もう何度か、横浜の何ヶ所かでエディさんの追悼ライブは行われた。
でも信州の山里にいた私はどれも行けず、このたびようやく、
カメラマンの大森裕之さんと一緒に、横浜駅西口の「サムズアップ」
で開催された追悼ライブに行くことができた。
大森さんは「天使はブルースを歌う」という
エディ潘さんを中心に据えたノンフィクションの新装版が
出た際、表紙の写真を担当してくださった方。
「暑い」ではなく、ここちよく「熱い」ライブだった。
AMI TAME、鬼ごろしブルースバンドを中心に、
エディさんと長らく音楽シーンを共にしてきたミュージシャンたち。
ちょっと先輩であるエディさんへの愛と畏敬に満ちたステージだった。
満席の客席も一体感が素晴らしかった。
エディさんの作曲と歌、私の詞による「丘の上のエンジェル」は
亜美さんが熱唱してくださった。彼らのCDにも収録されている。
この歌は拙著「天使はブルースを歌う」を取材中に生まれた。
横浜・根岸外国人墓地に身元不明で葬られた子供達のための
鎮魂歌である。京急・能見台のウォーターカラースタジオで
これを録音した日のことを思い出さずにはいられない。
今日は会えなかったけど、スタジオのオーナーで
歌手の中村裕介さんのサポートなしにはどうにもならなかった。
思うように歌えなくて「裕介、水割り!」と言うエディさんに
「駄目だよ、録音なんだから」という裕介さん。「いいから!」
と懇願するエディさん。
そして最後はエディさんの美しい高音が響き渡ったあの日。
生きていて、この場にいて、誰よりも幸せだと思った瞬間だった。
書籍もそうだが、CDも世に出るまでさまざまな人の手を
頼っている。このCDはギャラなし。根岸外国人墓地に
慰霊碑を建てるためのチャリティーCDで、誰もが思いだけの
ノーギャラでやってたから、ひとしお忘れられない。
戦後の一時期に関わる秘話とともに、歌い次いでいただけら、
こんなに嬉しいことはない。(撮影は大森裕之さん)