冬桃ブログ

母も娘も……



 本日は母が入所している施設の納涼祭。
 入所者と家族が前庭やロビーに設置された模擬屋台から飲み物や食べ物を買い、
一緒に楽しむ。
 訪れる家族の中には小さな子供もいるので、「射的」や「ヨーヨー釣り」などもある。
 職員さん達も法被姿で頑張ってらした。

 私達も外で、と思い、車椅子を押して前庭に出た。
 が、母はすぐに「寒い、いやだ」と拒否。
 外の風にあたることが少ないせいだろう。せっかくの涼風も、母には不安なもので
しかなかったようだ。 
 急いで中に戻り、食堂で早い夕食。
 ここの食事は通常、三食とも何種類かのおかずを配したバランスの良いものなのだが、
本日の夕食に限りメニューは縁日モード。
 焼きそば、カレー、おでん、焼き鳥、デザートはアイスクリーム。
 
 どれを選ぶにせよ、母の場合は歯がほとんど使えないから、細かく刻むか粥状に
したものになる。
 そこで、お粥に甘口のカレーをかけたものと、刻んだ焼きそばにした。
 いつもの食事は薄味なのだが、これは縁日風にちょっと濃いめの味付けになっている。
 それに違和感を覚えたのか、食欲旺盛な母にしてはカレーも焼きそばもいまいち
スプーンが進まない。
 置いておくと無理にでも食べかねないので、食事は下げて母の大好きなアイスクリーム
を買った。バニラとチョコレート。デミタスカップほどの小さい容器に入ったもの。
 母は「おいしいね」と言い、二個ともきれいに食べた。

 このところ、黙ってうなだれている日もあったので心配していたのだが、
今日の母はよく喋る。
 ただし滑舌が悪くなってる上に脈絡がないので、何を言ってるのかほとんどわからない。
 問い返しても、いま言ったことを本人が忘れているので二度と同じ言葉は聞けない。
 それでも二、三は会話らしいものになった。

「お母さん、幾つになったんだっけ?」
「さあ……45歳くらいかしらねえ」

「お母さんには娘がいるのよ」
「そうだわねえ」
「きれいな人?」
「そうだといいんだけどねえ」

 そんなこんなで二時間ほど一緒に過ごした。
 施設を出て長い石段を下り、バスと電車を乗り継いで自宅の最寄りの駅に降りると、
まだ日が差している。
 暑さと疲れで頭がぼうっとしたままコンビニに寄り、冷えた赤ワインを買った。
 赤ワインをレジに通すとき「年齢確認してください」という自動音声が流れた。
 ぼうっとしていた私は思わず、「はい、二十歳過ぎてます」と答えた。
 いや、ありがたいことに、「はい」と言った時点で、はたと我に返り、あとの言葉を
あわてて飲み込んだ。
 
 ああやだ。もし最後まで言ってたら、店員さんは呆れるか、笑いをこらえるのに
苦労したことだろう。
 暑さと疲れのせいにしたけど、かなり危ないなあ、私も。

 それはそうと、ノアがおしっこをたくさんしてる。良かった!
 
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