S村へ来てからもう二週間以上たつが、少なくとも
その間は降ってない。いや、二度くらい、夕方ごろに
降ったとは思うが、三分とたたないうちに止んでしまった。
地面はからっから。お百姓さんはみな泣いている。

抜いた雑草や切った小枝なども、すぐに乾く。
あまり広くない畑のあちこちに、枯草、枯れ枝の
山ができる。これをドラム缶式の焼却炉で焼く。
これだけ空気が乾燥していると、火の粉が飛んでも
火事になりかねないから、しっかり火の番をしなければならない。
ゴーグルとマスクを着けていても、目と喉が煙で痛い。
もちろん暑い! 時々よろけるのは、足のせいばかりではない。
燃え盛る火のそばにいるのだから、熱中症状態になる。
村の広報拡声器は連日、熱中症と南海トラフ地震を警戒せよと
声張り上げているが、「どもならん!」と溜息つくしかない。
夕方になれば赤とんぼが乱舞しているし、
ヒグラシも鳴いているが、秋の気配はまだない。

S村の夏は、去年もおととしも凌ぎやすかった。
日中の外はもちろん暑いが、家の中にいれば
クーラーいらず。扇風機だって時々で足りた。
ところが今年はクーラー必須。夜も寝苦しい。
オリンピックは金メダルラッシュでめでたいが
なにせ気候は温暖化。年々、生きづらくなるのかも。
業者さんに頼んで叩き落してもらったスズメバチの巣。
私は刺されたし、メダカは食われるしで、蜂には
申し訳ないけど容赦できなくて。

愚痴ばかりになったから、
ブットレアの花とアゲハチョウをお口直しに。
