街路樹の実だ。
これ、もしかして食べられるんじゃなかったかなあ
……という、うろ覚えの知識で拾い、割って匂いを嗅いだ。
悪い匂いじゃない。ほのかな甘みを感じる。
「ちょっと! 山崎さん、食べちゃ駄目だよ、そんなもの!
毒だったらどうすんのさ!」
声が飛んできた。
マンションの管理人さんだ。見てたらしい。
「だけど食べられるような気がするのよ」
思わず中身を押し出して口に。
あ~あ、と管理人さんが呆れた様子の声を放つ。
ねっとりしていて甘い。おいしい!
「食べられるのなら取ってあげるよ。だけど
ほんとに大丈夫かどうか調べた方がいいよ」
管理人さんにそう言われ、ネットで調べた。
ヤマボウシの実だった。
上からその街路樹の花を見下ろしてた時は、
ハナミズキだとばかり思っていた。
ヤマボウシだったんだわねえ。
新刊に、「ヤマボウシ」を季語にした俳句を入れたのに
ハナミズキと間違えるとは……!
誰も拾わないみたいだから、よし、管理人さんに
頼んで取っといてもらおう。
関内で街路樹のヤマモモをよく見かけるが、
誰も拾って食べないばかりか、ヒトや車に踏まれて
地面が殺人事件の跡みたいになってるのをよく見かける。
ヤマボウシの実もそうだ。
もう何年もここに住んでるのに、今日まで気づかなかった。
この実は、これから私が独り占めしよう。
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