冬桃ブログ

ハガキの木やら人面蜘蛛やら蛍やら

 6月半ばは10日間ほど横浜暮らし。
 それはそれで充実していた。
 朗読教室の発表会に参加して、自作の
ショートショートを読ませていただいた。
 分類するとすればスリラーかホラーの類なのだが
なぜか随所に笑い声が上がり、思いがけない高評価!
 書き手であり読み手であった私としては
「???」ながらも嬉しい反応であった。

 ずっと前から観たかった、戦後間もなくの邦画
「霧笛」の上映会にお誘いいただいた。
  主演は若き日の三船敏郎と山口淑子(李香蘭)。
  舞台は明治初頭の横浜外国人居留地。
  英国人クーパーに雇われている馬蹄・千代吉(三船)が、
クーパーの愛妾、お花(山口淑子)に恋をする。
 権力者クーパーへの憧れと憎しみ、お花への恋慕と侮蔑。
 ままならぬ治外法権の「居留地」という世界で
千代吉の心は激しく揺れ動き、思わぬ悲劇を招く
……というのが大佛次郎原作の「霧笛」だ。
 開港場横浜の複雑な立場、その時代に遭遇した若者の屈折した心情。
 それを見事に描き出した原作が大好きで、
それゆえこの映画を観たかったのだが、う~ん、この脚色はねえ。
 原作の芯が消えてしまった。
 観られたのはよかったが、二大スター競演にも関わらず、
ちょっと残念!

 そしていまはまた、S村滞在。
 夏の自然は見逃せない。

 農道散歩で出会った木。
 葉はビワに似ているが、ビワと違うのは、枝の付け根に、
黒味がかった緑の小さな実のようなものがかたまってついていること。
 植物図鑑で調べたのだが「タラヨウ(多羅葉」という木が
一番似ているような。
 葉の裏に傷をつけるような感じで文字を書くと、そこが黒くなるそうだ。
(他人様の所有なので試してみることはできなかったが)
 インドでは昔、これに経典を書いたと言われ、それゆえ、
日本でも神社仏閣によく植えられているという。
 書いた文字が残るということで、別名「ハガキ」の木。


 庭の葉にアリマキがたかっている。
 その上部で一匹の白い蜘蛛が小さな黒い虫を捕まえようとしている。
 で、見れば見るほど、この蜘蛛の丸い腹部、「人面」に
見えません?


 そしてこの夜は、世話になっている家の大家さんと、
彼の叔母さんの案内で、山中にある「秘密の場所」へ行き、
蛍の乱舞を楽しんだ。
 なにせろくにスマホも使えない私だから、その幻想的な
光景をうまくお伝え出来ないのが残念!
 暗い畑に舞う蛍、その頭上に輝く満点の星。
 漆黒の天と地は境がなくなり、散りばめられた光が
一体となって、不思議な世界を創り出していた。
 その画像は私の頭の中に収めるしかないが、人懐っこく
寄ってくる蛍を、ちょっとだけでもご覧いただきたい。
 




 

  



 
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