてあちこちの
媒体で紹介されている彼女の写真を
よく見かけたものです。
村上春樹氏など、超有名作家の著書の
装丁にも、彼女の絵がよく使われました。
凄いなあ、と感心すると同時に
もう二度と会えないのだと寂しかったものです。


やがて、三十代後半に入り、私はようやく
作家として、社会の一隅に居場所を得ました。
すると、某出版社を通じて、彼女から
「連絡先を知りたい」というメッセージがあったのです。

再会した時は、ほんとうに嬉しかったものです。
どんな立場になっても、彼女は少しも変わっていなかった。
我が道を行く個性も、そのまんま。

それからまた幾年月、お互い、この年齢になりました。
私の母が亡くなってほどなく、彼女のお母さんも逝去。
最近の電話では、お互い、「あっちが痛い」の
「こっちが曲がらない」のという、体調不良話
も多くなりましたが、彼女の個性、生き方は、
昔のまんまの落田洋子さん。
私にとっては、尊敬する大事な友だちです。
同じ時代を生きてきた同士だとも思っています。

もうすぐ、彼女の個展が銀座で開催されます。
タイトルは「いつも隣」。
絵にも一枚ごとにタイトルがつけられています。
「誰も知らない」「雨季まで待てない」「中途半端な偶数」などなど。
ミステリアスなその意味は、いつだって
観る側が自分で想像するしかありません。
でもそこが楽しいのです。
ぜひ、お出かけください!

日時　2017年11月6日（月）～１６日（木）（日曜休廊）
場所　７７gallery 　
　　　東京都中央区銀座７－５－４　毛利ビル５F
℡　　03-3574-1601

７７gallery のサイト　http://www.77gallery.com/