野良だったから、どっちが兄だか弟だか
わからないが、体はフータの方が圧倒的に大きい。
のんびりした性格のせいもあるのだろう。
神経質なノアは痩せている。
6年前、うちに来た時から世を拗ねていた。
私にもいまだに気を許さない。
目は片方しかないが、そのやさぐれた眼力には、
フータも私もかなわない。
フータは、おもちゃだろうがベッドだろうが
ノアにすぐ横取りされる。
いい気持ちで寝てるのに……。

「おい、そのベッドよこせ」
「な、なんだよ! 自分のがあるだろ?」

「おれがここで寝たいつったら、おれのもんなんだよ」

「じゃあ、いいよ。これ、爪研ぎだけど、こっちで寝るから」

「ちょっと待て、それもよこせ」
「ええっ、ちょっ、ちょっと!」
「やかましい、さっさとどけ!」

「ンもう、どこで寝りゃいいんだよぉ」
「あのオバハンとこにでも行けば?」

かくしてフータは、毎晩、私のベッドにやってくる。