冬桃ブログ

コロナの日々ー路上の人たちはいま。

 外へ出るな、家にいろ、と言われるこの頃、
ホームレスと呼ばれる路上生活者達は
いったいどうしているのか。
 ずっと気になっていた。

 そこで思い切って櫻井武麿さんに電話をしてみた。
 櫻井さんは木曜パトロールというホームレス支援を
ボランティアで、もう35年以上も続けておられる。
 たぶんいま、76才。

 夜の七時半を回る頃から、手伝ってくれるボランティア
とともに準備を始め、荷物をカートに載せたり
肩に担いだりして、関内の駅やスタジアム周辺を回る。
 配るのは温かいスープや日用品、毛布など。
その際、、困り事や体調をそれとなく尋ね、安否確認する。
 これは、と思ったら行政に繋ぐ。
 私も何度か参加したが、肉体的にたいへん疲れる仕事だった。

 「こんな状況でも木曜パトロールを続けておられるのですか?」
 と尋ねると、
 「さすがに参加してくれるボランティアは少なくなって
三人くらいでやってるんですけどね、ちゃんと回ってますよ。
 品物も足りてます」
 と、元気な声が返ってきた。

 ネットカフェや漫画喫茶ができたので、そちらに
住み込んでいる人も多く、路上で暮らすホームレス自体は
数が増えていないのだという。
 ネットカフェも緊急事態で閉鎖されたが、
パソコンやスマホが使える人達は、そこから情報を得て
行政が用意しているという寝場所に移ることもできるだろう。

 でも路上の人達はそういうことができない。
 心身に障害があり、保護してくれる場所があっても
集団生活が病的に苦手で、仕方なくホームレスという状況に
至った人も多いのだ。

 新しくなった寿町の健康福祉交流センター一階は
この町の住人達が将棋をしたり本を読んだりできる場所だったが、
いまはそこも閉鎖されていると聞いた。



「密集が禁じられてるから、炊き出しなども減っているのではないですか?」
「減ってますね。でも、まとまった数のサンドイッチが、こないだも
差し入れされましてね、それを配って歩きましたよ」

 さらに、中区はドヤ街と呼ばれる寿町を擁しているので
昔から福祉に力を入れている。
 福祉課の職員や、「はまかぜ」というホームレス一時収容所の
方達などが、熱心に見回りを続けておられるという。

 櫻井さんはホームレスの売る雑誌「ビッグイシュー」の
手配もしておられるが、人が外へ出ない分、その売れ行きも
芳しくないのでは、と尋ねると、
 「確かに都心部では減ってますね。
 でも、勤めに出る人が減った分、地元、つまり郊外で
前より売れたりすることもあるんですよ。
 だからホームレスも郊外へ遠征して販売したりしてます(笑)」

 マスクに関しては「ホームレスの方々に」という
まとまった数の寄付もあり、櫻井さんはボランティアと
一緒にそれを配ったそうだ。

 そういう話を聞いて、少しほっとした。
 私は心配するだけでお手伝いもできない身だが
こんな時にも変わらぬ支援を続けておられる櫻井さんには
あらためて頭が下がった。

 二年前、朝日新聞神奈川版のコラムで
櫻井さんのことを書きました。
 こちらでご覧いただけます。
http://www.asahi.com/area/kanagawa/articles/MTW20180223150160001.html
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