冬桃ブログ

いつか愛の日々が

 保護された野良猫兄弟を引き取り、同じように愛し
同じように、いや、あちこち故障が多く、神経質な
ノアの方に、より、手を掛けて育ててきたのに、なにが気に入らなかったのか。



 どっちもなかなか懐いてくれなかったが、うちへ来て
三年たったある日、フータは意を決したように私の膝へ乗ってきた。
 それからはもう、誰はばかることなく甘え放題。
 抱っこは嫌いだったが、太った身体をべたべたと押しつけてきた。

 ノアはそれを非難がましい目で見ていた。
 夜、ベッドでフータと一緒に寝転んでいると、なにやら視線が……。
 寝室の入口から半身だけ覗かせ、ノアがじいっとこちらを見ている。
 「ノアもおいでよ、ねえ、一緒に……」と、呼ぼうものなら
「この変態が!」と言わんばかりに一瞥し、姿を消す。
 九年間、そんなふうに過ごしてきた。

 そんなノアとふたりっきりで残され、はや一ヶ月が過ぎた。
 私は日々、彼の猛烈な抗議に耐えている。
 朝に晩に、私を睨みながら、にゃあにゃあと凄まじく鳴き立てるのだ。

 「おまえ、フータを隠したろ! どこへ隠した! 返せ、戻せ!
あいつは俺の弟だ。あいつを守るために、俺はついてきたんだ。
 さあ出せ、フータを返せって言ってんだよ!」

 「あのね、ノアくん、ふーちゃんはね……」
 と、やさしく説得しながらそばへ寄ろうとすると、
すごい勢いで逃げ去る。
 離れたところから身構えつつ「来るな! けがらわしい!」
と、ガンを飛ばしてくる。

 そのくせ要求は激しい。人がなにをしていようと
そこが定位置と決めている椅子に飛び乗り、
「おい、ぼやっとしてないで毛梳きしろ!」と命じてくる。

 昼間は私のベッドで我が物顔に寝ているが、夜になると
顔を合わせるのもいやだという態で去っていく。



 淋しい。
 ふたりっきりなんだもの、私を受け入れて欲しい。
 愛のある暮らしを望んではいけないのだろうか。
 

コメント一覧

冬桃
いえいえ
福岡さん

 相変わらずです。
 もう1匹、猫がいれば、ノアも気分が変わるのかな
と思ったりもするのですが、自分の年齢を考えると
いまいち自信がないし……。
 まあ、ノアはこういう性格の猫なんだと、ありのままを
受け入れるしかないですね。
福岡豊治
最近はどうですか?
ノアくんは、元気にしているのでしょうか?
相変わらずなんですかね?
猫って、愛情の裏返しのような事をしますからね。
余計愛着を感じてしまいます(笑)
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