冬桃ブログ

長野だって暑い!

 いやいや、横浜ほどではないと思うが、
標高約550メートルのS村も、晴天の昼間は
外に出るのが怖い。
 ベテランのお百姓さんだって姿を現さない。
 一日中、畑で黙々と作業を続けているのは
老ドラゴンくらい。
 今年はなんとかスイカを実らせようと、
それこそ「掌中の珠」のように面倒をみている。
 
 受粉して小さな玉となったスイカを、
藁でこしらえたふかふか座布団で護る。


 私は相変わらず、二時間も持たないけど草抜き。
 見た目の可憐な草ほど、見えない部分はふてぶてしく
たくましいことを、この体験で知った。
 早春の象徴であるツクシ。これはスギナの「子」という
わけではなく、同じ根を持つ「胞子茎」なのだが、
この根っこの凄まじさは前のブログでも書いた。
 スギナの根は基本、一本で土の中深く延びているが
長い茎を持つムラサキツユクサという花の根は、
脇根が360度拡がっていき、ギリシャ神話のメドューサ
を思わせる。(メドューサの髪は、のたうつ蛇の群れ)
 小さくて可憐な露草も、はかなげな姿に似ず
根はしぶとくてなかなか抜けない。
 そしてクローバー。好きな花だし蝶や蜜蜂にも
好まれるから、花畑のそばに幾つか群生を残していた。
 しかし気が付くと花畑を凌駕しようという大きさに。
 で、一部、抜くことにしたのだが、まあこれが地面に、
それこそ網の目のように根を拡げ、土をしっかりと掴んで放さない。
 汗だくの戦いとなった。
 が、人の目に触れる花の愛らしさと、土の下に隠した
頑強な生命力との差は、なかなかに興味が尽きない。


 ブルーベリーの実とツマグロヒョウモン。


 苔の花。


 大汗かいてシャワーを浴びたら、これがなにより。
 章子さん(花づくりの師匠)手作りの赤紫蘇ジュース、
さらに小梅の甘酢漬け。
 あ~~、生き返る!


 村の図書館で、ずっと読みたかった本を見つけた。
 椋鳩十作「鷲の唄」。
 「山窩(さんか)」と呼ばれる山の民が、かって日本に存在した。
 狩りや木の実の採集で食べ物を得ながら、集団で山を移動する。
 決まった住居は持たず、天幕を張ったり穴を掘ったり。
 「もう助からない」とみなされた年寄りや病人は、
みんなが集めてきた落葉の上に寝かされ、少しの食べ物と共に
置き去りにされる。遺体は獣に食べられたりして、そこで朽ち果てる。
 縄文時代を思わせるその暮らしは、いまだに謎となっている。

 この小説は彼らをモデルにしたもので、一時は発禁になったという。
 先日、椋鳩十の生まれ故郷、喬木村にある椋鳩十記念館を訪れた。
 だから図書館でこれを見つけたときはほんとに嬉しかった。
 一夜で読了。なんとかネットなどで捜せたら、
手元に置いて何度でも読み返したい。


 さて戸締りして寝ようと網戸を見たら、
この方に覗かれていた。
 キリギリス? ウマオイ?


 

コメント一覧

yokohamaneko
酔華さん
 今日、横浜に戻ってまいりました。
 暑い! S村なら屋内、朝晩は涼しいのに、
今日からは一日中、蒸されることになるのでしょう。
 赤紫蘇ジュースはいいですよお。でもかなり赤紫蘇の葉を
使うようです。今年はその季節になったら、章子さんに
教えていただき、私もこしらえようと思っています。
酔華
氷を浮かべた赤紫蘇ジュース、美味しそうですね~
今日も暑い。
冷たいジュースを飲みたくなってきました。
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